昨今、若者の〇〇離れという言葉をどこでも見かけます。特にクルマ離れは深刻です。とある調査によると、「自動車に関心がある」と答えた割合が2001年度から2011年度にかけて20代男性は29.4%、女性では25.3%減少していることが明らかになっています。 クルマ好きとしては、この現状を何とかしたいものです。いったい何が原因でこうなってしまったのか考えてみたいと思います。
若者にお金がない
1990年代後半のいわゆる就職氷河期から、ずっと日本は景気が良くない状態が続いています。
最近は上向いてきた感がありますが、氷河期世代と呼ばれる世代以降は正規雇用の口が少なく、とてもクルマどころではありませんでした。クルマを買うのも大変だし、買ったところで維持していくのがまた一苦労といったところです。
氷河期を脱出し雇用が増えた現在でも、相変わらず若者にはお金がありません。例えば、奨学金を借りて大学に行った人は、奨学金の支払いが既に自動車ローンとほぼ同額だったりします。その状態でクルマを購入したら、クルマ2台分のローンを払っているようなものです。
via pixabay.com
自動車メーカーが『運転していて』楽しいクルマを作らない
かつてはホットハッチやデートカーのブームがあったようですが、最近はミニバンやSUV、SUVもどき、背の高い軽自動車など確実に売れるクルマばかりが出ているように思われます。
自動車メーカーは、販売上の失敗を犯さないため「安パイ」なクルマ作りしかしていないようにも見えます。少子高齢化社会の影響を受け、人口のボリュームゾーンに合わせたクルマ作りをした結果とでも言いましょうか。
下段と少し被りますが、クルマは純粋な「道具」になってきていて、クルマそのものを楽しむという風潮はなくなりつつあるように見えますし、「手頃な価格で」性能を楽しめるクルマも少なくなりました。
via pixabay.com
クルマ以外の趣味
過去に比べ、趣味の多様化が進んでいます。クルマ以外にお金をかけられる所が増え、クルマが絡まない趣味も増えたという事です。例えばオンラインゲームで課金したり、ゲームに特化したパソコンを組んだりする事は少し前ならよほどコアな人しかしませんでしたが、今では敷居がぐっと低くなり、興味がある人なら誰でもできる状態です。
クルマが生活必需品となっている地域は別ですが、若者にとってクルマはもはや「個性を主張する手段」ではなく「よほど好きな人が買うもの」という位置づけになっているのかもしれません。
コスパ重視の考え方
氷河期世代以降には、「コスパ重視」という考え方があります。給料が少ないので自由に使えるお金が少なく、サービス残業も当たり前で自分の時間も少ないとなれば、なるべく最小のコストで最大の結果を得ようとするのはごく当たり前の事です。
そのため、「ドライブに行きたいけどそのためにクルマを所有するのは割に合わない。ならその時だけレンタカーでも借りよう」となるわけです。
今はレンタカーよりも細かい時間単位で利用できるカーシェアリングも広まっており、この傾向に余計拍車がかかっているように思えます。
via pixabay.com
対策
若者に戻ってきてもらうためには、税金などの維持費を下げるのも必要ですが、やはりクルマのある生活に魅力を感じてもらうのが一番ではないのでしょうか。
今の段階では、過去の若向けのクルマ作りをトレースしても効果は薄いのではないかと思います。20年前の若者は「ターボ」「ツインカム」「クーペ」「2シーター」という言葉にワクワクしましたが、今はどうでしょう。
若者世代はクルマそのものから完全に離れていってしまっているので、今の若者が関心を持っている事にクルマを積極的に絡めていき、魅力を感じてもらうのが一番良いのではないかと思います。
エナジードリンクの販売戦略は、商品そのものではなくエナジードリンクのある生活がクールだと思わせるものだそうです。クルマ業界も同様の戦略を取るのが第一歩ではないでしょうか。
via pixabay.com
まとめ
いろいろな理由を考えてみましたが、きっとこれらが同時多発的に起きてしまい今に至るのではないかと思いました。
自動車メーカーがここから巻き返すのはとても大変かと思いますが、幸い現在は雇用が回復しつつあり、じわじわとですが景気が良くなってきています。クルマ好きとしては、
クルマのある生活が魅力的だと認識させる
↓
クルマを絡めた趣味が広まる
↓
「クルマの運転は楽しい」という事を分かってもらう
↓
運転していて楽しいクルマを欲しがる人が増える という「正の連鎖」が起きることを願ってやみません。
]]>
↓
クルマを絡めた趣味が広まる
↓
「クルマの運転は楽しい」という事を分かってもらう
↓
運転していて楽しいクルマを欲しがる人が増える という「正の連鎖」が起きることを願ってやみません。