新技術・安全技術

三菱とゲヒルン、アウトランダーPHEVベースの災害対策車5号機を配備

ゲヒルンと三菱自動車が2026年9月1日に運用を開始した災害対策車について、発表に書かれた車両の構成・3つの目的・配備先を表記のまま整理し、給電能力や価格の記載がないことも示します。

三菱とゲヒルン、アウトランダーPHEVベースの災害対策車5号機を配備 - チビカのニュースカード

この記事は、三菱自動車工業株式会社が 2026/09/01に公表した発表を一次情報にしています。 価格・発売日・仕様は発表の表記をそのまま記録しています。

出典:ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備(確認日 2026/09/17)

ゲヒルン株式会社と三菱自動車工業は2026年9月1日、災害対策車「特務機関NERV制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GN0W(改)」を共同製作し、同日から運用を開始したと発表しました。ベースになっているのは『アウトランダーPHEV』の特別仕様車「BLACK Edition」で、配備先は東京都千代田区と書かれています。

新型車の発表でも、価格の発表でもありません。プラグインハイブリッド車が積んでいる駆動用バッテリーと給電機能を、停電と通信障害が同時に起きている状況でどう使うのかを、実際の車両の形で示した発表です。電動車を「動く電源」として見る話は、車を選ぶときの材料としてよく語られます。この記事では、その材料としてこの発表から何が読み取れて、何が読み取れないのかを分けて整理します。

三菱自動車工業の公式ニュースリリース「ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備」のページ
公式発表の引用キャプチャ。 この記事が一次情報にしている三菱自動車工業の発表ページの冒頭を引用しています。掲載内容は変更されることがあります。最新の内容はリンク先の原文を確認してください。 確認日:2026-09-17。 出典:ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備

発表に出てくる名称を、表記のまま並べる

まず、発表に書かれている名称をそのまま整理します。車名も機器名も、当サイトで短くしたり言い換えたりはしていません。

項目 発表での表記
車両の名称 特務機関NERV制式 電源供給・衛星通信車両 5LA-GN0W(改)
ベース車 『アウトランダーPHEV』の特別仕様車「BLACK Edition」
搭載機器 SpaceX社の衛星通信サービスのアンテナ
搭載機器 準天頂衛星「みちびき」を利用した衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の端末
配備先 東京都千代田区
運用開始 2026年9月1日

名称に「5号機」と付いているとおり、この形の車両が作られたのは今回が初めてではありません。発表は、5号機を防災情報配信を支えるBCPの中核として運用するとしています。BCPは事業継続計画のことで、災害が起きても業務を止めないための備えを指す言葉です。

搭載機器として挙がっているのは二つだけです。ひとつはSpaceX社の衛星通信サービスのアンテナ、もうひとつは準天頂衛星「みちびき」を利用した衛星安否確認サービス「Q-ANPI」の端末です。どちらも、地上の通信設備が使えない状況を前提にした装備であることは名称から読み取れます。ただし、通信の速度や使える範囲についての数値は、この発表には書かれていません。

ベース車のアウトランダーPHEV特別仕様車BLACK Editionに、SpaceX社の衛星通信サービスのアンテナと衛星安否確認サービスQ-ANPIの端末を搭載し、給電・充電、電話、Wi-Fiインターネット接続、みちびきの災害・危機管理通報サービスを提供すると発表されている構成図
ベース車、搭載機器、提供内容の順に、発表の表記を並べたものです。矢印は発表の説明の順序を示すもので、性能の大きさを表すものではありません。 出典:三菱自動車工業「ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備」(確認日 2026-09-17)

発表が挙げている目的は3つ

発表は、この計画の目的を三つに分けて説明しています。ひとつ目は、停電や通信障害の際に車両で電力と通信を独自に確保し、防災情報配信サービスを単独・自力で継続することです。情報を配信する側が止まらないようにするための備え、という位置づけになります。

ふたつ目が、近隣自治体の災害対策本部や避難所等への支援です。提供するものとして挙がっているのは、給電・充電、電話、Wi-Fiインターネット接続、そして「みちびき」の災害・危機管理通報サービスです。車両が現地へ出ていって、電気と通信を配るという使い方が想定されています。

みっつ目は、防災訓練への参加とモデルケースの提示です。PHEVや衛星通信の有用性を紹介し、自治体や企業の災害対策の強化を支援するとしています。今後は全国各地の防災訓練や防災イベントにも参加し、展示や出動の情報はゲヒルンの各公式サイトとSNSで案内されると書かれています。

発表に書かれた3つの目的を並べた図。防災情報配信サービスの継続、近隣自治体の災害対策本部・避難所等への支援、防災訓練への参加とモデルケースの提示
番号と区分は発表のものです。三つの優先順位や重要度を当サイトで判断したものではありません。 出典:三菱自動車工業「ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備」(確認日 2026-09-17)

車両の特長として書かれているのは3点

発表は車両の特長も三つ挙げています。ひとつ目が給電機能で、『アウトランダーPHEV』の大容量駆動用バッテリーと給電機能により、停電時の電源確保ができるという説明です。ふたつ目が、駆動用バッテリーの大容量化とEV航続距離の伸長によって、災害時の現地での活動における実用性が高まっているという点です。

みっつ目が走行性能です。前後ツインモーター4WDと車両運動統合制御システム「S-AWC」により、雨天時や降雪時にも安定した走行を実現するとしています。7つのドライブモードを備え、寒冷地仕様が標準装備であることも書かれています。悪天候のなかを現場まで走っていくことを前提にした説明のしかた、という読み方ができます。

