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日常点検と定期点検の違い|自分で見る7箇所と工場に頼む29項目

自家用乗用車の点検は、使用者が適切な時期に行う日常点検と、1年ごとの定期点検に分かれます。道路運送車両法と自動車点検基準をもとに、日常点検の7箇所、定期点検の周期と項目数、記録簿の保存期間、車検との違いを整理します。

日常点検と定期点検の違い|自分で見る7箇所と工場に頼む29項目 - チビカのニュースカード

自家用乗用車の点検は、2つに分かれています。使用者が自分の判断した時期に行う日常点検と、決められた周期で行う定期点検です。どちらも道路運送車両法にもとづく使用者の義務で、車検(検査)とは別の制度として置かれています。国土交通省も、点検整備の実施はユーザーの義務として法令でも規定されています、と案内しています。

先に、混同しやすい点をひとつ整理します。車検を受けたことで、点検整備を済ませたことにはなりません。国土交通省は「検査(車検)と点検整備は違います」という見出しを立てたうえで、検査を「検査時点において自動車が安全・環境基準に適合しているか、一定期間ごとに国が必要最小限のチェックをしているもの」と説明しています。ある時点での適合を確認する仕組みであって、次の車検までの状態を保証するものではありません。

このページでは、日常点検で見る7つの箇所、定期点検の周期が車種でどう分かれるか、そして点検の結果をどこへ残すのかを、道路運送車両法と自動車点検基準(省令)、国土交通省の案内から順に整理します。整備の料金や、どの工場に頼むと安いかは扱いません。車の状態と工場ごとに変わるもので、公表値では確認できないためです。

義務は3つの条文に分かれて書かれている

「点検の義務」と一口に言っても、法律の中では役割の違う条文が並んでいます。最初に位置関係をつかんでおくと、あとの話が読みやすくなります。

出発点は道路運送車両法第47条です。「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない」と定めています。ここで言われているのは、点検と整備は目的ではなく手段で、目的は保安基準に適合する状態を保ち続けることだ、という組み立てです。

その手段が、続く2つの条文で日常点検と定期点検に分かれます。第47条の2が日常点検整備、第48条が定期点検整備です。そして具体的にどこを見るかは法律本文ではなく、国土交通省令である自動車点検基準の別表に置かれています。第47条の2第1項の技術上の基準は自動車点検基準第1条が、第48条第1項の技術上の基準は同第2条が、それぞれ車の区分ごとに別表を指定する形です。

道路運送車両法第47条の維持義務から第47条の2の日常点検整備と第48条の定期点検整備が分かれ、どちらも第49条の点検整備記録簿へつながり、検査(車検)は別の制度として置かれていることを示した関係図
黄色い枠が2つの点検、黒い帯が全体をまとめる条文です。どこを見るかは法律本文ではなく、自動車点検基準の別表に書かれています。出典:道路運送車両法/自動車点検基準(e-Gov法令検索)、国土交通省「点検整備の種類」。確認日2026-09-04。

条文が分かれている以上、片方をやれば他方が免除される関係にはありません。日常点検をこまめにやっていても定期点検の義務は残り、定期点検を工場に出しても日常点検の義務はなくなりません。

日常点検で見るのは7箇所(自動車点検基準 別表第二)

自家用乗用自動車の日常点検の中身は、自動車点検基準の別表第二に書かれています。第1条が、法第48条第1項第3号に掲げる自動車については別表第二による、と指定しているためです。全文は次のとおりです。

点検箇所 点検内容
1 ブレーキ 1 ブレーキ・ペダルの踏みしろが適当で、ブレーキのききが十分であること。
2 ブレーキの液量が適当であること。
3 駐車ブレーキ・レバーの引きしろが適当であること。
2 タイヤ 1 タイヤの空気圧が適当であること。
2 亀裂及び損傷がないこと。
3 異状な摩耗がないこと。
4 溝の深さが十分であること。
3 バッテリ 液量が適当であること。
4 原動機 1 冷却水の量が適当であること。
2 エンジン・オイルの量が適当であること。
3 原動機のかかり具合が不良でなく、かつ、異音がないこと。
4 低速及び加速の状態が適当であること。
5 灯火装置及び方向指示器 点灯又は点滅具合が不良でなく、かつ、汚れ及び損傷がないこと。
6 ウインド・ウォッシャ及びワイパー 1 ウインド・ウォッシャの液量が適当であり、かつ、噴射状態が不良でないこと。
2 ワイパーの払拭状態が不良でないこと。
7 運行において異状が認められた箇所 当該箇所に異状がないこと。

出典は自動車点検基準 別表第二です(e-Gov法令検索、確認日2026-09-04)。点検箇所は7つ、その下に並ぶ点検内容は合計16あります。

この表を読むときに効いてくるのが、法第47条の2第1項が定めている点検の方法です。同項は「目視等により自動車を点検しなければならない」としています。分解も測定器も前提にしていません。液量が適当か、亀裂がないか、点灯するか、といった、見れば分かる範囲に絞られています。7番目の「運行において異状が認められた箇所」だけは箇所が固定されておらず、前回までの運行で気づいたことを持ち越して確かめる項目です。

