アメリカで、そしてベトナムで。GM元役員の相次ぐ活躍

ゼネラルモータースの元役員の動向が、自動車業界で注目されています。一人は、元会長のリチャード・ワゴナー氏。2008年に経営危機を迎えた際、アメリカ公的資金による救済の是非を議論となっていたさなかに、上院での公聴会に豪華なプライベート・ジェット機で乗り付けたのをマスコミにスクープされ、非難轟々となった挙句、経営破綻と会長職辞任に追い込まれたのは記憶に新しいところ。あれから10年を経て、スタートアップに投資をしながら、捲土重来を目指しています。また、同社の別の役員も、ベトナムで自動車のスタートアップ企業を率いながら、資金調達に成功しています。逆襲なるか?というところですね。

表情がすっかり明るくなり、派遣型自動車整備企業に投資

GM 時代のリチャード・ワゴナー氏

GM 時代のリチャード・ワゴナー氏

GMオーソリティーという、同社の車の情報サイトが報じています(2018年10月10日付け)。ゲッティ・イメージズの写真検索では、暗い写真しかヒットしません。 退任を余儀なくされてから、酒浸りの生活でも送っていたのかと思いきや、さにあらず。シリコンバレーのスタートアップ企業であるYourMechanicに投資し、今や相当数の株式を取得するに至っているのだとか。 このYourMechanicは、自動車整備の会社です。専用アプリの中からユーザーが登録されている整備士の中から指名すれば、24時間以内に自宅に来訪し、車を診てくれるというビジネスモデル。 ご本人が不在中でもやってくれるそうですから、着眼点の良いアイディア商法と言えましょうか。ちなみに、整備してくれる車は、レクサスにBMW、ジャガーなど何でもござれで、別段GM1車種だけではありません。整備後は1年間1万2000マイルまで走っても大丈夫とのお墨付きをくれます。 今では、アメリカとカナダの5000都市で展開しているとのことですから、順調な成長を遂げていると言えましょうか。
同社のHPより

同社のHPより

「サービスを含め、自動車業界は信じられないほど変化」

GMでは一敗地に塗れたものの、そこは会長職まで上り詰めただけあって、眼力がありますね。ご本人は「自動車業界は、サービスを含めて全ての場で信じられないほどの変化を遂げている。 機動性も、その1つだ。そしてYourMechanicのチームによる、テクノロジー・プラットフォームとビジョンには心惹かれる」と、饒舌な声明をなさっています。 ご本人がどれぐらいの投資をしているかは開示されていませんが、直近の投資では1020万ドルの資金調達に成功しています。なお、ワゴナー氏はChargePointという電気自動車のインフラ企業の役員を務めているそうです。 周辺業界でのビジネスチャンスに虎視眈々となりましょうか。

まとめ:もう1人はベトナム初の自動車メーカー目指す

GMを巡っては、もう1人の役員が注目されています。しかも、遥かベトナムの地で。 オートモーティブニュースという自動車サイト(2018年10月10日付け)によると、ベトナムにはゼネラルモータース元役員のジム・デルカ氏(写真はリンクトインから引用)が率いるVinFastという会社があります。 ベトナム最大のコングロマリットであるVingroup JSCの一部門でして、同国初の自動車メーカーを目指そうとしています。HPを読むと、今年パリの自動車ショーでデビューを果たしたとのことですから、地力を付けつつあるとなりましょうか。 そんな同社が、このほど、ドイツのサプライヤーから機械などを購入するにあたり、12年間の借款(9億5000万ドル)の調達に成功したのだそづです。 ちなみに、来年には初の自社モデルを走らせようと、グループが35億ドルを投じてプロジェクトを推進中なのですって。
リンクトインのプロフィール欄より

リンクトインのプロフィール欄より

リンクトインの経歴を見ると、GMには2000年から16年まで働いていました。つまり、経営破綻後も残って、同社の再起に奔走したことになります。 2008年以降はアジア地域での品質担当副社長を務め、そこで東南アジア方面も担当していたそうです。そこらで縁が出来たのでしょうね。最後はデトロイトの本社で、労務なども担当する上席副社長に上り詰めていたそうですから、そうした経歴も買われた模様です。 オートモーティブニュースによる別の記事(2018年10月8日付け)によると、ご本人は今やベトナムを「自分にとっての第二の故郷」と言い切り、「他のOEM企業が5年かかるところを、我々は2年で達成した。ベトナム戦争では、アメリカ人とベトナム人の多くが命を落とす痛ましい結果となったが、荒れ果てていた地でポジティブなことをしていけるのを嬉しく思う」と続けています。その意気や良し、ですね。 同国では、可処分所得が伸び盛り。きっと成功することでしょう。やがては日本の同業者のライバルになるかもしれません。
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