高速道路を長い時間走るとき、休憩をどのくらいの間隔で入れればよいのか。先に結論を書くと、自家用車を運転する人に向けて目安を示しているのは、道路を管理している高速道路会社です。NEXCO東日本は、居眠り運転の防止を呼びかけるページで「運転は、2時間に1回は休憩しよう」と示しています。ここで押さえておきたいのは、これが呼びかけであって、自家用車の運転者に休憩の間隔を義務づけた規定ではないという点です。
仕事として運転する人には、数字の入った基準が別にあります。厚生労働省の改善基準告示は、トラック運転者の連続運転時間を4時間を超えないものとし、その間に合計30分以上の運転の中断を取ることを求めています。2024年4月1日から適用されているものです。自家用車には適用されませんが、国が定めた上限として公表されている数字であり、走行計画を立てるときの手がかりになります。
このページでは、休憩について公表されている数字を、高速道路会社の呼びかけ、事業用運転者に適用される告示、SA・PAが置かれている間隔、休憩施設が足りない区間のための一時退出制度、という4つに分けて整理します。眠気の医学的な仕組みや、どの飲み物がどれだけ効くのかといった話は、一次情報で裏を取れる範囲を超えるため扱いません。
「2時間に1回」は高速道路会社の呼びかけ
NEXCO東日本は、ドラぷらの「STOP!! 居眠り運転」で、長距離ドライブによる疲労と眠気のために居眠り運転におちいる可能性があるとして、2時間おきに休憩をとるよう計画することを呼びかけています。あわせて示されているのは、休憩中に体を動かして体も気分もリフレッシュすること、脳の活性化を促すコーヒーなどのカフェインの摂取も効果的であること、十分な睡眠をとって常に健康な良い状態で運転できるよう心がけること、の3点です。
このページに書かれているのは間隔だけです。1回の休憩を何分取ればよいかという長さの目安は示されていません。つまり自家用車の運転者にとっては、「2時間走ったら停まる」ところまでが公表された目安で、どれだけ休むかは自分で判断する部分になります。
事業用の運転者には「4時間」という上限がある
厚生労働省の改善基準告示は、トラック・バス・タクシーの運転者について、拘束時間や休息期間の上限を定めたものです。令和4年12月23日に改正され、2024年(令和6年)4月1日から適用されています。トラック運転者について公表されている数値は次のとおりです。
| 項目 | 公表されている基準 |
|---|---|
| 連続運転時間 | 4時間を超えないものとする(やむを得ない場合は30分まで延長できる) |
| 運転の中断 | 1回がおおむね10分以上、かつ合計が30分以上 |
| 運転時間 | 2日を平均し1日当たり9時間、2週を平均して1週当たり44時間を超えない |
| 休息期間 | 継続11時間以上を基本とし、継続9時間を下回らない |
| 1か月の拘束時間 | 原則284時間以内(労使協定により年6か月まで310時間まで延長できる) |
| 1年の拘束時間 | 原則3,300時間以内 |
出典は厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(確認日2026-09-03)です。バスとタクシーには別の数値が定められているため、この表の値をそのまま当てはめることはできません。
読み方で間違えやすいのが「連続運転時間」の意味です。これは単に運転席に座っていた時間ではなく、1回がおおむね10分以上、合計が30分以上の運転の中断をはさまずに走り続けた時間を指します。5分の停車を6回はさんでも、1回あたりが10分に届かなければ中断として数え直せない、という構造になっています。長さと回数の両方に条件が付いている点が、自家用車向けの「2時間に1回」との大きな違いです。
自家用車を運転する人が、この4時間という数字をそのまま自分の上限として使うのは筋が通りません。トラック運転者は業務として運転しており、休息期間や拘束時間の上限もあわせて管理されているためです。参考になるのは数字そのものより、「途切れずに走った時間」を管理の単位に置いている考え方のほうです。走った距離ではなく、停まらずに走った時間で区切る、という発想は自家用車でもそのまま使えます。
休憩できる場所は、PAが約15km、SAが約50kmおき
間隔を決めても、停まれる場所がなければ計画になりません。休憩施設の置かれ方には目安があります。NEXCO東日本は、PAはだいたい15km間隔に一つ、SAは50km間隔に一つを目安に設置することになっている、と説明しています。高速道路を建設するときに、前後のSA・PAの立地状況を見ながら、新しく作る休憩施設をSAにするかPAにするかを計画する、という進め方です。
