一時期は生産が終了していたCR-Vですが、まさに「満を持して」という感じで再登場してきました。SUVの激戦区に挑むその実力はいかに?!
激戦区に挑むCR-V
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大人気のSUV、特にその中でも激戦区となっているのがミドルサイズSUVです。他社からは、トヨタ・ハリアー、スバル・フォレスター、マツダ・CX-5、ミツビシ・エクリプスクロス、ニッサン・エクストレイルが展開されています。
最も全長が長いのはハリアーの4725mm、全幅もハリアーが1835mmで一番ワイド。逆に全長が短いのはCX-5の4545mm、全幅はエクリプスクロスの1805mmです。こうした先行車のサイズに対してCR-Vは4605mm×1855mmということで、全長はまさに中間に位置しています。全幅こそ一番ワイドになりましたが、むしろ欧州車の比重に近い感じで、北米中心の販売エリアだということがよくわかります。
CR-Vは日本では1回販売が途絶えていました。コンパクトクラスのヴェゼルの販売が好調であり、ホンダとしてはこれで十分かと思われていたのですが、ミドルサイズクラスのSUVの人気もかなり高く、ここにも再度の挑戦となったようです。
それではCR-V国内復活は「とりあえず」なのか?と言えばけっしてそうではなく、相当な本気モードで作られています。北米向けの完成から非常に時間をかけて準備され、まさに本気モードでの登場です。ご存知の通り、SUVでは走破性との関係で地上最低高が重視されますが。CR-Vは200mm(4WD)とたっぷりで、この点では、ハリアーとエクリプスクロスは175mmで、街乗りタイプとなっています。他の車は200mm以上あります。
そして、7人乗り仕様があるのもポイントです。今まで、このクラスにおいてはエクストレイルに3列7人乗りがあるだけで、車体の大きいハリアーでも5人乗りだけです。ただ、CR-Vにおいても7人乗りは1500ccターボのみの設定で、2000ccハイブリットの場合はバッテリー搭載スペースの関係があるから無理だったようです。逆に言えば1500ccターボには明快な作戦があったということになります。
CR-Vのスタイリング
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新型となったCR-Vのスタイリングについてですが、コンパクトクラスのヴェゼルよりもややオーソドックスな感じがします。フロントフェイスこそ最近のホンダ車と共通の造形となっていますが、サイドウインドゥなどはやや旧型の面影もあるように感じます。
最近のホンダ車の一部車種では、必要以上に線を多用するデザインも採用されているのですが、CR-Vはそうした煩雑なイメージはありません。そういえば「ジェイド」も同じような印象です。中国を主力マーケットにした背の低いミニバンですが、CR-Vと共にグローバルモデルという役割があるのでそうしているのかもしれません。
しかし、良く見れば、プレスラインにはあまり頼らない代わりに、むしろ面を張り出すことで前後フェンダーに力強い表現を与えており、これはこれでかなり考え抜かれたデザインであることがわかります。リアスタイルは、初代CR-Vから採用されてきた縦長のコンビランプを継承しながらも、下端をリアウインドーに沿って両側に伸ばした変形L字型になっています。
全体的には派手ではありませんが、バランスのいいデザインとなっています。
室内空間
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新型CR-Vの2列目シートはなかなかいい出来です。ボディサイズの拡大もあって、足元空間は50mm拡大されており、更に、背もたれを倒すと座面も沈みこむダイブダウン方式の折り畳み方法になっています。
長さ1830mmのフラットな空間が得られるようにしており、これなら車中泊もできそうな感じです。3列目にはスプリングが内蔵され、座り心地にもしっかりこだわっている点は注目できます。
SUVの3列目シートは、概して「補助席だから付いていればいい」というように安易に開発されることが多いようですが、この新型CR-Vでは、アジア地域における3列シートSUVのニーズが高まっている背景もあり、しっかり造り込んだようです。大型のマツダ・CX-8の3列目にはさすがに負けますが、同クラスのエクストレイルやアウトランダーよりは明らかに快適でしょう。
トヨタ・ランドクルーザー・プラドと比べても少し勝るのではないでしょうか。片道60分以内の移動程度なら、2列目シートをやや前方にスライドさせて3列目の足元空間を広げて、普通に大人が多人数で乗ることも充分可能です。ミドルクラスでありながら、こうした充分な室内空間というのはCR-Vの大きな魅力です。
ハイブリッド車の設定
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CR-Vとしては歴代初のハイブリッド車も設定されています。これはデザイン以上に新型CR-Vでのトピックとなっています。
しかもホンダが持っている3タイプのハイブリッドシステムの中でも評価が高い、スポーツハイブリッド「i-MMD方式」を採用しています。「オデッセイ」や「ステップワゴン」で実績があるタイプです。
2L直列4気筒エンジンと2個のモーターからi-MMDは成り立っています。低中速では日産「ノート」や「セレナ」のe-POWERと同様に、エンジンで発電した電気で走りますが、高速域になると、モーターを使わずにエンジンで走ります。それは高速域ではモーターよりもエンジンの効率が勝ることからです。
エンジンとモーターのそれぞれの長所を両立した構造で、その結果、JC08モード燃費では25.8km/Lを誇り、ライバルとなるハイブリッドSUVのトヨタ・ハリアー、日産・エクストレイルをしのぎます。しかも新型CR-Vなら、i-MMDでも4WDが選べるのです。
このスポーツハイブリッドi-MMDは、動力性能において、ノーマルのガソリンエンジン換算で、3リッタークラスに相当します。また、モーターはアクセル操作にはより機敏に反応しますから、アクセルペダルを踏んだ直後の瞬発力がに優れ、追い越し加速でも余裕を感じるでしょう。
