ニューヨーク市でも「渋滞税」導入構想が。バスの運行を円滑にすると言うが・・・

先日、都市部での交通渋滞に悩むフランスが、首都のパリなどで「渋滞税」を導入する計画があると紹介しましたが、大西洋の反対側のニューヨークでも、同じ動きがあるようです。中心部のマンハッタンへのバスの到着時間が遅れがちなのが背景にありますが・・・何やら生臭い様相を呈しています。

ニューヨーク州とニューヨーク市トップが対決の構図?

ラッシュアワーのニューヨーク市の様子

ラッシュアワーのニューヨーク市の様子

カーベッド・ニューヨークという情報サイトが取りあげています(2018年10月30日付け)。 まず、こうした「渋滞税」構想は、地元の複数の市民団体が支持しているだけでなく、ニューヨーク州のアンドリュー・クォモ知事も乗り気。中心部の渋滞緩和だけでなく、徴収した税金で地下鉄網の修繕維持をしていきたいとの思惑もあります。つまり、公益性があり、かつ、一定の理解を得ている構想でして、法案として提出されています。しかし、他ならぬビル・デ・ブラシオ市長が、「それよりか富裕層の課税でしょ?」と、今一つ乗り気では無く、そこに複数の市議会議員が同調して成立に紆余曲折を経ているというのが今の構図。何やら橋下徹知事時代の大阪府と大阪市の対決を連想させますね。 ただ、実現したら色々な意味で市民の利益になるだろうとされています。皮算用を弾いているのが、草の根交通組織のライダース・アライアンス。ブルックリンやクィーンズからのマンハッタン行きの高速バスが、こうした渋滞税による緩和で、到着時間が短くなるだろうと試算しているのです。 短縮される時間は、1週間当たり1時間から2時間。週5日勤務としたら、12分から24分となります。アメリカの国勢調査局によりますと、こうした通勤にかかる平均時間は往復で90分だとのことですから、やってみる価値はありそうですね。

推進団体からは「地下鉄の修繕以上の導入意義がある」

実際、アライアンスのダニー・パールスタイン氏(政策コミュニケーション担当ディレクター)は、「地下鉄の修繕以上の意義があります。 クイーンズやブルックリンの高速バスの利用者は、地下鉄の駅から遠く離れている場所に住んでいるし、往復にかかる費用は6.5ドルです。その上、多くの人が1週間に15時間以上をバスに乗って過ごしているのが現状ですし、早起きを余儀無くされている一方、帰宅時間は遅いのです」。 つまり、交通弱者となるのです。アライアンスによると、徴収されるのは一般車とトラック。マンハッタンの中心部のビジネス街に入る際に取ると、嫌がってバス通勤などに切り替え、結果として車両の平均速度が20%上がるだろうと分析しています。その中には、無論バスも含まれます。 なお、こうした試算に当たってコンサルティング会社と提携する一方、ニューヨーク市交通局の協力も仰ぎながら、様々なデータ・ソースから計算を行ったとしています。 また、メディウムという新興ニュースサイトにも11月1日付けで寄稿し、導入の意義を強調しています。殺し文句となっているのが「中心部だけでなく、出発地の渋滞も緩和される」という箇所でしょうか。マンハッタンは20%、そこに向かうブルックリンやクィーンズの渋滞も7%減るというのが、根拠だとしています。 なお、ニューヨーク市では、市バスの他に、MTAバスというサービスも存在しています。同市の運輸局が管理していたバス会社7社が統合・発足したサービスです。このMTAがブルックリンのミル・ベイシンからマンハッタンのミッドタウンまでの高速バスを運行しているのですが、所用時間は1時間44分。仮に渋滞税を導入すると、1週間当たり合計で1時間35分短くなるだろうとしています。 また、市バスが運行するクィーンズのローズデールからミッドタウンまでの所用時間は2時間3分。流石に長いですね。こちらだと、導入後は週2時間は短縮されるだろうとのことです。
導入を訴えるライダーズ・アライアンスのHP

導入を訴えるライダーズ・アライアンスのHP

まとめ:不動産価格上昇で固定資産の税収も増えるかも

なお、記事にはありませんが、導入すればメリットが1つあることに気づかされました。中心部までの通勤・通学時間が短くなるのですから、こうしたブルックリンなどの郊外の不動産価値が上がりますよね。 幻冬舎GOLD ONLINEの『ニューヨーク不動産の購入時に必要となる「諸経費」の詳細』(2016年3月31日付け)という記事によりますと、ニューヨーク市にも固定資産税の制度は存在するとのことですから、そうなれば市としては二度美味しいとなります。さっさと導入したら良いのにと思ってしまいますが・・・。 出典:
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