SAとPAの区分そのものは国土交通省が定義しています。高速道路の休憩施設は、提供するサービスの内容と、休憩施設どうしの位置関係によってSAとPAに区分されています。
| 区分 | 備わっている施設 | 設置間隔の目安 |
|---|---|---|
| サービスエリア(SA) | 休憩所、駐車場、トイレに加え売店、食堂、給油所など | 約50kmごとに1か所 |
| パーキングエリア(PA) | 駐車場、トイレ、必要に応じ売店 | 約15kmごとに1か所 |
施設の内容は国土交通省「道路についての定義・用語」、設置間隔の目安はNEXCO東日本の説明によります(いずれも確認日2026-09-03)。
この表は「必ずそろっている」という意味ではありません。NEXCO東日本は、すべてのSAにそうした施設があるわけではなく、利用状況に応じてレストランが無いSAやガソリンスタンドが無いSAもある、と説明しています。PAについては、トイレはすべてにあるものの、売店やガソリンスタンドなどは利用状況などを検討したうえで設けるかどうかを判断するとされています。給油や食事を前提に走る日は、施設の名前がSAかPAかではなく、その施設に何があるかを個別に確認する必要があります。
間隔が空く区間には「一時退出」の仕組みがある
目安どおりに並んでいない区間もあります。国土交通省は、休憩施設どうしの間隔が概ね25km以上離れている空白区間が約100区間存在すると公表しています。この空白区間を半減することを目指して行われているのが、高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の社会実験です。
内容は、ETC2.0搭載車が対象のインターチェンジで高速道路を降り、道の駅に立ち寄ったうえで2時間以内に再進入した場合に、降りずに利用した料金のままとするというものです。対象になるのは、休憩施設の間隔が概ね25km以上あり、かつインターチェンジから2km以内に位置する道の駅で、国土交通省が令和4年4月15日に公表した時点で全国29箇所が対象でした。ETC総合情報ポータルサイトでも、対象は29箇所の道の駅と案内されています(確認日2026-09-03)。
時間の上限は変わってきています。もともとは1時間で、令和2年3月27日0時から3時間へ引き上げられ、その後、令和4年7月1日0時から2時間へ変更されました。いま参照すべきは2時間です。古い記事や案内では3時間と書かれていることがあるため、出発前に現在の条件を確認してください。
この仕組みは社会実験として実施されているもので、どのインターチェンジとどの道の駅が対象かは個別に指定されています。ETC2.0を積んでいない車は対象になりません。使う予定があるなら、走る路線の対象箇所を事前に調べておく作業が要ります。
出発前に決めておくと迷わないこと
ここまでで確認できた数字から、計画に落とせるものを並べます。いずれも上に挙げた公表資料にもとづくもので、この記事の独自の推奨ではありません。
- 停まる場所を先に決める。NEXCO東日本が呼びかけているのは2時間おきの休憩を「計画すること」であり、走りながら探すことではありません
- 給油と食事は施設ごとに確認する。給油所や食堂が無いSA、売店が無いPAがあると高速道路会社自身が説明しています
- 空白区間に入る前に停まる。休憩施設の間隔が概ね25km以上あく区間が全国に約100区間あります
- 一時退出を使うなら、対象のインターチェンジと道の駅、そして2時間という上限を出発前に確認する
途切れずに走った時間で区切るという考え方は、事業用運転者の基準の組み立て方と同じです。走行距離ではなく時間を単位にすると、渋滞に巻き込まれた日でも判断の基準が変わりません。
今回、確認できなかったこと
自家用車の運転者について、休憩の間隔を定めた法令があるかどうかは確認できていません。道路交通法の条文を掲載しているページが自動での取得に対応しておらず、条文そのものを一次情報として引けなかったためです。このページで扱っているのは、高速道路会社の呼びかけと、事業用自動車の運転者に適用される厚生労働省の告示の2つで、自家用車について運転時間そのものを制限する規定の有無には触れていません。
自家用車向けの「1回の休憩は何分取ればよいか」という目安も、今回参照した資料には見当たりませんでした。また、SA・PAが全国に何か所あるかという総数と、令和4年以降に一時退出の対象となる道の駅が増減したかどうかも、確認できた資料の範囲では分かりませんでした。
長距離を走る前の点検についてはタイヤとメンテナンスで、走行中に異常が出たときの対応は故障・トラブルで扱っています。出発の朝にエンジンがかからないという場面については、車のバッテリー交換時期の見極め方で年数と症状の見方を整理しました。道路の制度そのものの改正は交通ルール・制度にまとめていきます。