もうひとつ気づきたいのは、7箇所のうち5箇所は液体か消耗品に関するものだという点です。ブレーキ液、バッテリ液、冷却水、エンジン・オイル、ウインド・ウォッシャ液。どれも走行のたびに少しずつ減るか劣化するもので、ある日突然壊れる部品とは性質が違います。日常点検が「適切な時期に繰り返す」形になっているのは、この性質に合わせたものだと読めます。

「一日一回、運行の開始前」は自家用乗用車の話ではない

日常点検について、運行前に毎回やるものだという説明を見かけることがあります。これは車の区分によって正しくも誤りにもなります。条文が2項に分かれているためです。

第47条の2第1項は、使用者は「自動車の走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に」点検しなければならない、としています。自家用乗用自動車に適用されるのはこちらです。回数も間隔も条文には書かれておらず、走らせ方から使用者が判断することになっています。

一方、第2項は「次条第一項第一号及び第二号に掲げる自動車の使用者又はこれらの自動車を運行する者は、前項の規定にかかわらず、一日一回、その運行の開始前において、同項の規定による点検をしなければならない」と定めています。第48条第1項第1号と第2号、つまりバス・タクシー・トラックなどの事業用自動車や、車両総重量が大きい自家用自動車などが対象です。国土交通省の案内も、マイカーは適切な時期に、事業用自動車は一日一回その運行の前に実施することが義務づけられている、と書き分けています。

自家用乗用車に「運行前に毎回」という条文上の義務はありません。ただし、適切な時期を判断するのは使用者自身です。長距離を走る前、しばらく動かしていなかった車を出すとき、前回の運行で気になる音があったときなど、判断の材料は走らせ方の中にあります。

定期点検の周期は3つに分かれる

定期点検の周期は、道路運送車両法第48条第1項が車の使われ方で3つに区分しています。そして区分ごとに、適用される自動車点検基準の別表も変わります。

道路運送車両法 第48条第1項 点検の期間 適用される点検基準
第1号(自動車運送事業の用に供する自動車、車両総重量8トン以上の自家用自動車など) 3か月ごと 別表第三(被牽引自動車を除く)/別表第四(被牽引自動車に限る)
第2号(有償で旅客を運送する自家用自動車、貸渡用の自家用自動車など) 6か月ごと 別表第五(二輪自動車を除く)/別表第五の二(二輪自動車に限る)
第3号(前2号以外の自動車。自家用乗用自動車はここに入る) 1年ごと 別表第六(二輪自動車を除く)/別表第七(二輪自動車に限る)

出典は道路運送車両法第48条と自動車点検基準第2条です(e-Gov法令検索、確認日2026-09-04)。かっこ内の対象は主なものを示したもので、正確な範囲は条文の各号で確認してください。

自家用乗用自動車が第3号に入るということは、周期の面では法律上いちばん緩い区分に置かれているということです。事業用自動車が3か月ごとなのに対し、1年ごとで足りるとされています。公益性や加害性、車両の摩耗や劣化の度合いを考えて区分が定められている、という考え方です。

ここで、車検の周期と混ざらないように気をつけたいところがあります。自家用乗用自動車の車検は初回3年、以降2年ですが、定期点検は1年ごとです。周期がそろっていないため、車検の年に定期点検を受けただけでは、その間の年が空きます。車検の周期そのものは車検はいつ受ける?有効期間と2か月前ルール、3つの受け方で整理しています。

1年ごと29項目、2年ごと60項目

では、その1年ごとの点検で何項目を見るのか。国土交通省は、自家用乗用自動車(マイカー)について、1年ごとに29項目、2年ごとに60項目と公表しています。2年ごとの60項目には、1年ごとの29項目が含まれます。

つまり、2年ごとの点検で追加される項目は31です。2年ごとの点検は、1年ごとの点検とは別に受けるものではなく、その年だけ範囲が広がるものと捉えるのが実態に近くなります。国土交通省は定期点検整備を、日常点検より少し大がかりな点検整備で、専門的な知識・技術も必要なので、国の認証を受けた整備工場に依頼されることも可能、と説明しています。日常点検が目視等で足りるのに対し、定期点検は分解や測定を含むため、依頼する前提で制度が組まれています。

国土交通省「点検整備の種類」のページ
29項目・60項目という数と、日常点検整備・定期点検整備の説明を転記した公式ページです。日常点検項目チェックシートなどのPDFも、このページから配布されています。 確認日:2026-09-04。 出典:国土交通省「点検整備の種類」

