フロリダで飲酒運転が激減。理由の1つは、ライド・シェアリングの普及

英語では、飲酒運転のことをDUIと略します。driving under the influenceの頭文字を取ったものでして、直訳すれば「何らかの影響の下での運転」となります。もっとも、アメリカでは日本以上の麻薬社会ですので、コカインなどを服用して運転するケースも含まれますが、DUI arrestと書けば、飲酒運転による逮捕との意味合いで紹介されます。その飲酒運転が、フロリダ州のマイアミで激減。しかも、ライド・シェアリングが一因だとしていますから、ちょっと注目したくなりますよね。

実に65%も減少! マイアミ交通取締局もビックリ

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reasonというニュースサイト(2018年8月3日付け)が、興味深く報じています。そうしたDUI arrestsが、実に65%も急落。これにはマイアミの交通取締局もビックリしているのだそうです。そして、原因がライド・シェアリングだと、飲酒運転防止運動団体ともども、お墨付きを与えているのですって。 ライド・シェアリングとは、直訳すれば「相乗り」。遠出などの際、ガソリン代や高速代を割り勘にし、友達同士で相乗りすることがありますが、これを見知らぬ人でもやってしまおうというもので、アメリカで盛んになっています。サービスを行っている企業の代表格が、UberやLyftです。 「そのライド・シェアリングが影響を与えているのは間違いない。Uberとの関係性を感じる」と、フロリダ市の交通取締局局長を務めるJoaquin Freire氏。こうした飲酒運転で子供などを亡くしてしまった人達で作る飲酒運転反対運動フロリダ支部のDavid Pinsker氏も「我々も、インパクトがあると思っている」と口を揃えます。 ちなみに、この数字は、マイアミ・デード郡という周辺地域も含めての算出。それによると、2015年に1500人も逮捕されていたのが、2017年で594人にまで減りました。つまり、65%減。これがマイアミ市内だけで数え直すと、減少率は弱まるのですが、それでも35%減っていたそうです。 それもそれで、凄い数字ですよね。なお、マイアミでは、2014年からUberとLyftがサービスを展開しているそうです。当然、痛ましい死者数も減りました。2015年に比べて、2017年は42人も少なくなっていたのそうです。

週末の夜にサービスを使う人が多いからなんだって

では、何でライド・シェアリングで減ったのか。交通手段共有センターという団体が、UberやLyftを使われるピーク時間帯は週末の夜だというデータを2018年2月に発表。 「これと関係があるのでは」と考える関係者が多いからです。つまり、飲んでヘベレケだけど、公共交通機関は動いていない時間帯。「アプリでクリックさえすれば来てくれるので、運転して帰ろうなどと大それた企てが減るんだろう」というのが、推理の骨子なのだとか。 なお、これはマイアミだけでなく、アメリカ全土でも共通した現象なのだそうです。走行距離1億マイルにおける飲酒運転が原因の死亡事故は、10年前は45人でしたが、今では33人に減っているからです。
こんな興味深いデータもあります。UberとLyftが業務を1ヶ月間停止したポートランドでは、再開後に物損事故が60%も減っていました。同様に停止していたサン・アントニオでも40%減っていたのですって。 また、ニューヨーク市立大学の研究では、市にライド・シェアリングを導入後に飲酒運転が35%まで減少していたことが分かっています。色んな意味で、効果てきめんなようですね。

まとめ:でも、交通渋滞になるというジレンマも…

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ここまで書くと、「実に素晴らしい! ぜひとも日本でもやろう!」とお考えになる読者の皆様も多かろうと思いますが、他ならぬアメリカでは、ライド・シェアリングに歯止めをかけようとする動きがあります。 その代表例が、首都のワシントン。このサービス、気軽だし、運転コストが安上がりになるというので、利用者が激増。結果的に交通渋滞の元凶になっているとして、UberとLyftの利用者に対し、500%もの増税をしたようです。似たような動きは、サンフランシスコでも起きています。しかし、減れば減ったで、今度は飲酒運転が増加しそうな勢い。 渋滞を減らすか、それとも飲酒運転事故の増加か。アメリカの悩みは深い?
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