アメリカのトラック運転手不足問題、専門家は「ストレスがキツすぎる」からと指摘。「尊敬されてないし、やってられない?」

先日来から断続的に紹介している、アメリカのトラック運転手の不足問題。医療心理の専門家の間からは、「そもそもストレスがキツすぎる職業になっているのが原因だ」とする研究報告が上がっています。お客さんだけでなく、職場でも軽蔑の視線を感じているドライバーも少なくないのだとか。社会に必要な仕事なのに!

アーカンソー大学の専門家がインタビューなどの調査

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警鐘を鳴らしているのは、アメリカのアーカンソー大学。クリントン大統領の出身地として知られていますが、ここの大学が8月3日付けで、医学部のステファニー・トーマス准教授らによる研究結果を紹介しています。

Transportation Journalという専門誌にも掲載。昨今、アメリカではホットな話題となっているため、YouTubeでもアピールしています。ドライバーとしての体験はどのようなものかというのを、当事者に質問し、回答を記録していく直接インタビューや、関連するブロクなどを定量調査し、グループとしてカテゴリーしていったそうです。 その結果、61人の回答者を得ました。回答者の中には、厄介な仕事だし、感謝されない仕事だなと思う人もいたとの事です。 「家族から離れた生活にならざるを得ないし、なのに賃金は安いし、得てして不健康な生活なので、魅力的な仕事では無い」とも答えていたそうです。 今年の全米トラック輸送協会の最新統計によると、2017の離職率は90%を超える一方、輸送の需要は伸びが予想されています。今後数年間で苦しい状況に陥るだろうし、離職者を埋めることすら出来ていないのが現状だとしています。そして、研究で見つかった心理的ストレスは、幾つかあるとしています。

「孤独だし、軽蔑されるし、運転関連の規制がウザい」

幸福度=トラックのドライバーは、孤独感を感じるそうです。その上、健康ケアの選択肢が不十分な数でしか無く、必然的に体調を崩しがちです。そもそも、沿道で適切な医療施設が見つかるかどうかという問題もあります。 それなのに、輸送のスケジュールがタイト…。そうした種々の悪条件が、心理的なストレスとなっていることが、研究結果から判明しているのですって。 尊敬されない=運転中、顧客だけでなく、職場の上司にも蔑ろにされているという気持ちに陥りがち。何もかもドライバーのせいにして敵意を抱かなくても良いものを、矛先が結局は自分達に向けられると感じ、人として軽蔑され、運転の仕事も軽んじられているなと思い詰めてしまっているそうです。 法的規制に悲鳴=実は、ドライバーの多くが感じているのが、この問題。規制の意図は理解するものの、給与の低さと相まって、新紙面で重荷と感じてしまっています。特に、安全性に関する法的な規制については、現場で走っている人間として違和感を覚えずにはいられないのだとか。

折しも、運転状況の電子記録が厳格化。更にストレス?

こうした研究結果は、ある意味でトラック業界に燃料投下となっています。昨年12月に、トラックの運転などでの電子記録機器(Electronic Logging Device=ELD)導入のルールが厳格化したからです。 こうした機器では、運転時間を自動的に記録していますが、専門家の間からは、搭載によって輸送コストが増えるばかりでは無く、心理的なストレスも膨らむだろうとされています。 今回の研究には、このELDの問題は対象外となっていますが、大学側では追加で行う必要があるとしています。確かに、心理的なプレッシャーが及ぼす影響は大きそうだし、考察してしかるべきですよね。

まとめ:世の中に不可欠な職業。もっと皆で考えよう!

研究報告では、 「消費者はトラック・ドライバーを必要としている。世の商品は、ドライバーなくして届かないのだ。しかも、タイムリーに配達を求めているではないか。現在、多くの企業で、トラック・ドライバーの待遇改善に向け、努力が払われている。消費者としても、もっとドライバーの仕事に敬意を払うべきだし、大切さに気づくべきだ。同時に、その為のプロモーションも行っていかねば。それでこそ、事態が改善するのだ」 と、問題提起しています。 異国のこととして、見過ごせないような話ばかりです。日本でも、同様の研究と問題提起があって然るべきではないのか?色々と考えさせられますね。
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