次々と新型車が登場する反面、かつては人気車でありながらもその車名が消えていったクルマもあります。ここで採り上げるのはトヨタの「コロナ」です。トヨタの伝統的な中級セダンであり、大衆車のカローラ、高級車のクラウンと共に発展しつつあったモータリーぜーションの中核的位置にいた車種です。かつて乗っていた方は懐かしいと思いますが、お父さんが乗っていたかもしれませんね。
初代コロナ
via www.toyota.co.jp
2代目コロナ(T20型)
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その昔、まさに日本のファミリーカーの代表車種として親しまれていました。
当時、「BC戦争」と呼ばれた日産ブルーバードとの熾烈な販売合戦を知っている方は、もう還暦以上の世代になっているでしょうね。
また、地方の都市では、クラウンではなく、コロナが小型タクシーとしてよく用いられていました。
1960年代から1970年代ではコロナは非常に人気のあった車種で、それが無くなってしまい、寂しい限りです。
1957年に初代となる通称「ダルマコロナ」が登場していますが、あまりにも型が古いので、ここでは1960年に登場した2代目(T20型)から進めていきます。
2代目は、ライバルであるブルーバード打倒を掲げてトヨタが総力をあげて開発したモデルです。当時の日本車の水準を越える流麗なデザインは注目を集めました。
リアにはフィン上のテールランプが付いていて、これはアメリカ車の影響を受けていることがよくわかります。
何とこのクルマ、1963年に開催された第1回日本グランプリで、ツーリングカー1300~1600ccクラスの1位から3位を独占するという快挙を成し遂げています。最終型のエンジンはOHV1,500ccで60馬力(グロス)でした。
3代目コロナ(T40/50型)
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3代目は1964年に登場。この3代目はブルーバードとの「BC戦争」で、初めてブルーバードに販売台数で勝ち、国内販売台数第1位を達成した人気モデルです。
デザイン上の特徴はフロントマスクが僅かにスラントしている点です。今見ればフロントマスクの両側がスラントしているだけなのですが、「アローライン」と呼ばれ、これは相当に新鮮だったのです。
全体的には四角張ったフォルムですっきりした印象です。スポーティモデルも追加投入されました。
OHVながらもSUツインキャブ1,600ccエンジンを搭載した「1600S」は、コロナ初となるの前輪ディスクブレーキ、ミッションも4速フロアシフトとなり、タコメーター、フルリクライニング・バケットシートも採用されています。そしてハードトップの登場です。
日本車初のピラーレス構造となる2ドアモデルで、これはT50系という別分類になっていました。1967年には、2ドアハードトップにDOHCの1,600ccエンジンを搭載した「トヨタ1600GT」というモデルも発売されました。
これにはコロナという名称はついていません。まさにトヨタの看板車種となったわけですが、1968年に上級車種となる「コロナマークII」が登場し、コロナという名称の扱いが少々複雑になっていきます。
4代目コロナ(T80型)
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1970年に登場した4代目ですが、型式名が一気にT80になったのは、初代コロナマークIIがT60/T70の型式名であるからです。
本来、コロナシリーズはマークIIが4代目のコロナとなっていく計画だったようですが、T40系の高い人気から、マークIIとは別に4代目コロナが開発されたということです。
ただマークIIのような車種が出てきたのは、ユーザーに上級志向が出てきたという背景があり、コロナクラスのクルマは次第にメインではなくなっていくのです。
さて4代目のデザインですが、3代目ほどの個性はなくなってしまいました。
ライバルのブルーバードは3代目からSOHCのエンジンと、四輪独立懸架のサスペンションを採用していましたが、コロナは4代目になってもOHVエンジンで、後輪リジッドサスペンションでした。
当然と言えば当然ですが、あまり注目されない車種になってしまったのです。
後から2ドアハードトップも登場しましたが、トヨタ車としては同時期に登場したカ
リーナの方にスポットライトが当たっていたようです。
5代目コロナ(T100/110/120型)
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4代目からはやや地味な存在になってしまったコロナですが、1973年登場の5代目で人気を盛り返していきます。
四角いスッキリしたデザインとなり、エンジンもOHVながらもカリーナと同じV字型クロスフロー・センタープラグのエンジンが搭載され、馬力も100PSに到達しました。
しかし、このモデルの頃から「排出ガス規制」という課題が出てくるのです。もちろん、トヨタだけではなく、他社もその対策に悩まされていました。
ちなみに、昭和50年排出ガス規制に適合した1号車はホンダのシビックです。触媒を使わず、CVCCと呼ばれた複合渦流燃焼方式でした。
実はほんの短期間でしたが、トヨタはこのCVCCをホンダから導入していたこともあったのです。
ただしすぐに触媒方式の「TTC-C」を開発しています。
1975年あたりの事でしたが、各社軒並みにパワーがダウンしてしまった頃でしたね。 そしてデザイン面での大きな変化ですが、5代目コロナの後期モデルから、ホイールキャップが無くなり、キャップレスホイールになっています。 そう言えば、タイヤでお馴染みだったホワイトリボンもいつの間にか無くなっていますね。確か、4代目コロナまではタイヤにホワイトリボンが付いていたと思います。
