英国で自動運転車による初のレースが開催。地元紙は絶賛も、中国メディアは酷評

英国で今年25年を迎える「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で、初めて自動運転車によるレースが開催されました。地元のタブロイド紙は「成功した」と好意的な報道なのですが、最高速度が125キロだったこともあってか、中国系メディアは「遅いし、退屈?」と酷評しています。背景には、嫉妬心が…?

実物大のラジコンカー? 斬新というか、違和感があるというか…

自動運転車は数あれど、運転席のない車というのは、斬新なのでしょうけど、どこかしら違和感がありますね。実物大のラジコンカーって感じもします。
さて、こうした自動運転でのレーシング・カーを製作し、走行させているのはRoborace社。ビジネス・パーソン向けのソーシャル・メディアであるリンクトインによりますと、本社は英国のロンドンにあり、2015年の創業。従業員数は50人未満とのことですから、いわゆるスタートアップ企業ですね。

YouTubeの公式チャンネルでは、今回のレースについて次のように記しています。
Roborace社では、グッドウッドで初めて公式の自動運転によるレースを完了しました。弊社のロボカーは、1.16マイルのコースを人工知能によるナビゲーションで、無事走行を終えました。25年目を記念するレースで、この記念的な瞬間が達成されたのです。 レースを創設したチャールズ・ゴードン・レノックス公爵は、「人工知能だけで完全に初走行に成功したのは、非常に大きな成果だ。Roborace社が、信じられないほど懸命に働いて実現させ、週末に開催されたフェスティバルで、世の人達にお披露目したことには、大いに興奮している」とおっしゃっています。
歴史に名を残したとなりましょうか。なお、同社ではツイッターでプロモーション展開も行っています。

英国の大衆紙「デイリー・エクスプレス」も好意的な評価

辛辣な口調で知られる英国の大衆紙でも、このレースは好意的に受け止められていました。その1つが、デイリー・エクスプレス紙(2018年7月14日付け)。 「今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、Roborace社の自動運転車が、レースの象徴的な場所であるヒルクライムを成功の内に完走したことは、歴史的な記念となった」と、記事を書き出しているぐらいでした。 同紙によると、360度を検知できる複数のセンサーを車両に搭載し、ディープ・ニュートラル・ネットワークを使った人工知能による学習で、運転できる道路を検知していったのだそうです。 最高速度は120キロ。これは、詰めかけた観客に自動車の外観をよく見てもらおうとしての設定スピードでして、実際にはもっと早く走行が可能だとしています。 同社のロッド・チョン副社長は、 「この画期的な走りを達成できたことを弊社のチームは誇りに思っている。自動車業界で進行中の、驚嘆すべき進歩に世間が注目して欲しいと願っている。一般道で普及している未来から訪れた、技術を携えたアンバサダーであり、このような感動的な走行が、自動運転車に対する一般の認識を変えて欲しいとも思う」 と、エキサイト気味に語っています。

中国サイト「ドライバーのいないF1レース。遅いし、退屈?」

これに対して冷水を浴びせかけたのが、中国の中新網というニュースサイト。エクスプレス紙の記事の配信翌日に「ドライバーのいないF1レース。遅いし、退屈?」との見出しで配信しています。 理由としてあげているのが、次の3点。 ・競争相手のいないコースを、1台だけで走った。
・有人の運転より明らかに遅い。だからスリリングさがない。
・同社は昨年、同じコースで2台をレースさせようとしたが、クラッシュしていた。 以上を踏まえ、「“レースする”という言葉を削除すると、決められたルートでしか動かない自動運転車となろう」と皮肉っています。 更には、ロボット・カーと呼ばれる分野に参入している他のIT企業が行っていることと変わりはないし、テクノロジーの面から見ると、驚くべき点が存在しないとまで書いています。

まとめ:嫉妬?「中国の5月のレースの方がエキサイティングだった」

中新網によると、今年5月に中国の南部でAIを使った自動車レースが開催されていたとのことです。CNNの報道(2017年12月20日付け)によると、どうやら開催地は香港の模様。ただし、グーグル・ニュースで検索した限りでは、どういう結果だったかについて後追いした報道が見当たりません。(少なくとも英語でのニュース配信では) 確かに、1台だけの走行よりも、人との競争の方がニュース・バリューはありますし、なのに今回の英国のレースの方が目立つ格好となってしまうのであれば、嫉妬心がメラメラという感じなのでしょうね。まぁそうなると、気持ちとして理解できるところもあるのですが…。
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