ドライブ中に、交通事故と並んで絶対にやってはいけないのがガソリン切れ。GSが見当たらないと、本当に途方に暮れますよね。そういう事情はロシアでも同じですが、このほどオンラインでガソリンを購入し、駐車先まで出前してくれるスタートアップが2社出現。かの国で話題になっているそうです。Gadgets360というサイトが、ロイター電として報じています(2018年8月7日付け)。
北米やヨーロッパでも人気のサービスが、ロシア上陸
via toplivovbak.ru
こうした燃料の出前サービスは、北米やヨーロッパには既に存在するそうですが、寒さが厳しいロシアでは受けるかもしれないと、記事は書き出しています。
しのぎを削る格好となったのはТопливо в бак社とPump社。後者の名前の意味は訳さずともお分かりでしょうが、前者は直訳すると、「燃料をタンクに」となります。両方共分かりやすいですね。
両社とも、モスクワとサンクト・ペテルブルグ、冬季五輪で有名となったソチ、クラスノダールの4都市などで展開しています。アマゾンなどのような、オンデマンドでの配達事業に触発されたのだそうです。
「Uber化と呼んで差し支えない。食品の配達やタクシー事業もやりたい」と、Топливо в бак社のゼネラル・ディレクターを務めるAlina Kovalevich氏は意気軒昂。ビジネスモデルも、シンプルです。
サービスに登録後、仮にガソリン切れをしたとします。そうしたら、スマートフォンをタップするだけ。位置情報などから、車の位置が分かります。すると、燃料を積んだ最寄りの小さなバンが来て給油して、全てが終わるという流れ。
ちなみに、創業は2017年。前年に創業したPump社の後を追う形でのスタートでした。
カー・シェアリング事業者の他に、一般車のオーナーも
両社のビジネスモデルとして面白いのは、こうした配送バン。ほとんどがカー・シェアリングの事業所なんですが、一般車のオーナーも中にはいるのですって。目下、こうした都市での燃料マーケットとしては、存在感が小さいものの、1日あたりの給油量は、リッターにして1万6000から1万8000。ロシアでは、スタンド1つによる、1日の給油総量に匹敵するそうです。
つまり、サービス的にはニッチというのが現状での評価。ただ、両社とも拡大の余地があると考えています。というのも、関連するテクノロジーが存在するからです。このテクノロジーは、燃料が必要な場合、自動的にバンにメッセージを送るようになっています。自動車のオーナーとキャップのロック・コードを共有し、必要なら開けられるようにもなっているのですって。
「このサービスに加入したら、『ガソリンスタンドって何?』って思ってしまうだろうと」とKovalevich氏は語っています。
まとめ:ロシアのIT大手グループに、早くも買い取られ
「始まって2年も経ってないというのに、ビッグ・マウスな発言だなぁ」と思われた方も多いかと思われますが、将来性を感じたのか、ロシアのIT大手のヤンデックスの系列会社に当たる、ヤンデックス・ドライブ社が、このТопливо в бак社を買収したと、地元のPYMNTS.comが報じています(2018年8月9日付け)。つまり、大手ITグループの一員になったのです。
ただ、買収の目的が、ドライブ社の車への給油だそうでして、今までのような一般車両へのサービスは終了の予定。Pump社1つに戻るそうですから、一般ユーザーには寂しい話かも。なお、ヤンデックス社はUberと提携し、昨年に新会社を設立。「急成長中で、今後も期待できるライド・シェアリングや食品配送、そして物流事業を、ロシアで発展させることが目標だ。そのためにライダーやドライバー、街の需要に応えていきたい」と、ぶち上げていました。ロシアやゼルバイジャン、ベラルーシ、カザフスタン、アルメニア、ジョージアなどで、自社の検索能力とライド・シェアリング事業とを組み合わせた様々な事業の展開を構想中とのことですから、これもこれで興味深いものがありますね。
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