1975年あたりの事でしたが、各社軒並みにパワーがダウンしてしまった頃でしたね。 そしてデザイン面での大きな変化ですが、5代目コロナの後期モデルから、ホイールキャップが無くなり、キャップレスホイールになっています。 そう言えば、タイヤでお馴染みだったホワイトリボンもいつの間にか無くなっていますね。確か、4代目コロナまではタイヤにホワイトリボンが付いていたと思います。
6代目コロナ(T130型)
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1978年登場の6代目のデザイン上の特徴は、当時流行しつつあった角形4灯式のヘッドライトになった点で、衝撃吸収タイプのバンパーもウレタン樹脂製になり、デザイン面での新鮮さに貢献しています。
エンジンは昭和53年排出ガス規制に適合しています。
全車に前輪ディスクブレーキとなり、2000GTなどは後輪もディスクブレーキです。またこの頃からATの需要が増えてきており、オーバードライブ付4速ATも新設定されています。
パワーステアリングもこの頃からの装備ですが、コロナ全車には付いていませんでした。
7代目コロナ(T140型)
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7代目はコロナとして最後のFR車として1982年に登場しました。
かなり角ばったスタイルとなっていますが、このコロナはカリーナやセリカとプラットフォームが共有化されており、これらとのデザイン差を意識しているように思えます。
ブルーバードは相変わらずライバルでしたが、コロナにとっては、むしろ社内のカリーナとの差異化の方が問題になってきたわけです。
スポーツタイプでは1,800ccのツインカムターボエンジンが新登場しています。
後期型からドアミラーになります。 このクルマの販売期間はデータで見ればかなり長いのですが、実際にはT140型登場に翌年にT150型のFF仕様車が平行販売されるようになっって、T140型はスポーツタイプだけに整理されていってしまうのです。 しかしその分、細々と長生きすることになりました。
後期型からドアミラーになります。 このクルマの販売期間はデータで見ればかなり長いのですが、実際にはT140型登場に翌年にT150型のFF仕様車が平行販売されるようになっって、T140型はスポーツタイプだけに整理されていってしまうのです。 しかしその分、細々と長生きすることになりました。
8代目コロナ(T150/160型)
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8代目は7代目の翌年1983年に登場するという、非常に珍しい出来事になりました。
まだこの当時、トヨタはFF(前輪駆動)への転換には消極的でした。そのため、コロナはFRとFFを平行販売することにしたのです。
6ライトウィンドウのセダンはおとなしいスタイルで、まさに中年世代が選ぶようなモデルになっていました。
カリーナとセリカもFF化していくので、再びプラットフォームが共有化されていきます。
ところでクルマというのは、モデルチェンジする度にサイズが若干大きくなっていくというののが当たり前でしたが、コロナにはマークⅡという上級バージョンがあったためか、6代目の頃から殆どサイズが変っていません。
モデル後期にはDOHCエンジン搭載のスポーツタイプも追加されています。
9代目コロナ(T170型)
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1987年登場の9代目は、8代目からのキープコンセプトで作られています。
穏やかなデザインですが、2,000ccのGTは、無鉛プレミアムガソリン使用で165PSを発揮するようになっています。反面、商用車であるバンもラインナップされていました。
コロナのバンはこの形式が最後となります。いずれにしても、以前のように注目される車種ではなくなっていたようです。
10代目コロナ(T190型)
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10代目は、より一層丸みを帯びたスタイルで1992年に登場しています。
全長もとうとう4,500mmを越えました。GTなどのスポーティグレードはカリーナに受け継がれ、姿を消しています。
コロナはファミリーカーという位置づけを担って、かつてのモータリゼーションの中心にいましたが、40年近い時代の移り変わりの中で、その役割を終える時がやってきたのです。
正式には11代目(T210型)があるのですが、これには「コロナプレミオ」というサブネームが付いています。この11代目の後継となったのは「プレミオ」で、とうとうコロナの名称は消滅したのです。
ちなみにコロナ同様に歴史の古い「クラウン」は、ご存知の通り、現在でもトヨタの中心車種として販売されています。
もともと高級車だったので、サイズ、エンジンの大型化をすることでポジションを守れたのでしょう。
さいごに
日本のファミリーカー黎明期から、まさに代表的な車種として約40年を駆け抜けた「コ
ロナ」ですが、ニーズは変化し、次の世代の車種へとバトンタッチされていきました。 かつて、この中のどれかに乗っていたという人なら、思い出もひとしおのことでしょう。 クルマは工業製品ですが特に高価なものです。だから「愛車」という言葉もよく使う
のでしょう。クルマを愛して止まない人がたくさんいるのは当然のことですよね。
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ロナ」ですが、ニーズは変化し、次の世代の車種へとバトンタッチされていきました。 かつて、この中のどれかに乗っていたという人なら、思い出もひとしおのことでしょう。 クルマは工業製品ですが特に高価なものです。だから「愛車」という言葉もよく使う
のでしょう。クルマを愛して止まない人がたくさんいるのは当然のことですよね。