今や希少!水平対向エンジンの特徴と魅力にせまる!

今やスバルとポルシェにしか採用されていない水平対向エンジン。根強いファンがいるわけですが、それはこの水平対向形式に独自の魅力があるからです!

エンジンの形式

水平対向エンジン

水平対向エンジン

エンジン形式としては少数派となりますが、水平対向式のエンジンには根強いファンがいます。そして現在、水平対向エンジンを採用しているのは、日本のスバル(トヨタとの共同開発生産車含む)と、ドイツのポルシェのみとなっています。以前なら、アルファロメオやシトロエンなどでも採用されていたのですが、現在ではめっきり減ってしまっています。 現在、多く採用されている形式は「直列エンジン」です。これはシリンダーが一列に配列されていて、ピストンが上下に往復するので全幅が抑えられるメリットがあります。反面、全長は長く、全高も高くなるのですが、シリンダーヘッドには、吸排気弁など、動弁機構を組み込めるので、エンジンの中では最もシンプルな構造にすることができるのです。 「V型エンジン」も結構な車種で採用されています。これは比較的排気量が大きいエンジンに採用されることが多く、シリンダーを左右交互にV型に配置しています。ピストンが斜めに往復します。シリンダーヘッドは左右で1つずつ1対必要になりますが、「直列エンジン」よりも全長は抑えることができ、全体としてはコンパクトに収めることができます。 さて「水平対向エンジン」ですが、その名の通りに、ピストンを左右&水平に配置、クランクシャフトを中心にしたレイアウトのエンジンとなります。 ポイントは、エンジンは軸方向には短く、上下に薄いエンジンになる点です。「V型エンジン」同様、シリンダーヘッドは左右1対必要になります。全幅は広くなりますが、全長が短く、全高が低いという形状です。左右バンクのピストンが水平方向に往復する様が、ボクシング選手のグローブが打ち合う姿に似ていることから通称「ボクサーエンジン」と呼ばれているのは有名ですね。 蛇足ですが、この水平対向エンジンを初めに開発したのは、カール・ベンツ(メルセデス・ベンツ生みの親)だったということです。

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリット

水平対向エンジンのメリット

水平対向を採用する理由のひとつに、まず振動の少なさが挙げられます。水平対向エンジンは、向かい合った1組のピストンが、横方向に往復します。これにより、ピストン同士が互いの慣性力を打ち消し合い、振動を抑えられます。 また、直列やV型エンジンが上下方向に長いことに対して、水平対向エンジンは、シリンダーがフラットに配置されているため、全高が低くなり低重心化しやすく、高い走行安定性をもたらします。さらに、等間隔爆発を採用しやすく滑らかなフィーリングとなります。 独特な排気音も特徴で、ファンにはボクサーサウンドとして親しまれており、これも水平対向エンジンのある種のメリットですね。 改めてメリットをまとめてみますと、 「少ない振動」
水平対向エンジンは、向かい合った左右1組のピストンが、横方向に往復するので、互いの慣性力をちょうど打ち消すように運動するため、エンジンの振動が少なくてスムーズに作動します。 「低い重心」
直列やV型エンジンは上下方向に長い形状になりますが、水平対向エンジンはシリンダーが水平配置なので全高が低く、全幅が広い構造になります。これによってクルマは低重心となります。また、左右対称なので、車両の安定した操縦性や走行性能にも大きく貢献します。 「高い剛性」
水平対向エンジンは全長が短いためクランクシャフトも短くなります。更に、クランクシャフトは左右のクランクケースが両側から挟み込む構造なので、クランクケース全体が強固になります。高い剛性は、低振動と耐久信頼性の向上に直結しているのです。 「高出力」
水平対向エンジンは幅が大きくなりがちですがパッケージング条件もあります。そのためエンジン全幅にも制約があるわけで、そうするとどうしてもショートストロークになります。しかし本来持つバランスの良さとショートストロークによって、高回転化と高出力を実現しやすくなるのです。 「高い衝突安全性」
水平対向エンジンの全高は低いので、クルマが前面衝突した場合、エンジンがフロアの下に潜り込む構造をとることが可能です。従って乗員へのダメージを軽減することができます。 更に付け加えるなら、水平対向エンジンならではの「音」に親しみを持つファンが多いというこ とでしょう。