ここで注意しておきたいことがあります。給電できる電力量や、使い続けられる時間の数値は、この発表に書かれていません。バッテリーの容量やEV航続距離の数値も同じです。「大容量化」「伸長」という言葉はありますが、何と比べてどれだけ増えたのかは示されていないため、当サイトでは他のページの数値を持ってきて埋めることはしません。

市販車の機能と、今回搭載した機器を分けて読む

発表に並んでいる要素は、性格の違うものが混ざっています。電気と走りに関わる部分は、発表の中で『アウトランダーPHEV』の機能や本車両の走行性能として説明されているものです。一方、通信に関わる二つの機器は、この車両に搭載したものとして書かれています。どちらの側の話なのかを分けて読むと、発表の内容を受け取りやすくなります。

発表に挙がっている要素 発表での説明のされ方
大容量駆動用バッテリーと給電機能 『アウトランダーPHEV』の機能として説明
前後ツインモーター4WD・「S-AWC」 本車両の走行性能として説明
7つのドライブモード/寒冷地仕様(標準装備) 本車両の装備として説明
SpaceX社の衛星通信サービスのアンテナ 本車両に搭載と説明
準天頂衛星「みちびき」の「Q-ANPI」の端末 本車両に搭載と説明

この分け方は、同じことを自分の車でできるのかを考えるときに効いてきます。機器の取り付け方法、車内のレイアウト、改造にあたる作業の内容は、この発表には書かれていません。市販車を買えばそのまま同じ運用ができる、という読み方はできない発表です。

全国200以上の自治体との協定という背景

発表は、この車両を三菱自動車の「DENDOコミュニティサポートプログラム」と結び付けて説明しています。三菱自動車は全国200以上の自治体と災害時協力協定を締結し、災害時に電動車を貸与する体制を整えているという記載です。今回の5号機も、その取り組みの延長線上に置かれています。

自治体との協定は、電動車の給電機能を「個人の備え」ではなく「地域の備え」として使うための枠組みです。ゲヒルン側も、2020年8月31日に神奈川県箱根町と災害時支援業務協定を締結しており、5号機もこの協定にもとづく派遣の対象になると書かれています。

車両があることと、災害のときに現地で動けることは同じではありません。誰の要請で、どこへ出ていくのかという取り決めが先に要ります。今回の発表が、車両の内容だけでなく協定の締結日まで併記しているのは、その部分まで含めた発表だからです。

この発表に記載がない項目

購入や比較の判断に使いたくなる項目のうち、次のものは発表にありません。当サイトでは、発表に無い項目を他の車種やカタログの値で埋めることはしません。

項目 発表での扱い
給電できる電力量・給電を続けられる時間 記載がありません
駆動用バッテリーの容量 記載がありません
EV航続距離・燃費の数値 記載がありません
車両の価格と製作台数 記載がありません
自治体や企業が貸与を受ける手順・条件 記載がありません
他の地域への配備予定 記載がありません

とくに給電能力は、災害時の備えとして電動車を見るときの中心になる数値です。しかし今回の発表では、給電機能があることと、それによって停電時の電源を確保できることまでが説明の範囲で、どれだけの機器を何時間動かせるのかという形の数値は示されていません。

この発表で確認できることと記載がないことを左右に並べた図。確認できるのは車両の名称、ベース車、搭載機器の名称、配備先、運用開始日、協定にもとづく派遣の枠組み。記載がないのは給電できる電力量や時間、価格と製作台数、EV航続距離や燃費の数値、貸与の手順、他の地域への配備予定
左は発表に書かれている事実、右は書かれていない項目です。右の項目は空欄のままにし、推測で埋めていません。 出典:三菱自動車工業「ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備」(確認日 2026-09-17)

電動車を災害時の電源として見るときに、この発表から言えること

この発表から確実に言えるのは、市販のPHEVをベースにした車両が、電源と通信を運ぶ役目で実際に運用され始めたということです。専用に作られた特殊な車ではなく、特別仕様車をベースにしている点は、同じ車種を検討している人にとっても読み取りやすい材料になります。

一方で、この車両は衛星通信のアンテナや安否確認サービスの端末を追加した特別な仕様です。給電の可否や使い方は車種とグレードによって違い、外部へ電気を取り出すための機器も別に用意することになります。自分の車で何ができるのかは、その車種の取扱説明書とメーカーの公式ページで確かめるのが確実です。当サイトはこの車両を見ておらず、使ってもいないため、使い勝手や性能の評価は書きません。

電動車そのものの発表はEV・電動化に、技術と安全に関する発表は新技術・安全技術にまとめています。三菱自動車の発表は三菱のニュースから辿れます。同じ時期の三菱の発表としては、新型パジェロの世界初披露も公表されています。

出典と確認日

この記事は、三菱自動車工業が2026年9月1日に公表した「ゲヒルンと三菱自動車、「特務機関NERV災害対策車両」5号機を配備」を一次情報にしています。車両の名称、ベース車、搭載機器、目的、配備先は発表の表記のままとし、要約や言い換えによって内容を変えていません。発表に無い項目は空欄のままにし、他の資料の数値で補うことはしていません。確認日は2026年9月17日です。発表の内容は変更されることがあるため、判断に使う前にリンク先の原文をあわせて確認してください。