日常点検の7箇所のうち、実際のトラブルにつながりやすい箇所がどこかは、救援の統計からもうかがえます。JAFが公表している2025年度(2025年4月〜2026年3月累計)のロードサービス出動理由では、高速道路の四輪車で1位が「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」の26,985件で、構成比は44.02%でした。別表第二がタイヤに4つの点検内容を割いているのは、この位置づけと整合します。バッテリーの見方は車のバッテリー交換時期の見極め方、タイヤの溝や交換の目安はタイヤで扱います。

車検と点検整備は、別々に続く

冒頭に挙げた混同を、もう一度別の角度から整理します。国土交通省が「検査(車検)と点検整備は違います」という見出しを立てているのは、この2つが同じ場所で同じ日に行われることが多いためです。整備工場に車検を出せば、法定点検も一緒に済むことがあります。しかし制度としては、検査は国が行う適合性の確認で、点検整備は使用者に課された義務です。

検査(車検)と点検整備を、だれが行うか、何を見るか、自家用乗用自動車の周期、位置づけの4項目で左右に並べて比べた図
左が国の行う検査、右が使用者に課された点検整備です。周期の欄を見ると、車検の2年と定期点検の1年がそろっていないことが分かります。出典:国土交通省「自動車の点検整備」「点検整備の種類」/道路運送車両法。確認日2026-09-04。

国土交通省は、点検整備を行わないと走行中に故障したり、排出ガスの増加、燃料の浪費等を招きかねない、と説明しています。制度の側にも、状態が悪い車を放置させない仕組みが置かれています。同省の「点検整備に関する制度」のページには、保安基準に適合していない車の使用者へ整備を命じる整備命令、劣化や摩耗で基準に適合しなくなるおそれがある場合の点検等の勧告、一定台数以上を保有する使用者に専任を求める整備管理者制度が挙げられています。

点検の結果は記録簿へ残す

点検して、必要なら整備して、そこで終わりではありません。道路運送車両法第49条が点検整備記録簿を定めており、記載する内容と保存の期間は自動車点検基準第4条に置かれています。

同条第1項が挙げている記載事項には、登録番号または車両番号もしくは車台番号、点検または特定整備時の総走行距離、点検または整備を実施した者の氏名・名称および住所が含まれます。保存期間は第2項にあり、第2条第1号から第4号までに掲げる自動車は1年間、同条第5号および第6号に掲げる自動車は2年間です。自家用乗用自動車は第5号(法第48条第1項第3号のうち二輪自動車を除くもの)に当たるため、保存期間は2年間になります。

点検する、整備する、点検整備記録簿に記載する、2年間保存する、という4つの工程を左から右へ並べ、それぞれの根拠となる条文を添えた図
4つ目まで進んで一巡します。記載事項は自動車点検基準第4条第1項のうち主なものを挙げています。出典:道路運送車両法/自動車点検基準(e-Gov法令検索)。確認日2026-09-04。

記録簿は、次に整備を頼むときの前提になります。前回どこを見て何を交換したかが残っていれば、同じ確認を繰り返さずに済みます。売却するときに整備の履歴として扱われることもありますが、査定にどう反映されるかは事業者ごとの判断で、公表された基準を確認できていないため、ここでは扱いません。

9月と10月は点検整備の強化月間

制度の話とは別に、周知の側の動きも押さえておくと予定を立てやすくなります。国土交通省は、関係団体等で構成する自動車点検整備推進協議会、大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会と協力して、自動車点検整備推進運動を実施しています。その強化月間は9月および10月です。

この期間に点検を受けなければならないという決まりではありません。ただ、点検整備の呼びかけが集中する時期であり、日常点検の項目を見直すきっかけとしては使えます。国土交通省のページからは、日常点検項目チェックシート、日常点検のやり方、大型車の例、OBD点検に関するQ&A、自動車の点検及び整備に関する手引がPDFで配布されています。

今回、確認できなかったこと

定期点検を実施しなかった場合の扱いは、今回参照した資料では確認できませんでした。法第47条と第48条が使用者の義務として定めていることまでは条文で確認できましたが、自家用乗用自動車について罰則があるかどうか、あるとして条文のどこに置かれているかは、確認できた範囲では特定できていません。

別表第六と別表第七の具体的な点検項目も、この記事には載せていません。e-Gov法令検索の法令データを参照しましたが、別表第六以降の全文を取得できず、29項目・60項目という数は国土交通省の案内から引いています。装置ごとの内訳は確認できていません。

日常点検の項目数についても、注意が要ります。この記事では別表第二を数えて点検箇所7つ、点検内容16と書きました。一般に「15項目」と呼ばれることがありますが、その数え方の根拠になっている資料を今回は確認できていないため、別表の記載をそのまま数えた形にしています。

自家用乗用自動車の定期点検整備の実施率、路上故障の装置別内訳も、今回の範囲では数値を確認できていません。国土交通省の路上故障調査結果はPDFで公開されていますが、内容を取得できませんでした。

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