快哉ッ!アルトワークスのある生活

今から3年程前の2015年12月、待望のアルトワークスが復活しました。アルトワークスという名前は、クルマ好きにとって特別な思い入れがあるものです。1987年の2月、2代目アルトの1グレードとしてデビューしたアルトワークスは、軽自動車の64馬力規制の発端となったモデルで、550ccエンジンながら64馬力を発生していました。途中でアルトワークスの名前は途切れてしまいましたが、現行型ではオツリが来るくらいの勢いで戻ってきました。そんなアルトワークスの楽しさをご紹介いたします。

走り出してすぐ「これだよ!」と膝を打つ

アルト ワークス | スズキ (45763)

アルトワークスはこれまでのK6Aエンジンを捨て、新開発のR06Aを搭載しています。出力は64ps/6,000rpm、10.2kg・m/3,000rpmと、670kgの軽量ボディーを引っ張るには十分なもの。 エンジンを掛け、道路に出てアクセルを踏むと、自然と笑みがこぼれてきます。 クロスしたトランスミッションはすぐ吹け切るので、スーパーカブのようにテンポよくギアを上げていくと、リードを外されテンションが上がった子犬のように楽しく加速していきます。
そしてアクセルをオフにするとブローオフバルブから「パシュー」という音が聞こえてきます。 これですこれ!クルマ好きのツボを押さえています。 交差点を曲がる時、タワーバーとカヤバ製のショックが入っていた事を思い出します。車体の剛性感が向上している事もあってか、純正足の腰砕けロールはなく、シャッキリとした感覚をもってターンインしていきます。 走りの楽しいスポーツカーはたくさんありますが、制限速度域の街乗りでここまで楽しめるクルマはそうそうありません。

高速道路

Interstate Night Street · Free photo on Pixabay (45766)

正直な所、アルトワークスで高速道路を走行するのはオススメしません。 クロスレシオのギアのおかげで、100km/hまでスピードを上げるとタコメーターは4,000rpm付近まで上がります。 音はうるさいし、燃費は落ちるし、あまりいいことはありません。 また、全高はトールワゴンほどではありませんが1,500mmあり、なにぶん軽いクルマなもので横風の影響をもろに受けてしまいます。風の強い日に高速道路を走ると常に修正舵を当てなければならず、疲れてしまいます。

山道

アルト ワークス | スズキ (45760)

山道こそがアルトワークスのホームグラウンドです。 前述のタワーバーやKYB製のショック、165/55R15という軽にしては大きいタイヤを装備しているおかげで、上りでも下りでも破綻のない挙動を見せてくれます。 いい意味で、シャーシがパワーに勝っているクルマです。 また、標準装備のレカロシートは座面が少し高いものの、十分なホールド性があり、攻めた走りをしても体がブレることはありませんでした。 市街地と同様に、制限速度内でも実に楽しいドライビングを体感できます。 6,000rpm少しまで引っ張ってシフトアップし、近づいてくるコーナーに備えてブレーキング、ヒール&トゥでギアを落として減速し、タックインの挙動を感じつつクリッピングポイントに触れ、アクセル全開でコーナーを脱出…という、クルマ好きなら血沸き肉躍る一連のこの流れを、60km/h以下で体感できます。

内装・ユーティリティー

アルト ワークス | スズキ (45761)

基本的に車内はノーマルのアルトと同じで、ちょっと狭いけど何とか4人は乗れるし、荷室もあるのでお買い物もできます。リアシートを畳めばタイヤ4本は楽に入ります。 乗り心地や騒音も普通の軽自動車といった具合で、日常使いをするにあたっては、何ら我慢を強いられることはありません。 内装については、いくつかニヤリとできるオモチャがついています。 まず目につくのはレカロのバケットタイプのシートです。 普通のレカロシートとは違い、乗降性を良くするためか座面が高いのが気になりますが、しっかりと体をホールドしてくれます。 性能はともかく、「レカロが付いている」という事だけで所有欲が満たされるのは筆者だけでしょうか。 そ の他には、ブーストが掛かるとメーターの周囲の照明が白から赤に変わる仕掛けが付いています。 ブーストメーターよりも直感的に分かるので、運転がさらに楽しくなります。

まとめ

アルト ワークス スタイリング | スズキ (45771)

現在、軽自動車のスポーツカーとしてはダイハツコペンやホンダS660があり、どちらもとても良くできたクルマです。 しかし、どちらもスーパーカー同様、利便性は犠牲になっています。屋根が開くのは魅力的ですが、シートが2つしかないのは何かと不便です。 反面、アルトワークスは実用車がベースとなっており、ユーティリティーは一切犠牲になっていません。
セカンドカーとしてだけでなく、ファーストカーとしても十分通用する実力を持っています。 仕事帰り、家とは反対方向の峠へアルトワークスを走らせ、迫る上りのコーナーを持ち前の軽さでヒラリヒラリと抜ける。頂上で折り返し、今度は下りのコーナーをKYBのショックと自分の腕を頼りにスイスイとクリアし、ふもとのコンビニで缶コーヒーを飲み、たばこを深々と吸ってみる。 アルトワークスは、仕事帰りにこんな寄り道をしたくなるクルマです。
お父さん世代は身に覚えがあると思いますが、今の若い人たちは、このような日常の中の非日常を知っているのでしょうか。 アルトワークスは、クルマ好きが原点へ立ち返れる素晴らしいクルマです。かつてTE27や310サニーなどで峠を走り回っていたお父さん方に大変オススメできますが、若い人たちに運転の楽しさを知ってもらうにも良いクルマです。 通勤用のセカンドカーを探しているお父さん方、また初めてのマイカーを買おうとしている若い人達、背の高い軽自動車は一旦横に置いておき、スズキのディーラーでアルトワークスを試乗してみてはいかがでしょう?
]]>

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です