アメリカの1マイル当たりのトラック運用コスト、ジワジワッと上昇中

これまでに何度かお知らせしてきた、アメリカのトラック・ドライバー不足事情。かの国の業界では、ドライバーの給与を上げるなどの対応に追われています。そして、運用コストにも、ジワジワとアップの波が…。最新集計(2017年対象)では、6%の上昇となったそうです。

ドライバーの給与は上がったが、リース料や購入料も上昇

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トラック業界情報HPのTransport Topicの記事を紹介してみましょう(2018年10月4日付け)。記事は、2日に発表された全米運輸調査研究所(American Transportation Research Institute=ATRI)のレポートを紹介しています。 それによると、2017年の業界の状況には改善が見られ、ドライバーの給与は上昇したそうです。ただし、車両の購入もしくはリース料や、修理維持費なども上昇しています。その上、燃料代も上がっているとのことですから、経営者には頭の痛い話ですね。 こうした環境により、1マイル当たりの運用コストは、前年(1.59ドル)から10セント上昇。ATRIは2009年から運用コストの分析を行ってきましたが、開始年は1.45ドルだったそうです。正に、ジワジワッという感じでの上昇です。 内訳を見ると、多いのは人件費。全体の43%を占めています。次が、燃料費の22%。以下、リース料や購入料が16%、修理維持費が10%などと続きます。 その中で気になるのが、燃料費。2016年は今世紀以降最低だったのですが、上昇に転じています。また、新型トラックが相次いで登場したことが、修理維持費の上昇につながっているそうです。

「一番上がったのが人件費。今後数年は賃金上昇が続く」

地域別に見ると、一番高くなっているのが北東部。ニューヨークやマサチューセッツ州などの地域ですが、ここらは全米平均より4.5セント高い1.735ドル。南西部の1.536ドルと差がつきつつありますが、北東部地域は生活費も高いので、ドライバーさんへの恩恵となっているかどうかとなりましょうか。 また、北東部は有料道路が多いという事情もあるとしています。 ともあれ、こうした状況についてATRIのレベッカ・ブリュースターCEOは、「2017年で最も大きな伸びを示したのは、ドライバーの給与や年金だ。 向こう数年は、ドライバー不足に対応するため、給与は伸び続けるだろう」と発言しています。実際、2012年と比較すると、給与は33.6%上昇しています。 また、トラック会社の中には、子息向けの大学奨学金支給プログラムや、自社株の保有プログラムを導入したり、勤続年数の長いドライバーには残留ボーナスを支給。人によっては、1万ドルにもなるそうですから、大金ですね! この他、年1回と言わず、複数回に渡って賃上げを実施した社まであるとのことですから、何としても人手を確保したいという姿勢が出ていますね。ブラック企業化していないのは、良いことと言えましょうか。

まとめ:整備スタッフも不足。いたちごっこの対策続く

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なお、業界として困っているのは、整備スタッフの不足なのだそうです。新しい機能の付いたトラックの登場により、整備すべきかを判断したり、そうしたトラックの整備をするスタッフの能力向上研修という出費が求められているからです。 さらに、こうしたスタッフの離職を防ぐ手立ても必要となっており、運用コストに影響を与えています。 ドライバー同様に残留ボーナスを支給するという具体策が講じられていますが、「それが修理維持コストに影響を与えている」(ブリュースターCEO)。つまり、こっちもジワジワッと上昇を免れないとなりましょうか。 ちなみに、この報告書には1000社以上の企業が協力しており、様々な運送業者の94億マイルもの走行・運用データを分析しているとのことですから、信用性は高いといえましょうか。 報告そのものを読むには登録が必要ですので、アメリカで事業展開を考えている企業は一読なさっておかれた方が良いかもしれません。最終的には、運賃として負担せざるをえないのですからね。出典の最末尾が、当該のURLですので、ご参考までに。 出典:
https://www.ttnews.com/articles/cost-operating-truck-6-169-mile-atri-report-says
http://atri-online.org/2018/10/02/an-analysis-of-the-operational-costs-of-trucking-2018-update/
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