軽商用車は一般の方は普段あまり気にすることもなく、どれも似たような見た目ですが、その中でも際立って人気のあるクルマがあります。それは6代目スバルサンバーです。既に生産が終了しているクルマですが、なぜそんなに人気があるのでしょう?その秘密に迫ります。
どんなクルマ?
via www.subaru.jp
スバルサンバーは、スバルが販売する軽商用車で、ボディはバンとトラックがあります。
初代は1961年にデビューしており、スバル360のドライブトレーンやサスペンションを流用していました。
このRRレイアウトと4輪独立懸架サスペンションは、最後の自社生産モデルである6代目まで受け継がれます。
今回紹介する6代目サンバーは、1999年にデビューしました。
軽規格変更に伴うモデルチェンジで、ボディサイズが拡大された他、キャブレター仕様がなくなり、スーパーチャージャー仕様が58psにパワーアップされました。
人気の理由1.独立懸架サス
6代目サンバーはフロントにストラット、リアにトレーリングアームという懸架方式を採用していました。
コンパクトカーでもあまり採用されない4輪独立懸架方式は、前後左右の車輪を独立して上下させることができるので、路面の追従性が向上し、バネ下重量も軽くできるというメリットがあります。
また、乗り心地も良くなるため、長時間・長距離乗っていても疲れにくく、荷物にもダメージが少ないという利点もあります。
人気の理由2.RRレイアウト
サンバーのリアバンパーを手前に傾けると、SOHC660ccのEN07エンジンが見えます。
リアアクスル後方にエンジンがあるRRレイアウトは軽商用車では唯一で、荷物を積んでいない状態でもトラクションが確保できるというメリットがあります。
また、静粛性にも優れています。
バンだとそうでもありませんが、トラックだとエンジンノイズがキャビンに入ってきません。
大抵の軽トラはシートの下にエンジンがありますが、サンバーは後ろにエンジンがあるおかげで走行中も静かです。
RRレイアウトは挙動にも大きく影響してきます。
サンバーほどコーナリングが楽しい商用車というのはあまりないでしょう。
エンジンが後ろなので頭が軽く、ステアリングを切るとロールしながらも切り込んでいく独特のフィーリングがあります。
交差点の右左折だけでも違いが分かるかと思います。
人気の理由3.スーパーチャージャー
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ターボではなく、スーパーチャージャーが商用車に搭載されているという点が実に素晴らしいです。
ターボは回転数を上げないとブーストがかかりませんが、スーパーチャージャーは低回転から中回転域が得意です。
荷物をフル積載した状態でも発進時から加給を得ることができるため、非力なエンジンの軽商用車にスーパーチャージャーを搭載するのは理にかなっています。
過給機の存在は意識させず、ナチュラルに加速するフィールは独特です。
試乗してみると…
via ja.wikipedia.org
バン・トラック・AT/MT双方に乗りましたが、共通して感じたのは乗り心地の良さです。
やはり4輪独立サスペンションの存在
が効いています。
トーションビーム方式だと片方の車輪が下がればもう片方は上がることになり、凸凹の連続した道路ではバタバタした動きが出ますが、4輪独立懸架ではそのような動きはありません。
エンジンは、やはりスーパーチャージャー付きに限ります。4気筒エンジンなので回転フィールはスムーズですが、やはり過給機がないと加速にパンチがありません。
それからトランスミッションは、特別の事情がない限り5MTの方が良いです。
3速ATで快適なのは60km/hまでで、それ以上はエンジンノイズがひどいため速度を出す気になりません。
積載性は無論パーフェクトです。トラックは言わずもがなですが、バンもシートを畳めばフルフラットになるので、引っ越しはこれ一台で済みます。
フルフラットにした荷室に畳を敷けば、それだけで車中泊仕様にすることができます。テーブルやノートPCを持ち込んで、移動オフィスにするのも面白いかもしれません。
まとめ
via www.webcg.net
6代目スバルサンバーは、RRレイアウトと4輪独立懸架サスペンションを持つ最後のモデルでした。
7代目以降はダイハツハイゼットのOEMとなり、ただの軽商用車になってしまいました。
カルト的ともいえる人気があるため、中古相場は異様に高くなっています。6代目最終モデルのバンの低走行距離の個体で、160万円を超える値段が付いている物もあります。
購入を考えている方は、絶対に3ATではなく5MTを選ぶべきです。
マニュアルに慣れる労力と3ATで溜まるストレスを比べると、絶対に前者の方がマシです。 意表を突くセカンドカーとして、6代目スバルサンバーを所有してみるのも面白いかも知れません。
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マニュアルに慣れる労力と3ATで溜まるストレスを比べると、絶対に前者の方がマシです。 意表を突くセカンドカーとして、6代目スバルサンバーを所有してみるのも面白いかも知れません。