5月17日に商品改良が発表され、31日から発売が開始されたマツダ CX-3に試乗しました。 今回の商品改良では通常の内外装の変更に加え、新エンジンの搭載、シートやサスペンションの変更などを含む大がかりな商品改良が行われました。 従来の1500CCから1800CCへと排気量が変更されたディーゼルエンジン搭載の中心グレード、XD PROACTIVE S Package(2,728,080円・FF・6AT)に試乗し、その実力を検証しました。
エクステリア
フロント ボディカラーはエターナルブルーマイカ
リヤ
エクステリアは18インチアルミホイールのデザイン、フロントグリル、リヤテールランプのデザインが変更されました。
商品改良前のモデルと比較して、一見変更は少ないように見えますが、私はこのエクステリアは大きな変更であると思っています。
CX-3はSUVというよりかはハッチバックとSUVのクロスオーバーカーという立ち位置に感じていましたが、バーを太くしたフロントグリルやスポークを太くして切削光沢面を増やしたアルミホイールは商品改良前モデルよりも力強さが強調され、トヨタ C-HRやホンダ ヴェゼルなど強力なライバル車に対抗するべく、よりSUVの方向へとシフトしているように感じました。
商品改良前モデルの20S PROACTIVE ボディカラーはセラミックメタリック
インテリア
レバー式から電子制御スイッチ式になったパーキングブレーキ
新たに設定されたフロントセンターアームレスト、カップホルダー/マルチボックス
リヤシートのニークリアランス。172㎝の私が運転席のポジションを調整した状態でのニークリアランスは10㎝ほど。
インテリアは目に見えるところではパーキングブレーキが電子制御化されたことでセンターコンソール周辺のデザインが一新され、見えないところではガラスの板厚アップをはしめとした遮音性の向上が図られています。
シートに座り運転を開始すると、アイドリング時のディーゼルエンジン特有のエンジンノイズが低減されていることがすぐにわかります。
また、電子制御式のパーキングブレーキを採用したことにより新設されたアームレストや座り心地が向上したシートによりクオリティが向上しているように感じられ、確実に「いいクルマ」感が向上しています。
さについては172㎝の私が運転席を調整した状態で10㎝ほどと、ライバル車であるC-HRやヴェゼル、そしてスバル XVや三菱 エクリプス クロスよりはタイトではありますが、大人4人が座れる空間は確保できています。
シート
フロントシート
リヤシート
やや硬めの掛け心地となるフロントシートは、今回の商品改良で座面クッションが上級モデルであるCX-8にも使用されている高減衰ウレタンを採用したものに変更され、商品改良前のモデルと比較すると、太もも部分のフィット感が向上してより「楽」な姿勢で運転できるようになっていると感じました。
リヤシートは同乗した営業マン曰く、商品改良前モデルよりも硬めな掛け心地となっているとのことです。
今回の商品改良ではカップホルダー付きのセンターアームレストが追加されているので、リヤシートの快適性は確実に向上していると思います。
エンジン・トランスミッション
CX-3は全車6速ATが設定されていて、特別仕様車を除くディーゼルエンジン全車とFFのガソリンエンジン車では6速MTも選択できる。
1800C
C直列4気筒DOHC直噴ターボディーゼルエンジン(116PS・27.5kgf・m)と6速ATの組み合わせとなります。
今回の商品改良では排気量アップに加え、CX-5のディーゼルエンジンと同様に超高応答マルチホールピエゾインジェクターと新しい形状のピストンの採用による急速多段燃焼の実現により、従来の1500CCエンジンよりも最高出力で11PS向上しています。
排気量アップの恩恵は大きく、アクセルを踏み込んだ時の加速力を維持したまま市街地における低速走行時の加速力がアップしています。
体感的な加速力は市街地走行時に限った場合ではホンダ シビックの1500CCターボエンジンよりも力強く、フル加速ではさすがに最高出力の高いシビックにはさすがにかなわないものの、総合的には2200CCガソリンエンジンレベルの加速力を持っていて、十分な満足を得られる加速力があると感じました。
サスペンション・乗り心地
装着されていたタイヤは専用設計された215/50R18 トーヨープロクセスR52A
フロント ストラット・リヤ トーションビームで構成されるサスペンションは、今回の商品改良では専用設計タイヤの装着とフロントショックアブソーバー、スプリング、スタビライザーの改良、そしてそれに伴うGVCや電動パワーステアリングの制御変更と変更箇所は多岐にわたっていて、「全面改良」に近い変更がされています。
まだ試乗車の配車がされたばかりなので多少硬さを感じる部分を差し引かないといけませんが、乗り心地よりも操縦安定性と上下左右の振動を抑えたフラットライドを優先している感じです。
乗り心地は4輪独立懸架を採用するC-HR、XV、エクリプス クロスよりも硬めで、同じサスペンション形式を採用するヴェゼルよりも硬めになります。
硬めな乗り心地になる分操縦安定性は向上していて、デミオやCX-5と同様ステアリングを切った時の反応が鋭すぎることも鈍すぎることもなく、切った方向にごく小さなロールを伴いながらスッとクルマの向きが変わる印象です。
私自身はこの視点移動の少ない、操縦安定性を重視したフラットで硬めなサスペンションセッティングは好みなのですが、ひょっとすると硬すぎると感じることもあると思うので、購入検討している方は是非試乗してみて許容できる硬さかどうかをチェックしてみてほしいですね。
まとめ
今回の商品改良では全面改良に近い変更が行われたにもかかわらず、価格アップが最小限に抑えられていて魅力が一気にアップしたのではないかと思います。
今回の試乗では乗って感じる部分よりも、このクルマから発する「良いクルマを造り届けたい」というエンジニアの「魂」みたいなものを感じました。
次期モデルではどうやらベースがデミオではなくアクセラになるようで、現在ちょうどいいサイズ(全長4,275㎜・全幅1,765㎜・全高1,550㎜)の大型化は避けられないようです。
この商品改良で販売台数が上向くことによって、次期モデルのサイズアップが最小限に留まるよう願うばかりです。
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