7月12日に発表され、7月13日から発売が開始されたホンダ N-VANに試乗しました。このクルマは約39年にわたって親しまれてきたアクティ バンの後継車種として登場しました。今回はロールーフモデルの最上級グレード+STYLE COOL・ターボ Honda SENSING(FF・1,668,600円)に試乗し、その実力を検証しました。
エクステリア
フロント ボディカラーはクリスタルブラック・パール
リヤ
このクルマは商用バンとして「どれだけ荷物が積めるか」に価値を置いているクルマなので、エクステリアは「箱」そのものですね。
今回試乗したこのグレードでは何故かLEDヘッドランプが設定されていないのが???であり、LEDヘッドランプの装着によりより個性あるフロントマスクとなるので、小改良時には是非設定してもらいたいアイテムですね。
インテリア
ダッシュボード
助手席と左側後席を折りたたんだ状態
全車にタコメーターやオートエアコンが標準装備されているあたりがこれまでの商用車と一線を画しているのかなと感じます。
ダッシュボードですが、商用バンにもかかわらず何故か手の届くところに小物入れが無く少し不便に感じました。シフトレバーの下あたりに設定できそうなものですけどね。
フロントエンジンということで、軽自動車のバンとしてはライバル車と比較すると室内の容積が劣ることを跳ね返すべく、このクルマは助手席のシートを折りたたんでフラットになるようにしています。この機構と助手席側をピラーレス構造とすることで、ライバル車にはない荷物の「積みやすさ」を作り出しています。
シート
フロントシート
リヤシート
運転席のシートをN-BOXと構造を共通化することで、シート下にエンジンが搭載されるライバル車よりも優れた掛け心地のシートとなっています。「折りたたむこと」を優先した助手席と後席については「丸椅子」をイメージするような必要最低レベルの掛け心地になります。
個人的には後述する走行性能が非常に優れていることを考えると、乗用ユースも考慮している+STYLE FUNや+STYLE COOLの両グレードについてはしっかりと座れる助手席のオプション設定があってもいいのかなと思いました。
シートに直接関わる部分ではないのですが、ドライビングポジションが他のNシリーズ同様に決まりにくいのが気になりますね。チルトステアリングが装備されていましたが、ステアリングポジションが前気味の下がり気味で何だか体を丸くして運転しているような感じでした。このあたりは少しの改良ではどうしようもない部分ですが、今後行われる改良で何らかの対策を行ってほしいと考えます。
エンジン・トランスミッション
ターボエンジンモデルはCVTのみの設定で、NAエンジンモデルは駆動方式にかかわらず全グレードでCVTまたは6速MTが選択できる。
660CC直列3気筒DOHCターボエンジンとCVTの組み合わせになります。
現行N-BOXから第2世代となったこのエンジンは、瞬発力こそ第1世代のエンジンにかなわないものの、アクセルの踏み込み量に応じてリニアに加速が伸びることが特徴のエンジンとなっていて、その加速力は街中ではフィットの1500CCを凌ぎ、体感上では2000CCクラスの加速感になります。
このターボエンジンに組み合わされるCVTがベースとなったN-BOXと比較してファイナルレシオがローギアード化されたことによって、よりターボエンジンとのマッチングが良くなり、一般道においての加速がより「思いのまま」に加速できるようになっています。
正直言うとこの加速重視のCVTはN-BOXと組み合わせてもいいのかなと思いますし、この第2世代エンジンとCVTがN-ONEとN-BOX/にも展開されないかなと思ってしまいます。
サスペンション・乗り心地
装着されていたタイヤは145/80R12 ブリヂストン ECOPIA R680
まず最初に結論から。フロント ストラット・リヤ トーションビームで構成されるサスペンションのセッティングは現在販売されている4人乗り軽自動車の中ではベスト。乗り心地と操縦安定性のバランスがとても良く、気持ちよく運転できます。是非このセッティングが他のNシリーズにも展開されることを望みたいですね。
ボディ左側をピラーレス構造としたことによって損なわれるボディ剛性を確保するため、このクルマはフロア剛性を上げているように感じました。そのことによって乗用車よりも幅の狭い145㎜幅のタイヤをしっかりと路面に押し付けることができていて、特にカーブを曲がる時のリヤタイヤの接地感が高く、ステアリングを切ると思ったように曲がっていける安心感がありました。
乗り心地は積載時の安定性を確保するため硬めのセッティングとなっていますが、前述した高いフロア剛性によりゴムの硬いバン専用タイヤでも跳ねるような挙動はフロアできっちりと減衰されており、尖ったような不快な振動が伝わってきませんでした。
総括
乗用車よりも厳しい条件で使用されることを想定して造られていることもあって、たぶんN-BOXよりもいいだろうと思って試乗に臨みましたが、そんな予想をはるかに上回る出来でした。特に予算が許すならば本当に気持ち良く走るターボエンジン搭載モデルがおすすめです。
今後のNシリーズではこのサスペンションセッティングやパワートレーンが水平展開されていくことを望みたいですね。
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