アメリカでは、幾つかの州でレクリエーション用のマリファナ服用が合法化されていますが、そうした州で高速道路での衝突事故が6%増えているのだそうです。直接的な因果関係を巡っては、専門家の間でも慎重な見方が出ていますが、危険なのは、子供を乗せての事故が14%もあったこと。自己責任と言えない状況になっています。更に、そこへSNSから甘い誘惑が・・・。
世論の流れは合法化容認、ただし運転面で懸念が
アメリカのNBCニュースが報じています(2018年10月18日付け)。
調査を行った高速道路安全喪失データ研究所のデビッド・ハーキー氏は、マリファナに含まれるテトラヒドロカンナビノール(Tetrahydrocannabinol=THC)を服用して運転した場合の影響を断定するのが難しいと、慎重な口調ながら「間違った方向に向かいつつあるのではないか」と、こうした運転をする人を憂えています。
現在、アメリカでは30州で医療目的でのマリファナ使用を合法化しています。一方、レクリエーション目的での使用を認めているのは9州。
これとは別に、首都のあるワシントン特別区でもレクリエーションOKとされているそうです。ちなみに、アメリカ人の間で抵抗感は薄いようで、ギャラップの世論調査では64%が支持しており、今後更に合法化する州が増えるのではないかとみられています。
ただ、危険なのが運転です。飲酒もそうですが、こうした薬物を服用することで気が大きくなって運転してしまう危険があります。
ところが、交通安全の専門家や医療専門家が高速道路で服用運転した場合の研究を行ったところ、一貫性が無かったり、場合によっては矛盾するような結果が出ているのです。
そうなると、「やっぱり危ないから禁止」となりづらくなります。
ともあれ、研究は続行中です。1年前はコロラド・オレゴン・ワシントンの3州を研究対象としていたのが、今年からネバダ州も追加しました。天候や経済状況なども加味したデータ分析を行いたいとしています。
そうした中で判明しつつあるのが、衝突事故の増加。レクリエーション使用を認めている州と、非合法としたままの隣接州との事故率を比較したところ、前者で5.2%から6%増加していたことが分かりました。
一般道では子供を乗せて運転したがる危険な兆候
研究所が危険視しているのが、一般道での状況。
飲酒運転の場合、ドライバー1人だけの運転か、同乗者がいても大人だけというのが、アメリカでは一般的なのだそうですが、マリファナ運転の場合、子供を乗せている例が少なくないからです。
確認が取れているだけでも14%いたことが分かっているそうです。しかも、飲酒運転が夜に多いのとは違い、マリファナ運転は昼間にも行っていることも判明しています。タチが悪いし、他のドライバーは気が抜けませんよね。
ハーキー氏は、「合法化された州で衝突事故が増えているという『相関関係』はあるが、『因果関係』とは同義語ではない。他の要素があるかもしれない。今の研究には限界がある」と、あくまで即断は避けています。
実際、他の学術機関や専門機関の間でも、研究結果は分かれています。2014年にコロラド大学が行った研究では、マリファナを服用したケースも含む死亡事故が増えていると報告していました。
しかし、バージニア州の全米高速道路運航安全委員会の研究では、明らかにリスクが増えたとする証拠が見つからなかったとしています。
まとめ:そこにやってくる、SNSからの甘い誘惑
このように、専門家による結論が出ないままの現状に、更に危険な誘惑の要素が加わろうとしています。インスタグラムなどで、「マリファナ素晴らしい!」的な投稿が増えているからです。
報じているのは、メディアキックスという情報サイト(2018年10月17日付け)。マリファナ合法化の流れがある一方で、関連の広告には厳しい規制がかけられているのがアメリカでして、グーグルやフェイスブックでは掲載が禁止されているそうです。
それぞれの系列に当たるYouTubeやインスタグラムなどでも同様です。
ところが、服用しているところを写真や動画にしてアップロードする人が多いのです。禁じられると、やりたくなるというのが人の性なのでしょうね。
そこに結びついているのが、日本でも急速に普及しつつあるインフルエンサー・マーケティング。
気化器や配送などの関連商品やサービスが、そうしたインフルエンサーによって世間に認知されているという流れが出来つつあるのだそうです。
特に、若い人に顕著なのだとか。インフルエンサー側も、マリファナの茅の写真や育て方のハウツーなどといった、ギリギリの所を攻めたりしているそうですから、当局にしたら頭の痛い話ですね。
インスタグラム側では、見つけたらアカウント削除の強攻策に出ているそうですが・・・いたちごっこの行く末やいかに。そして、衝突事故対策の今後やいかにってところでしょうか。
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