トラック集団自動運転、ボルボも欧米で相次ぎ実験中

先日、「ドイツで、コネクテッドカーをトラックに応用する『プラトーニング』プロジェクト」という記事で、かの国でトラックを集団で自動運転させるプロジェクトがあると紹介しましたが、同様の試みをボルボのトラック部門でやっていることが分かりました。2016年から欧州で始めており、目処が付きつつあると考えたらしく、このほどアメリカのノース・カロライナ州でも試験走行を始めています。

トラック・プラトーン(truck platoon)という名称

Volvo self-driving truck platoon in the European Truck Platooning Challenge

目下のところ、適当な訳語が日本には無い状況ですが、英語ではtruck platoonと表記されています。直訳するなら「トラック小隊」になりましょうか。 ともあれ、公式チャンネルでは次のように説明しています。
我々は、集団走行によって大きなアドバンテージが提供できると信じております。最大の受益者は利用者ですが、燃料の節約や、排気ガスの減少、そして運搬の効率性を拡大させることなどにより、社会にも利益をもたらすでしょう。
映像的には地味ですが、それでも8万回を超す視聴があり、コメントも肯定的なものばかり。関心を持たれているようです。

アメリカ・ノースカロライナ州の高速道でも試験運行

さて、欧米だけでなく、アメリカのノースカロライナ州でも、高速道路で3台のプラトーン運行が始まっています。トラック業界の情報サイトであるCCJの報道を見てみましょう(2018年6月27日付け)。 使用されたのは、ボルボのVNLと全長28フィートのツイン・トレーラー。宅配で有名なフェデックスと、地元で交通渋滞問題などに取り組むノースカロライナ・ターンパイク協会などと提携して行われました。自動走行の安全性を試験するトライアングル・エクスプレスウェイで走行したそうです。 ボルボでは、車両間の通信とドライバー支援システムのテクノロジーを活用し、プラトーン化。それぞれの車両は、120フィート離れて走行させるようにしています。 ドイツのMAN(エム・アー・エヌ)と同様に、ボルボでも空力抵抗が減る分、燃料が浮くのがメリットだとしています。もちろん、安全運転にも力を注いだ試験運転をしています。 「弊社では、長年に渡り集団走行を支持してきた。というのも、運送会社やプロのドライバーにとって、より安全で燃料節約が達成できる運転ができるからだ」と、ボルボ・トラック・ノース・アメリカのパー・カールソン社長代理は、意義を強調しています。車両間の通信能力を、ADASと呼ばれる先進運転支援システムに見合うレベルにまで向上させて行きたいというのが、今後の目標だとしています。 ただ、実用化には法的な規制との折り合いや、相応のインフラ整備、市場でのニーズなどを模索してだろうとのことです。
gettyimages (34640)

現時点では、ドライバーが乗車しての試験走行

なお、今回の試験運行では、プロのドライバーが乗車していました。自動運転モードの間も、ハンドルを握っていたそうです。ただ、2台目以降の車両は、上記のようなテクノロジーが効果を発揮し、ブレーキやアクセルをドライバーが踏むことなく追走できていました。なお、トラックですので7万7000ポンド分の重量の模擬の荷物が積載されていたとのことです。 こうした走行では、先頭車両の減速やブレーキを踏むなどの行動が、後続車に瞬時に情報としてシェアされます。また、集団走行を止めたり、参加する車両を追加したりすることなども可能になっています。 なお、通信に当っては小さなアンテナを車両のトップに積載しているとのことです。

まとめ:「次世代のロジスティクス」に高まる期待

Pelotonという集団走行のテクロノロジーを開発する企業の経営権を握るなど、この方面には熱心な取り組みをボルボは行っています。また、昨年はロサンゼルス港から貨物コンテナを集団走行させるシミュレーションを、カリフォルニア大学ロサンゼルス校と共同で実施しています。 着々と布石を打っている形ですね。ちなみに、北米貨物効率協議会は2016年の総会で、このようなトラックの自動集団走行を「次世代のロジスティクス」と位置づけ、燃料節約につながると歓迎しています。 そうした期待に沿う試験走行となっているようです。一刻も早い実用化と、日本でも同様のプラトーンが走ることを期待したい。人手不足が叫ばれる業界ですしね。 出典:
https://www.ccjdigital.com/volvo-trucks-showcases-three-truck-platoon-on-north-carolina-highway/
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