オフロードカーで想像する光景。それは恐らく、四角くて頑丈な作りの車が、道なき荒野の凸凹を巧みに吸収しながら、ドライバーを疲れさせずに疾走していく姿かと思われます。しかし、電気自動車時代に成ると、そうしたコンセプトも過去のものになりつつあるようです。フランスのSwincar社が世に問おうとしているオフロードタイプの電気自動車の外見が、チョーが3つ4つ付くようなユニークな代物。しかも、乗り心地は悪く無さそうと来ているのです。
どう表現してよいのか分からない外見だけど、華奢じゃないぞ
via www.swincar.net
これが、同社のオフロードカー「e-Spider」。蜘蛛…うーん。ホント、ライター泣かせの、どう表現してよいか分からない外見ですね。ただ、華奢っぽく見えながら、走りはしっかりしています。
YouTubeの同社公式アカウントより
via www.youtube.com
ご覧のように、悪路をものともしない走り。色んな意味で、斬新ですね。You Tubeのコメント欄には「gooooooooooooooooooooooooooooooooood work」との絶賛が寄せられているほどです。
自動車情報サイトのEXPRESS DRIVEでは、「完全電気駆動の、信じられないほど機敏な車だ」と報じています(2018年8月3日付け)。車体こそ小さいものの、四輪駆動の独立式ステアリングを採用する一方、荒野を走るためのスイングアームも、独立した設計。
「一見した限りでは、のろまな小さなクラシック・カーに見えるが、蜘蛛がひとたび動き出したら怖いのと同様に、e-Spiderも走り出したら同じようなアピールをしてくれる。タイヤがすべて異なった位置で機能する様子を見て感じるのは、ただ驚きだけだ。荒野を探索するのに最適な方法だろう。ただし、プーマがうろつきそうな場所で無い限りは」と、そのコンセプトを絶賛しています。
「荒野の探索ではなく、レジャー目的が主でございます」と同社
もっとも、Swincar社では「お乗り頂く第一の目的は、レジャーでございます」と話しています。行きづらい場所にも対応できる機動性を、この車が提供していると自負しているとのことです。
実際、丘を登る作業も、YouTubeの映像を見ればお分かりのように、楽勝。クネクネしたスイングアームが、正に蜘蛛を想像させますね。体にハンディがあってハイキングを諦めていた人に、使って欲しいとしています。
販売に当っては、3つのバージョンを用意しているそうです。すなわち、スタンダード・モデルと、後ろにも1人乗れるタンデム・モデル。そして、身体に障害がある人向けのモデル。つまり、上記のハイキングを諦めていた人向けのタイプです。
こうした細やかな心遣いが共感を呼んだらしく、フェイスブックでは1億回の視聴があったそうです。まぁ、外見と、確かな走りのギャップに驚かされる人も多かったんでしょうけど。
なお、運転そのものも、オフロードのドライブ経験がない人にだって簡単なように設計されているようです。
まとめ:創業者が自動車業界出身ではないからこその着想?
色んな意味で楽しそうですね。興味深いのは、同社の役員欄のHP。創業者のPascal RAMBAUD氏は、建築家として社会人のキャリアを積んできたのですって。つまり、自動車業界の出身ではないのです。だからこそ、出来た着想のだろうなと。
高い山に登るのと、モーター・スポーツの2つが好きだったのがきっかけ。HPでは、持って生まれた好奇心と、ロジカル・シンキングによって、cinematic innovations(映画のようなイノベーションの数々)が生まれたとしています。自画自賛では無く、本当にそう思ってしまいます。
実際の開発に当たったのは、Emmanuel VALLON氏は、モーター・スポーツに詳しいデザイナー。実用化に当って、自ら試乗して試行錯誤を重ねてきたとのことです。そして行き着いたのが、この形状。世の中には柔軟な着想を持つ人と、それを受け入れる企業があるのですね。
ちなみに、ビジネス・パーソン向けのソーシャル・メディアである「リンクトイン」で検索すると、従業員数は10人未満。2015年創業の、若々しい会社。やがて、ルノーをも脅かす存在になっていくのでしょうか?
ともあれ、買って乗ってみたくなる1台です!
]]>