クルマを改造したり、アフターパーツを販売する会社は世の中に沢山ありますが、その中には特定のメーカーを対象としたチューナーが存在します。トヨタならTRD、メルセデスならAMGといったような所です。イタリアには、主にフィアット車を得意とするアバルトというチューナーが存在します。「アバルトマジック」と称される事もある彼らのクルマ作りは、世界中のクルマ好きを魅了しています。
アバルトとは?
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アバルトは、1949年、イタリアで創業されました。
社名は創業者のカルロ・アバルトの名前から、アバルトのアイデンティティーであるサソリのエンブレムは彼の星座から取られました。
元々バイクのレーシングライダーだった彼は、第二次世界大戦のためにレーサーとしてのキャリアを諦め、トリノのチシタリアというコンストラクターでモータースポーツ責任者として働くようになります。
しかしチシタリアが財政破綻し、またも挫折を味わってしまった彼は、自ら会社を興します。それが「アバルト」です。
マフラーなどのパーツの販売を始めたところ大当たりし、それを基にレーシングカーの製作などを手掛けるようになっていきました。
格上のクルマを打ち負かすサソリ印の小型車は多くの競技で活躍し、また多くの輝かしい成績を得ていました。
そのため、主にフィアット車を中心とするスポーツグレードのチューニングやアフターパーツの販売は好調でしたが、利益よりも勝利を目指す姿勢が過ぎたためか、1970年代にアバルトはフィアットに買収され、その後はフィアット車の一部門となってしまいました。
しかし、現在は「Abarth & C.S.p.A.」という会社が再組織され、相変わらずフィアット傘下ではありますが独自の活動を行っています。
新車で買えるアバルト
アバルトは2009年に日本に正式導入され、2019年1月時点では77店舗の正規ディーラーを展開しています。
それでは、現在新車で買えるアバルト車をいくつか紹介してみましょう。
ABARTH595
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こちらは現在のアバルトのラインナップの中でのエントリーモデルに位置付けられるクルマです。
フィアット500をベースにチューニングが施され、1.368ccの145ps/5,500rpm、18.4kg-m/2,000rpmを発揮する4気筒ターボを1,110kgの軽量ボディに搭載しています。
組み合わされるトランスミッションは5速MTと、デュアロジックと呼ばれるシングルクラッチ式ATの2種類です。
リッター当たり100馬力を超えるパワーを発揮し、0-100km加速が7.8秒というのですから、このクルマが楽しくないはずはありませんね。
数字だけを眺めていても、クルマ好きならニヤリとしてしまいますね。
燃費も5速MTで13.0km/l、デュアロジックで12.5km/lとなっており、Apple Car PlayやAndoroid Autoに対応したインフォテインメントシステムが搭載されるなど、普段使いも十分に可能なコンパクトカーです。
値段は5速MT(右・左ハンドル)が2,990,000円、デュアロジック(右ハンドルのみ)が3,200,000円と、ベースのフィアット500に比べるとそれなりに高くなってはいますが、アバルト仕様の内外装一式だけでなく、バイキセノンヘッドライトやフォグランプ、ヒーター内蔵ドアミラー等の装備が標準で付いてくるので、決して高くはないどころかむしろお買い得なプライスと言えます。
ABARTH595 Competizione
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こちらは前述の595に更なるチューニングを施したモデルです。
エンジンは595同様1,368ccの4気筒ターボですが、こちらは出力が引き上げられ180ps/5,500rpm、23.5kg-m/2,000rpmという驚きのパワーを叩き出します。
当然0-100km加速は595よりも速く、6.7秒というから驚きです。
1トン少々のボディにこれだけの動力性能を備えていれば、運転はきっと痛快なものになるでしょう。
価格は5速MT(右・左ハンドル)で3,760,000円、デュアロジック(右ハンドルのみ)で3,920,000円と少々張りますが、装備の内容を見ると納得です。
595に装備されている物をベースにし、Sabelt製のカーボンシェルを備えたスポーツシート、ブレンボ製4ポットブレーキキャリパー、ドリルドブレーキディスク(前後)、KONI製ショック、B
MC製エアクリーナー、そしてRecord Monzaエキゾーストシステムを搭載しています。
国産ホットハッチが2台買えるくらいの値段ではありますが、列記したパーツを考えれば実にお得なパッケージです。
これらを後付けするよりも、“全部載せ”を最初から選んだ方がお得ですね。
ABARTH 124 spider
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アバルトのラインナップにおいて、唯一FRレイアウトを持つのがこのモデルです。
昔からのエンスーな方は、アバルト124ラリーを思い出してニヤリとするかもしれません。ある種、オマージュともいえるモデルですね。
こちらはフィアット124をベースにしていますが、そのクルマは何と、マツダのND型ロードスターと車台を共有しています!
言われてみると、なんとなく似ている感じがしますね。ちなみにこれらのクルマは、仕向け地に関係なく広島県のマツダの工場で生産されているそうです。
気になる動力性能を見てみましょう。
1.4Lのマルチエア4気筒ターボを搭載し、170pd/5,500rpm、25.5kg-m/2,500rpmのパワーは6速MTか6速ATを通じて地面に伝えられ、0-100km加速は6.8秒を誇ります。
1.1トン少々の車重に加え、エンジンは前車軸よりも後方に搭載されており、50:50の重量バランスを実現しているので、きっとコーナーも楽しいはずです。
気になるお値段ですが、MTは3,986,000円、ATは4,093,000円で、ベースとなるロードスターの最上級グレードよりも80万円高くなっています。
しかし、上記の595と同様、付いてくるモノを見れば納得するはずです。
ブレンボ製4ポットブレーキキャリパー、単筒式ビルシュタイン製ショックアブソーバー、機械式LSD、フロントストラットタワーバー、アルカンターラスポーツシート等々、刺激的な走りに必要なものは全て装備されています。
もう少し音の刺激が欲しい人は、オプションでRecord Monzaエキゾーストを装着することもできます。
6速MTを選択し、峠道をヒラヒラ走るのも楽しそうですが、6速ATも悪くなさそうです。
こちらは595のいわゆるAMTと違い、昔ながらのトルコン式ATを搭載しているので、街中でもギクシャクせず、スムーズなドライビングを楽しむことができます。
目を吊り上げてコーナーを攻めるのもいいですが、緩やかな山道や海沿いをオープンにしてドライブするのも楽しそうです。
まとめ
via ja.wikipedia.org
アバルトは、小型車に魔法をかけるのが実に上手なチューナーです。
彼らの手にかかれば、退屈なクルマは刺激的なクルマに変身し、既に刺激的なクルマはもっと刺激的なクルマに生まれ変わります。
判で押したようなミニバンや車高も値段も高いSUVに飽き飽きしている方、または往年のアバルトを知るエンスーな方にぜひオススメしたいクルマたちです!
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