イスラエルのスタートアップ企業「触れた道路のデータ分析」で、自動車業界が注目

ハンドルを握る緊張感から解放されても、自動運転車のAIが悪路を走ってしまえば乗り心地の悪い思いをしてしまいますね。そんな中、イスラエルのスタートアップ企業が地元自治体と提携しながら、道路の凹凸などをデータ収集しながら、より素晴らしい運転体験を提供しようと奮闘中。フォードなど自動車大手も注目しています。

駐車違反取締車にソフトウェアを搭載。業務を通じ情報収集

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イスラエル21Cというサイトが報じています(2018年10月17日付け)。 スタートアップの名前は、Tactile Mobility。直訳すると「触覚機動性」となります。以前はMobi-Wizeという名前でした。イスラエルのハイファに本社があり、道路の凸凹を感知するソフトウェアを開発中。フォードを含む自動車大手5社と提携する一方、1000万ドルの資金調達に成功しています。 自動車業界だけでなく、地元のハイファ市も注目し、駐車違反の取締自動車など、市役所が保有する10台の車にセンサーとソフトウェアを搭載しています。こうした車の本業の業務を通じて、道路の状況のデータを収集し、道路陥没など危険になりそうだと判断したら警告を発しています。 同社のアミット・ニセンバウムCEOによると、市側がマップ作成に当たって「1マイル毎に金を払ってくれている」とのことですから、二人三脚的な歩みを見せているとなりましょうか。 搭載されたソフトウェアやセンサーが、運転を通じて、ブレーキを何度かけるかや、スリップしそうな状況での対応や、凹凸のある道路での自動車の状況を検知・分析します。そうして集めたデータが、「車両に実行可能な洞察を与える」(ニセンバウムCEO)とのことです。

道路の検知によって、スムーズに高速道に侵入できるように

こうした道路検知の妙味としては、自動運転車それ自身が早く走れるようになること。特に、現状の問題点とされている、高速道路の出入り口でスムーズに走れない課題が、これによって解決されるかもしれないのだとか。 ただ、ソフトウェアはセンサーから瞬時にデータを引き出せるものの、処理速度がほんの少しだけ遅れるというのが課題になっており、最初の段階の自動運転車は、人の手を借りる場合も出てきそうだとしています。 例えば、ソフトウェアによる道路状況の把握が一定の数値を下がったと判断した場合は、「車載のコンピューターがドライバーに運転を促すようになる」(ニセンバウムCEO)とのことです。そこらが今後の課題となるでしょう。 もっとも、そのようなシチュエーションは、現状ではスピードを出していない時にだけ起きているそうです。 ちなみに、CEOは人生の半分ずつを、シリコンバレーとイスラエルで過ごしてきました。車は自分のDNAに刷り込まれているかのようだと話しています。 ベター・プレスという電気自動車のネットワークのパイオニア的企業(シリコンバレーに本社があり、基礎研究はイスラエルで行っています)で戦略アライアンスを担当していたとのことですから、実務もこなせる方のようです。
同社の本社があるハイファ

同社の本社があるハイファ

まとめ:既に走行距離は1000万キロ突破。安全確保へ着々

同社のHPによると、既に走行テストは10万回。距離にして1000万キロを超えたそうですから、着々とデータ集積を行っているとなりましょうか。「弊社の触覚感知に於けるイノベーションは、安全性とユーザー体験、そして自動車業界に於ける運転の効率性を最大化するデータソリューションを増やしました」とし、「高分解能の触覚感知とデータ解析プラットフォームは、自律型車両の未来に推進させることとなろう」とも謳っています。 既に、イスラエルだけでなく、ドイツやアメリカの自動車産業向けに、信号処理やAI、ビッグデータ分析などのノウハウを供給し、存在感を高めつつあるとする同社は、「触覚データの可能性を引き出し、自動車業界の最前線を大いに拡大していく」との目標を掲げています。 それがハッタリで無いからこそ、フォードなどが提携しているのでしょうね。今後の動向が注目されます。
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