水平対向エンジンのデメリット

水平対向エンジン

水平対向エンジン

前項の通り、メリットの多い水平対向エンジンですが、採用するメーカーが少なくなっているのは、デメリットもあるからです。 まずはやはりエンジンの横幅です。高性能化、高出力化しようとエンジン排気量を大きくしようとする場合、気筒数が変わらなければ、ピストンストロークの延長かボアの拡大が必要となります。ただ水平対向は基本的に横幅のあるエンジンなので、ストロークの延長ではエンジンルームに収められない可能性があります。 つまり、ボアを拡大してエンジンのショートストローク化で進むことになり、扱いにくい特性のエンジンになってしまいます。それは、ショートストロークエンジンは、ロングストロークよりもトルクが細くなるからで、普段の市販車用エンジンとしては不向きな方向なのです。 燃費的にも不利になります。そしてサスペンションにも影響を与えています。 スバルは、フロントストラットのサスペンションを採用、ポルシェ911も長らくリアトーションビームサスペンションでしたが、これは恐らく水平対向エンジンの横幅と関係があるからだと思います。 また、メンテナンスが困難とも指摘されています。 これは水平対向エンジンそのもののデメリットではありません。言ってみれば、水平対向を扱っているメーカーが少ないことによるデメリットです。 何しろ国内で扱っているのはスバルだけですから、修理工場や整備工場の多くには水平対向エンジンのメンテナンスができる整備士がいないことがあるのです。 ちょっとしたパーツの取り換えが割高で、それどころはパーツの入手にさえ苦労したりする場合もあるでしょう。 例えば、通常の縦置きエンジなら、タイミングベルト交換は工賃込3〜5万円が相場です(車種、工場によって差はあります)。 しかし、水平対向エンジンは、エアコン、パワステ、オルタネーターにベルトがかかっていて、右シリンダヘッドから左シリンダヘッドまで、ひとつのベルトで取り回しています。 水平対向ターボエンジンともなると、ベルトは更に長く部品点数も多くなります。こうしてベルト交換などが結果的に高額となってしまいます。

水平対向エンジンを続ける理由

BR-Z

BR-Z

911

911

最後にポルシェとスバルが水平対向エンジンを採用し続ける理由を考えてみましょう。 まずポルシェですが、お馴染みの911や718に採用されています。その理由として、初代911から続いて既に伝統となっているのと同時に、水平対向エンジンが高回転域まで滑らかに回ること、車両の低重心化にも最適であることなど、メリットも数多くあるからです。 しかしポルシェ911の場合、何と言っても911というブランドイメージがもっと大切です。 ワーゲンビートルから発展してきたRRのスポーツカーという歴史です。だから同じポルシェでもパナメーラやSUVなどもあるわけです。 スバルの場合もブランドイメージということでは同じような理由はあるでしょう。衝突安全性能への貢献というのもスバルは理由として挙げています。 また、86/BRZのフロントノーズを低く構えたスタイリングにも、水平対向エンジンが貢献しているように思えます。 とは言っても水平対向エンジンを採用することに現実として決定的なメリットはありません。それほどまでに認知されたブランド力という要素は大きいのです。 水平対向エンジン独特の音やフィーリングにはファンが多いのも事実です。 だからこそ、ポルシェやスバルには今後も生産を続けてもらいたいと思います。水平エンジンが本来持っているメリットを、もっと強化する技術革新におおいに期待したいものです。 希少技術として異彩を放つことは素晴らしい価値だと思います。
]]>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です