困った方面で、大人気となりましょうか。アメリカでは、車の窃盗犯の間で日本車が人気となっており、専門機関の調査によると上位10位にはトヨタや日産などの名前が占めているそうです。そして、1位と2位はホンダ車。メーカーにしたら「そんな人気、要らん」となるでしょう。しかも、この話には続きが・・・。
保険情報研究所の自動車窃盗研究レポートで判明
アメリカには、損害保険に関する各種の研究を行っているInsurance Information Instituteという機関があります。拙く訳すと「保険情報研究所」になりましょうか。この研究所では、様々なレポートをまとめていますが、その1つが車。今年度版を、去る10月8日付けでリリースしました。ドライバーに注意喚起する意味もあるらしく、実に細かく分析しています。
興味深いのは、この世界には日本の地価と共通項があるところでしょうか。つまり、20年以上下落した後、反騰に転じているのです。
車の盗難が最も酷かったのは、1991年の170万件でした。以後25年間で減少し続け、FBIによりますと、2016年には46%減の76万5484件となっていました。ちなみに、FBIの集計では、車の中にスクーターも入れているそうですが、いずれにせよ減っていたわけです。
ところが、別の集計では気になる傾向が。国民保険犯罪局(National Insurance Crime Bureau=NICB)の集計では、こうした減少傾向が底打ちをしていたのです。増え始めたのは2015年から。前年比で3.8%の増加でした。更に、翌2016年には7.4%の増加。これを裏書きするかのように、FBIの集計では、2017年前半には車両盗難が前年同期比で4.1%の増加となっていました。
そして、盗まれる車に日本勢が上位をズラズラと
日本の地価の場合は、インバウンドや外資の投資が追い風となっての上昇ですが、アメリカの場合は、スマートキーの入手など窃盗犯のテクニックが上達したからだと分析しています。
また、盗んだ後で車両の識別番号を変えるという手口も横行。アシが着かないとなれば逮捕もされませんので、ますます犯罪に励むというわけです。ちなみに、NICBによると、こうした新たな手口による窃盗は、2015年に22%増えて5万7096件となっていました。
via www.iii.org
研究所では、メーカー別に盗まれた車をリスト化しています。それが、上記の表。左側が、全体の集計。右側が、新車別の被害です。両方で日本勢が多数ランクインしているのが分かります。
特に、1位にホンダのシビック、2位にアコードがあるのが目を引きます。NICBによると、ホンダの場合は今の盗難防止テクノロジーが搭載される以前の車種が多いとのことです。
つまり「盗みやすい車」となりましょうか。シビックの場合、4万5062台の盗難の中で、6707台が1998年のモデルだったそうです。それだけ丈夫で、ユーザーに愛好されていたのがアダとなってしまったとなりましょうか。
なお、同じシビックでも2017年モデル(つまり集計時点で新車)の盗難は388件に留まり、このカテゴリーでは圏外。代わりに1位が日産アルティマ、2位がトヨタのカムリとなっています。何だかなぁ。
まとめ:しかも、ホンダのエアバッグも狙われ・・・
受難が打ち止めになっていないのが、アメリカのホンダのユーザー気の毒なところでしょうか。搭載されているエアバッグが狙い撃ちされていると、USAトゥデーが報じているからです(2018年10月15日付け)。
ディズニーランドに2017年モデルのシビックで訪れた女性から、カーラジオなどには目もくれず、エアバッグだけが盗まれていたという事件を記事の冒頭で紹介。被害額は500ドル相当だったとしています。保険の適用により、御本人の負担が無かったのが、救いと言えば救いです。
ただ、憂うべきは、この「エアバッグだけ窃盗」という手口が、ディズニーランドのあるカリフォルニア州だけで無いことでしょう。同紙が全米の犯罪記録と照合させたところ、被害がフロリダやニューヨーク市、首都のワシントンでも多発していたことが分かったからです。
ちなみに、エアバッグだけの盗難だけをFBIでは集計していません。一方、NICBではエアバッグの年間の被害件数は5万件だろうと推計しているものの、ホンダの事件だけに絞った集計はしていないとのことです。要するに、専門家も困惑しているというわけです。
同紙の推測によると、値段が1000ドルを超える場合があり、しかも持ち運びが簡単だからではないかとのことです。こうした盗品を扱う不心得者の修理店が存在するとも、記事ではほのめかしています。
ちなみに、狙われているのは、アコードとシビック。どうも、ワルの世界で情報交換がされているのではないかとすら思えてくる、寒々しい話ですね。警察は何をしてるんだか。
]]>