2018年8月17日 更新

テキサスのスタートアップのEdgetensor社、AIを使った自動運転車用のドライバー監視システムを開発

やったら駄目な運転として思い浮かぶのは、酔っ払い運転に、脇見運転、そして注意散漫な運転。特に最後については、スマートフォン時代というのもあって、「見ながら運転」も増加しています。これは、自動運転車時代になっても克服すべき課題でして、テキサスのEdgetensor社というスタートアップ企業が、こうした注意散漫なドライバーをAIで監視するシステムを開発。業界関係者から注目されています。FutureCarという自動車情報サイトが報じています(2018年8月8日付け)。

テキサスのスタートアップのEdgetensor社、AIを使った自動運転車用のドライバー監視システムを開発

レベル3での自動運転での注意散漫事故防止目指す

同社のHPより。アメリカでは、注意散漫な運転による事故...

同社のHPより。アメリカでは、注意散漫な運転による事故で、毎日9人が死亡し、1000人以上が負傷していると注意喚起している

自動運転には、5つのレベル区分があります。

レベル0=完全な人による運転
レベル1=システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート
レベル2=システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート
レベル3=特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作
レベル4=特定の場所でシステムが全てを操作
レベル5=場所の限定抜きでシステムが全てを操作

そして、2までが「運転支援」、3〜4が「自動運転」、そして5からが「完全自動運転」となります(以上、『カーナリズム』のHPを参考にしました)。

同社が深刻視しているのは、レベル3での自動運転。「自動車に任せておけば安心」と、ドライバーがついつい油断して、注意散漫な運転をやらかし、挙句に悲劇となってしまうからです。実際、アメリカ運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration=NHTSA)の統計によると、衝突事故の原因の41%が、注意散漫な運転によるものだとされています。また、同社のHPによると、アメリカでは毎日9人が死亡し、1000人以上が負傷しているとのことです。共同創業者兼CEOのRajesh Narasimha氏は、「そんな状況を解決するのが、エッジ・コンピューティングだ」としています。

エッジ・コンピューティングとは、「端末の近くにサーバーを分散配置する」というネットワークコンピューティングの技法の一種。これを、様々なカメラと、安価なハードウェアなどで実現させたとしています。

低電力のAI活用、ドライバーを絶えずモニタリング

Edgetensor社では、低電力で稼働するAIの推論エンジンを活用。これにより、リアルタイムでドライバーや乗っている人たちの様子を、正確にモニタリングできるとしています。 顔や視線、口元の様子もチェックしながら、ドライバーが注意散漫になっていないかどうかを見定めるのだそうです。なお、顔の表情から、感情の動きなどまで分かるとの事です。

「エッジ・コンピューティングの実用が進む中、人工知能の実装には、大変興味を抱いていた。現在の人工知能と言えば、グーグルやマイクロソフト、アマゾンなどが思い浮かぶが、多くはクラウドでの稼働だが、これだと、スピード面での即応性が無い。多くの企業も、データをクラウドに置くことには消極的だ」(Narasimha氏)。

一方、同社共同創業者兼CTOのSoumitry Jagadev Ray氏は、正確性という課題については、AIのディープラーニングによって解決されつつあるとしています。このAIも、低電力で稼働してくれる優れものなのだとか。

ちなみに、Narasimha・Ray両氏とも、世界屈指のエンジニアリングの大学として知られるジョージア工科大学出身。コンピューターに人間の目と同様の視覚情報処理機能を持たせる「コンピュータ・ビジョン」とマシン・ラーニングで博士号を取得しているのがNarasimha氏なら、同じくマシン・ラーニングと計算科学で博士号を取得しているのがRay氏。エッジ処理を使ってAIでの課題克服を、そうした知見で実現させようとしているのだそうです。

ちなみに過去にはアップルに買収された拡張現実のプラットフォームの開発を手助けしたことがあります。現在はiOSの開発業者向けのARKitとして、その世界では知られています。

そんなご両人からみたエッジ処理のマーケットは、「向こう2〜3年で200億ドルの規模になる」とのことです。

まとめ:注意散漫なドライバーには、即座に「喝!」

ちなみに、7月にはテスラの自動運転モードで走っていた車で、ドライバーが明らかに居眠り運転している映像が出回りました。幸いにも怪我人は出なかったものの、メディアの報道で注意喚起される格好になりました。

また、今年3月には、自動運転のUberの車が、アリゾナで歩行者をはねて死なせています。

その模様を収めた映像を、同社ではプロモーションとして活用しています。その後、Uberが同社のモニタリング・テクノロジーを導入し、改善に勤めていたからです。

これが、その映像。視線を解析する加工が、少し悪趣味ですが、運転中にまともに前を見ていないのがお分かりかと。こういう不届き者がいる以上、やはりモニタリングは必要となりましょうか。

書くのが後回しになってしまいましたが、こうした不適切な運転を検知したら、直ちにアラートを鳴らすようになっています。また、顔認証システムで、アラートが鳴った後の変化もモニタリングします。あってはならないことですけど、熟睡した状態で運転する人がいるのでしょうね。

なお、自動運転以外でも、応用が効くのだそうです。保険の世界がそれ。このテクノロジーを使ってリスク評価し、注意散漫なドライバーを特定することが可能なのですって。

となると、自動車保険の世界にも大きな影響が出そうですね。
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