残念なのはハイブリッド車では3列シートが選べません。それは大柄なバッテリーを搭載する関係があるからです。実はエクストレイルや、プラグインハイブリッド車の三菱自動車工業「アウトランダーPHEV」でも共通している問題です。CX-8はハイブリッドではなく、全車クリーンディーゼル車なので、このような問題はありません。
ホンダでもステップワゴンなら、i-MMD方式を採用しても、前席下にバッテリーを搭載することができたので3列シートとの両立を実現しています。CR-Vでは残念ながら実現できなかったわけです。
1.5リッターの直噴ターボ
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ただし3列シートが選べる1.5Lターボ・ガソリンエンジンがあります。このクラスのSUVではかなり少数派となるダウンサイジングターボですが、自然吸気の2Lエンジンを積むライバル車よりも広い回転域で同等以上の最大トルクを発揮できますから、力強い走りと言う点でも、かなり期待ができます。
この1.5リッターの直噴ターボは、ホンダのステップワゴン、シビックにも採用されていますが、新型CR-Vが搭載するのは全く同じではなく、ターボチャージャーから燃焼の過程まで幅広く見直された進化版となっています。
使用燃料はレギュラーガソリンながら、最高出力190PS(5600回転)、最大トルク24.5kg-m(2000~5000回転)というスペックです。シビックが搭載するのはプレミアムガソリン仕様ですが、同等以上の性能となっています。
動力性能は2.4リッターガソリンエンジンに匹敵していると思いますが、JC08モード燃費では、2WDのEX(5人乗り)で15.8km/Lとなかなか優秀です。
動力性能は2.4リッターガソリンエンジンに匹敵していると思いますが、JC08モード燃費では、2WDのEX(5人乗り)で15.8km/Lとなかなか優秀です。
ベースグレードでも充実の装備内容
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安全装備に関しては、他のホンダ車と同様に、ホンダセンシングを標準装着しています。
センサーは、ミリ波レーダーと単眼カメラで、歩行者や車両を検知し、緊急自動ブレーキを作動させます。追い越し禁止など含め、道路標識をマルチインフォメーションディスプレイに表示させることも可能で、車間距離を自動制御できるクルーズコントロール、車線の中央を走れるようにハンドル操作を支援する機能も採用されています。
グレードは、EXと上級のEXマスターピースが1.5リッターターボ、2リッターハイブリッドともに用意されています。前述の通り、1.5リッターターボには、3列シートの7人乗りも設定されています。駆動方式は、前輪駆動の2WDと4WDがすべての仕様にあります。
装備内容はEXでも十分に充実しており、ホンダセンシング、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドライト、電子制御パーキングブレーキ(スイッチで操作できる)などが標準装着となっています。
快適装備では、ホンダインターナビ&リンクアップフリー、左右独立温度調節式フルオートエアコン、8ウェイ運転席電動パワーシートなど、外装パーツでは18インチアルミホイールを装着しています。もちろん、プラットフォームは走りの面で高い評価を受けている現行シビックと共通で、乗り心地とハンドリングが高いバランスでとれていると予想できます。
走りに関しては間違いないでしょう。
価格設定とその価値観
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さて、最後は価格設定です。昔からのホンダ車を知っている人なら、シビックと同様にCR-Vもかつてと比べると価格もかなり上方にシフトしたなと思うでしょう。車格も上がっています。
4WDのガソリン車なら350万円近く、ハイブリッド車だと約400万円が最低
価格です。最も安い1.5リッターターボ・2WD・EX(5人乗り)で約323万円です。
三菱・エクリプスクロスG・1.5リッターターボ・2WDが約271万円、カーナビを加えて約290万円。新型CR-Vはこれより30万円ほど高いことになります。 マツダ CX-5の2.5リッターガソリンエンジン・最上級の25S・Lパッケージ2WDは、本革シートなどを備えて約299万で、CX-5と比べても、CR-Vはやはり約20万円高くなります。 さて、この価格設定がどう判断されるか。クルマのできはいいだけに、この点が大いに気になってくるのは筆者だけでしょうか。 ちなみにハイブリッド車の価格は若干割安なようにも感じます。この価格帯で買える輸入車のSUVにはハイブリッド車はないですし、ミニバン人気が一段落すれば、デザイン面、走りの面で、このクラスのSUVの中で多用途性を求めた新型CR-Vに興味を寄せるユーザーは結構いるのではないかとも考えられます。 ぜひ、じっくり乗り比べて新型CR-Vの価値を確認してみてください。
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三菱・エクリプスクロスG・1.5リッターターボ・2WDが約271万円、カーナビを加えて約290万円。新型CR-Vはこれより30万円ほど高いことになります。 マツダ CX-5の2.5リッターガソリンエンジン・最上級の25S・Lパッケージ2WDは、本革シートなどを備えて約299万で、CX-5と比べても、CR-Vはやはり約20万円高くなります。 さて、この価格設定がどう判断されるか。クルマのできはいいだけに、この点が大いに気になってくるのは筆者だけでしょうか。 ちなみにハイブリッド車の価格は若干割安なようにも感じます。この価格帯で買える輸入車のSUVにはハイブリッド車はないですし、ミニバン人気が一段落すれば、デザイン面、走りの面で、このクラスのSUVの中で多用途性を求めた新型CR-Vに興味を寄せるユーザーは結構いるのではないかとも考えられます。 ぜひ、じっくり乗り比べて新型CR-Vの価値を確認してみてください。