グーグルの共同創業者であるラリー・ペイジ氏が支援しているシリコン・バレーの「空飛ぶ車」製作スタートアップ企業のオープナー(Opener)。その甲斐あって、同社の「ブラックフライ」が、来年にデビューしそう。操縦免許が不要な一方、飛べる地域は制限されます。おまけに、ヘリコプターより安いけど、車で比べるとSUV並み。ハードルが高いのか、低いんだか…。
ペイジ氏が数百万ドルを投資、あのボーイングと互角に争う
via www.youtube.com
アメリカのCNBCが報じています(2018年10月12日付け)。
優雅な飛行ぶりですね。ハンドルの代わりにスティックがあるなど、およそ自動車には見えないんですが、まぁ当事者が「空飛ぶ車」と言ってる以上、車なんでしょう。
さて、この会社、今年7月に突如存在がクローズアップ。空飛ぶ車を巡ってはUber、Joby、エアバス、ボーイング等が鎬を削っていますが、そこに食い込んだ格好。不思議なのは、無名なはずなのに、気がついたらペイジ氏が数百万ドルを投資していたこと。
さすがは検索大手、見つけるのがうまい…では無く、同じパロ・アルトに本社があり、元グーグルの役員であるアラン・ユースタス氏が技術顧問を務めている縁のようです。
課題だったバッテリーや推進システムや、障害物を回避するテクノロジーに改良が見られ、小さくて静かで、それでいて安全に離発着出来る段階に達しつつあります。
その上、ヘリコプターやプライベート・ジェット機よりもお値段安めとなれば、期待が増しますよね。もっとも、SUV並の値段になりそうだとのことですから、ちょっと考えてしまうかも?
技術顧問「輸送業界の大きな危機を解決するかもしれない」
ユースタス氏は「輸送業界の大きな危機を解決するかもしれない」と怪気炎を上げています。こうした空飛ぶ車を使えば、パロ・アルトからサンフランシスコまで11分で到着するとしています。
ちなみに、グーグルで検索すると、自動車で36分だそうですが、CNBCによるとラッシュアワーなら90分かかるとのこと。9分の1になるのなら、少し考えてしまいますね。
気になる乗り心地ですが、「全く怖さは感じませんよ」(同社メカニカル・エンジニアのエレノア・リー氏)とのことです。
ただ、課題が今なおあります。法律がそれ。アメリカでは来年から飛行可能ですが、現状では僻地のみ。飛行機の操縦免許は要らないという利点がありますが、混雑する空域では飛べません。
つまり、サンフランシスコからパロアルトまでの飛行は、今のところは無理なのです。法律の方が追いついていない側面があり、総合的な整備はアメリカでも最低5年かかるだろうと見られているそうです。
NASA向けに個人による飛行手段の研究を行ってきたデューク大学のヒューマン・オートノミー研究所のディレクターを務めるミッシー・カミングス氏は「コンセプトとしては面白いが、5年以内に実際に飛べるとは思えない」と残念そう。技術的に可能なのと、法律的に可能なのは別だとなりましょう。
まとめ:スピードそのものは案外遅く、最高速度は100キロ
via shop.opener.aero
ユースタス氏によると、社員さんが25人と、所帯が小さいこともあって「運転資金は当面心配しなくて良い」とのこと。実現を見ずして…とはならないのが救いでしょうか。
ちなみに、CNETの「ロードショー」欄の配信記事(2018年10月12日付け)には、人によってはガッカリするかもしれない下りが。案外、スピードが遅いんです。最高時速が62マイル。キロ換算すると100キロ未満なのです。おまけに、乗れるのは1人だけ。「ちょっと贅沢なおもちゃ」な感じがしますね。
なお、ペイジ氏はキティ・ホークという空飛ぶ車のスタートアップ企業にも投資しています。こちらは2人乗りですが、商業化には3年以上かかりそうなのだとか。まぁ、ご本人にしたら、「どっちかが成功すれば良いぐらいな」なのでしょう。
ちなみに、同社のHPにはショップ欄があり(写真上)、Tシャツやキャップなどを販売中。まずは地道に稼ぎたいのでしょうか?でも、ちょっと値段が高い気が…。
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