メルセデス・ベンツ日本は、現行Gクラスに直列6気筒ディーゼルエンジン「OM656」を搭載した「G350d」を追加し、受注を開始しました。Gクラスといえば軍用車をルーツに四半世紀の歴史を持ち、世界中のセレブやスポーツ選手に好まれるクルマです。どのようなクルマなのか、また新たに追加されたディーゼルエンジンはどんなものなのか見てみましょう。
Gクラスとは
via ja.wikipedia.org
Gクラスは1979年に発表されました。
NATO制式採用という実績も持つもともと軍用車両であったゲレンデヴァーゲンを民生用にアレンジさせたものが、現在のGクラスの源流です。
およそ四半世紀に及び、何度ものマイナーチェンジを受けていますが、エンジンとインテリアを除く基本的部分については当初の設計を受け継いでおり、発売当初から基本コンポーネントは変わっていません。
モデルチェンジやマイナーチェンジの度に大排気量化、装備やインテリアの強化などとともに価格も引き上げられ、高級車化が進んでいます。
ちなみにデビュー当初、日本に持ち込まれたモデルはガソリンの「230GE」とディーゼルの「300GD」で、230GEは直列4気筒SOHCエンジンで120 PS/5,100rpm、19.6 kg-m/4,000 rpmを発揮、300GDは直列5気筒SOHCエンジンで88 PS/4,400rpm、17.5 kg-m/2,400 rpmを発揮していました。
2t少々のボディを引っ張るにしては、ずいぶん控えめなスペックに見えますね。
今回追加された「G350d」
今回追加された「G350d」のスペックは、286ps(210kW)/3,400-4,600rpm、600Nm(61.2kgm)/1,200-3,200rpmとなっており、0-100km/h加速は7.4秒です。
公式サイトでは詳細な車両重量は明らかにされていませんが、既存のモデルから察するに2.5tくらいであると推測されます。
初代に比べると重量が500kg程増えていますが、馬力もトルクも倍以上になっているため、パフォーマンスに問題は無さそうです。
また、燃費の数値も明らかになっていませんが、4リッターのV8ツインターボのG550が7.9km/lということですから、少なくともこれよりは良い数値が出る事でしょう。
現行型はトランスミッションが従来の7速から9速(!)になったのも見どころで、これは当然燃費向上を狙ってのものです。
ギアが2段分増えたにも関わらず、アルミ製のトルクコンバーターハウジング、マグネシウム製のギアハウジングを用い、以前の7速ATよりも1kg軽量になっているそうです。
搭載されるエンジン「OM656」
via en.wikipedia.org
OM656型の直列6気筒ディーゼルターボはメルセデスの新世代のディーゼルエンジンで、まず先にSクラスの「S400d」に搭載されました。
このエンジンで注目したいのは、直列6気筒レイアウトを採用している点です。
メルセデスは1990年代後半あたりから、「前後に長すぎるエンジンは衝突安全の面で不利である」とし、直列6気筒エンジンをV型6気筒に切り替えていました。
そのように一度世の中から絶滅しかけた直列6気筒エンジンですが、メルセデス・ベンツはガソリン車だけでなくディーゼル車においても、この形式を復活させてきました。
OM656型の排気量は3リッターで、アルミ製のシリンダーブロックにスチール製のピストンを組み合わせ、そこに2ステージターボチャージャーと可変タービンジオメトリーを採用することで、トルクフルな特性を実現しています。
また、メルセデス・ベンツ日本が「最新の排ガス浄化技術を惜しみなく投入している」と胸を張るように、クリーンな排出ガスもOM656型の美点です。
エンジンは機構上、冷えた状態では排出ガス浄化装置を正常に働かせることが難しいのですが、排出ガスを燃焼室内に戻すことで燃焼室の温度を上昇させる“排気側カムトロニック機構(可変バルブタイミング)”や、“マルチウェイEGR”といった新システムの投入で、排出ガスを一段とクリーン化し、年々厳しくなる環境基準に対応させています。
まとめ
今回新たに追加されたG350dは、新世代のディーゼルエンジンを搭載する高級SUVでした。
メーカー希望小売価格は税込み11,700,000円と、田舎なら土地付きで家が買えるくらいの値段ですが、ここでは紹介しきれない程の先進安全装備やオフロード向けの装備が満載のクルマです。
セレブな方はもちろんの事、株で一発当てた方、宝くじが当たった方などもぜひGクラスに乗り、四半世紀変わらないメルセデスの哲学に触れてみてください。
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