トラックだけじゃない!いすゞのSUV

いすゞ自動車と言えばトラックとバスしか思い浮かばないかもしれませんが、かつては乗用車も作っており、特にSUVは個性的で魅力的なモデルが多かったものです。当時の「クロカン」をSUV全盛の今の視点で見てみましょう!

ビッグホーン

ISUZU:BIGHORN 1998-2002 (58659)

初代ビッグホーンは、1981年(昭和56年)9月にデビューしました。 乗用車のコンポーネントを流用したSUVの先駆けでしたが、装備は貧弱、貨物登録のみ、非力なエンジン(ガソリンもディーゼルも100ps前後)で、国内での売れ行きは伸び悩んでいました。 ですが、ロングボディの4ドア化(1985年までは何と2ドア!)やエクステリアの変更、ドイツのイルムシャー社とサスペンションを共同開発したイルムシャー仕様や、有名な「ハンドリングバイロータス」の設定などで人気を博すようになります。 最終型(1998年~2002年)は以前よりも都会的な見た目になり、若干の高級感すら身にまとうようになりました。 最終型に搭載されたエンジンは118kW(160ps)/3900rpm、333N・m(34.0kg-m)/2000rpmを発揮する4JX1型の直列4気筒DOHC 3.0リッターディーゼルターボと、169kW(230ps)/5600rpm、314N・m(32.0kg-m)/3000rpmを発揮する6VE1型のV型6気筒DOHC3.5リッターNAが選べました。 スペックを見ると、現在でも通用しそうなパワーを発揮していますね。

ミュー

ミュー オープントップ(2001年7月) のカタログ情報(6000773)|中古車の情報なら【グーネット】 (58660)

初代は1989年にデビューしました。 当時は「クロカン」「ヨンク」全盛期であり、トヨタハイラックスや日産テラノ、三菱パジェロなどの強力なライバルに打ち勝つため、いすゞが出したモデルがこちらでした。 車名の「ミュー」は「ミステリアス」と「ユーティリティー」を合わせた造語ですが、確かに発売当初は、3ナンバーなのに2シーターのガソリン車でMTのみというパッケージングはミステリアスだったことでしょう。 ですが当時はまだ景気が良く、レジャーに興味のある若者の心をしっかりと捉えたようです。 ミューの特徴は何と言ってもBピラー以降が開放型になっている事です。 FRP製のトノカバー付きが3ナンバー登録、ソフトトップが1ナンバー登録とされ、3ナンバーモデルは2人乗り、1ナンバーは2/4人乗りとなっていました。 ミューもいすゞらしく、熟成を重ねながら長年作り続けられ、日本国内では2002年まで生産されていました。 途中、ディーゼルターボもラインアップしていましたが、最終型はガソリンエンジンのみとなり、158kW(215ps)/5600rpm、294N・m(30.0kg・m)/3000rpmを発揮する6VD1型のV型6気筒3.2リッターが搭載されていました。 確かにこのクルマは、好景気でなければ売れなさそうですね。

ビークロス

ビークロス ベースグレード(1997年11月) のカタログ情報(6000750)|中古車の情報なら【グーネット】 (58661)

ビークロスは1997年に発表されました。 ハードなクロカンか、乗用車ベースのライトなSUVしかなかった時代に初めて「スペシャルティ+SUV」という、今で言う所の「クロスオーバー」の概念を持ち込んだクルマです。 特徴的で奇抜なデザインは、1993年の東京モーターショーに出品されたコンセプトモデルのスタイリングをほぼそのまま維持しています。 搭載されるエンジンはスペシャルティらしく、215ps/5600rpm、29.4kg・m/3000rpmを発揮する6VD1型のV型6気筒3.2リッターガソリンエンジンのみとなっていました。 型式こそビッグホーンやミューに搭載されているエンジンと同一ですが、EGRの電子制御バルブ採用、動弁系のフリクション低減、シリンダーヘッドの軽量化など、大幅な改良が施されています。 レカロ製セミバケットシート、MOMO製革巻きステアリング、当時としては珍しかったバックモニター等を標準装備しつつも、価格は295万円というお手頃価格で販売されていました。 これは部品の流用によるコストカットの賜物で、シャーシやエンジン、ミッション等は当然他のいすゞ車から流用し、灯火類は何と他メーカー車から流用していました。 こうしてスペシャルティSUVというジャンルを確立しましたが、ビークロスが受け入れられるにはまだまだ早かったようです。 同じく1997年、もっと乗用車寄りのスペシャルティSUVとしてトヨタハリアーが発売されましたが、こちらの方がもっと人気があったようです 。 そのため、発売から2年で販売終了となってしまいました。 今このようなクルマが出ていれば、世の中の反応はきっと良かったと思いますが…

まとめ

いすゞ・D-MAX - Wikipedia (58662)

かつてのいすゞ自動車は、確かに個性的で魅力的なSUVを作っていました。 ビッグホーンのSUVながらもオンロード性能を重視した「ハンドリングバイロータス」のコンセプトや、ビークロスのスペシャルティSUVというジャンルは現代でも通用するものなので、いすゞ自動車にはぜひもう一度SUVにチャレンジしてもらいたいものです。 或いは、海外で販売しているピックアップトラックの「D-MAX」を日本でも販売してもいいかもしれません。 トヨタハイラックスがあれだけ人気を博しているので、きっとこちらも人気が出るはずです。 今回紹介したようなクルマのコンセプトを引き継ぎ、現代の基準で開発すれば、きっとステキなクルマができる事でしょうね。
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