首都高速に新たな動き 東京五輪開催期間にロードプライシングを検討

首都高速道路の利用料金が変わるかもしれません。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催期間中における首都高速の渋滞緩和のために国、東京都、大会委員会は「ロードプライシング」を導入する方針を固めたそうです。本当にそれでいいのでしょうか?独自目線で考察します。

ロードプライシングとは

東京2020エンブレム|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 (53876)

聞き慣れない方も多いと思いますので、「ロードプライシング」という言葉からご説明します。 ロードプライシングとは、ある特定の道路に通行料を課金、あるいは既存の有料道路の料金を時間帯で変動させることにより意図的にクルマの交通量を調整する働きを意味します。 上記の通り仕組みは大きく二つに分けられており、 ①一般道路等に料金を設ける「課金型ロードプライシング」
②有料道路における料金を時間帯で調節することで交通量を調整する「料金調整型ロードプライシング」 と区別されています。 前者(①)は主に諸外国で用いられている道路交通量の調整方法ですが、日本において検討されているのは首都高速…つまり有料道路における料金を時間帯で調節するという働きなので後者(②)にあたります。 それでは首都高速に焦点を当てての考察に移りたいと思います。

首都高速におけるロードプライシング

首都高道路交通状況マップ|mew-tiミューティー (53879)

現在の首都高速の利用料金、みなさんは把握されているでしょうか? ETC装着の普通車の場合、首都高速の利用料金は0.1㎞毎に10円単位で加算されている仕組みです。下限料金300円(4.4㎞まで)、上限料金は1,300円です。これに都心流入割引などの例外が適用されています。 現金での場合は一部例外を除き1,300円です。 今回の首都高速におけるロードプライシングはここを見直そうとする働きです。 具体的には「大会関係者の輸送が多い時間帯は現行料金の2倍程度とし、輸送が少ない時間帯をその分値下げする」という案です。 これはつまり「大会開催期間における開催時間中は首都高速の通行料が2倍程度になる」ということです。 首都高速は東京都だけでなく、神奈川県・千葉県・埼玉県にも展開されているので、各自治体や物流団体との協議や調整も課題として盛り込まれています。首都高速最大料金2,600円程度は思いのほか現実味を帯びているのかもしれません。

首都高速の通行料が2倍になると何が起こるのか?

Traffic Jam

Traffic Jam

大会の各競技開催時間はまだ存じ上げませんが、まさか夜中に行うということもないでしょう。
ともすれば首都高速の料金が2倍程度になるのはやはり日中。経済活動が盛んに行われている時間帯です。 仮に、日中から夕方にかけて首都高速の料金が2倍になった場合、何が起こるのでしょうか? 答えは都心の一般道路の大渋滞です。特に首都高速に面している国道・都道の渋滞は悲惨極まりないものとなるでしょう。 なぜここまで言い切れるのか…それは私が元タクシードライバーだからです。 少々話は外れますが、平日の日中から夕方にかけては一般道路も首都高速も基本的には混雑します。
当たり前ですがタクシー利用者は一般道路の混雑を特に嫌います。「時間メーター」が作動して運賃が増々上がってしまうからです。 これを逆手に取った利用方法が首都高速の活用です。首都高速を含めた有料・高速道路利用時には「時間メーター」は停止します。
つまり純粋に距離だけの運賃計算となりますので、一般道での混雑・信号待ちで運賃が上がるなら、首都高代を負担してでも首都高速で目的地に向かった方が結果早く、安くタクシーを利用出来るのです。 乗務員もこれを理解しているのでお客様には首都高速の利用を促しています。
結果的に一般道路と首都高速のある程度の使い分けが成り立ち、一般道路の混雑軽減に繋がっているのです。 ところが首都高速の料金が倍になれば話は変わります。今まで首都高速を利用していたお客様は首都高速を嫌がり一般道での運行を選択するでしょう。仮にそれが結果高くなってしまうとしても、既存の利用料金が倍になるというのは躊躇してしまうものなのです。慣れの期間がどうしても必要なのです。 今でも混雑の激しい一般道路もより大きな混雑を招くでしょう。事故の増加も予想されます。 個人的に一番大きな影響 が出ると考えられるのは、首都高速3号渋谷線の真下を走る「六本木通りと国道246号線」です。 ですので現状私はこの施策案に反対しています。

代替案としてパーク&ライドの普及と促進を

鎌倉市/パークアンドライド (53885)

そもそもオリンピック会場にクルマで向かうこと自体がある意味で無謀とも言えます(パラリンピックは各々事情もあると考えますので特に言及は致しません)。 ではどのような代替案が考えられるか? そもそも公共交通機関を利用すればよいと思います。以前に私が提唱した通りになれば自動運転技術を活用したチャーター便も実現できているかもしれませんし、ここまで首都高速の話を進める以上は利用者に納得のいく説明をする義務もあると考えています。 ですがクルマの活用も視野に入れたいのはわかります。 そこで「パーク&ライド」を提案したいと思います。 上記の画像は鎌倉市が取り組むパーク&ライドの一例です。
鎌倉にクルマで観光に向かう際、鎌倉中心部までクルマで行くのではなく、鎌倉地域の周辺にある既存の駐車場に駐車し、江ノ電等の公共交通機関に乗り換えて鎌倉中心部などの目的地に向かう方法です。 余談ですが鎌倉の例ですと、駐車場代と江ノ電フリー切符がセットになったプランとして観光客に提案されています。これにより鎌倉中心部を始めとした湘南エリアの慢性的な渋滞を防ごうとしているわけです。 今回の東京五輪においても同様のシステムを活用するべきだと提案します。 しかし日本全国各地から人やクルマが集まる可能性が高いので、駐車場エリアは東京だけではなく、神奈川・千葉・埼玉との連携も必要不可欠です。 そして各鉄道会社とも連携を図り、単に首都高速の交通量を調整するのではなく、首都圏の交通機関全体が一丸となってこの課題に取り組むべきだと私は考えます。

まとめ

東京五輪においては何かと否定的な意見が続出しておりますが、基本的には私は賛成しています。
しかし、何か大きな犠牲を伴ってまで開催すべきかというとそうでもありません。 世界から「すごいシステムを構築したものだ」と今後の世界の雛形になれるような仕組み・体制を築き上げていただきたいと思います。
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