「空飛ぶ車」というのは、未だコンセプトが固まらず、様々なフォルムが模索されているのが現状です。そんな中で注目されているのがロールス・ロイス。高級車のメーカーである一方で、航空機のエンジンも製造している同社がツイッターのアカウントで、ハイブリッド電気による垂直離着陸(EVTOL)車構想をツイートしたのです。とても優雅なのは好感が持てるのですが、斬新過ぎて車に見えないのですが…。しかも、著名な航空ショーでお披露目してるので、だったら飛行機で良いのでは。
ツイッターで「明日のパワーをどう主導するか、とくご覧あれ」
From personal transport to public transport. Find out how our hybrid electric vertical take-off and landing (EVTOL) concept could pioneer the power of tomorrow https://t.co/6NLn3NjBqT #FIA18 pic.twitter.com/PIEtfQOAsC
— Rolls-Royce (@RollsRoyce) July 15, 2018
最近の企業の例に漏れず、同社もTwitterにアカウントを持ち、積極的にプロモーション配信しています。高級車の写真などが目を楽しませますが、7月15日付けのTweetには「えっ?」という感じがあります。
プライベートな輸送から公共輸送まで。 弊社のハイブリッド電気式垂直離着陸(EVTOL)コンセプトが、明日のパワーをどどう主導するか、とくご覧あれ http://po.st/dcuuyH#FIA18
確かに、見入ってしまう乗り物ですね。リンク先を見てみると、次のようなプレスレリースが。
蒼天の思考
ロールス・ロイス、EVTOLコンセプトを、ファンボロ航空ショーで披露
ロールス・ロイスEVTOLプロジェクトとは
※弊社は、ファンボロ国際航空ショー2018にて、電気式垂直離着陸(EVTOL) 車を披露しました。
※このデザインは、既存もしくは開発中のテクノロジーに基づき、パーソナルな輸送や公共交通、ロジスティックスや軍事的用途に応用可能です。 早ければ2020年代初頭に空を飛ぶでしょう。
※EVTOLプロジェクトは、弊社が推進する、世界をリードする産業テクノロジー企業になろうとする「電化チャンピオン」の一環です。鉄道や船舶など向けのハイブリッド電気推進、ガスタービン、VTOL技術、システム解析などでの知見や、航空・宇宙関連の法令および認証といった専門知識を基にしております。EVTOLの商業導入については、共同作業を伴うだろうと予想しており、電気システムに関しては、様々な戦略的パートナーを求めています。
※まだ揺籃期のコンセプトですが、ガスタービンのテクノロジーを活用し、6基の電気推進用の電力を作り出します。騒音が少ない設計を、特に心がけました。バッテリーも搭載しております。このハイブリッドEVTOLは4~5人乗りで、最高時速は250マイル。航続距離は500マイルです。ガスタービンによって蓄電されますので、充電の必要はありません。ヘリポートや空港など既存インフラを利用できます。
※現在、ハイブリッド電気推進能力の開発作業をしており、そうしたことを考慮するなら、導入可能な商用モデルとしては、2020年代前半から中頃までに就役可能と考えております。翼は90度の回転ができますし、車両を垂直に離陸させられます。巡航高度に達すると、翼上のプロペラは折り畳まれ、抗力やキャビンの騒音が低減されます。
※このEVTOLは、パーソナルな空の移動手段とも称せられていますが、市場が出来つつあります。テクノロジーの進歩や、世界中で大都市に人口が集中し、渋滞に悩まされている従来の交通システムに替わって、そうした需要を満たす必要があるからです。 EVTOLは排出ガスの少ない効率的な旅行という要件を満たす役割も果たすでしょう。
ファンボローでは、アストン・マーチンも。「次のボンド・カー」
さて、この航空ショーでは、アストン・マーチンも出展していました。
Introducing the Volante Vision Concept. Beautiful has a new dimension. #AstonMartinVisionConcept pic.twitter.com/yrL1CidMUv
— Aston Martin (@astonmartin) July 16, 2018
ボランチ・ビジョン・コンセプトを御紹介いたします。 美しさは新たな次元に。 #AstonMartinVisionConcept
同社では、そう誇らしげにツイートしています。美しさは決して否定しませんが、車として認識できない。
IT情報サイトのギークワイヤーの報道(2018年7月16日付け)によると、アストン・マーチンもまたEVTOLを推進中。それが上記のボランチ・ビジョン・コンセプトなのですが、このコンセプトでロールス・ロイスやクランフィード大学などと提携しているのだそうです。
なお、ボランチというとサッカーのミッド・フィルダーを連想しがちですが、本来はポルトガル語で、「ハンドル」などの意味があります。つまり、大空を車のハンドルで運転したいという願いが込められているのです。
ちなみに、こちらは最大3人乗り。実用化のスケジュールは未定。社としては「都市と都市とを空で結ぶ自動運転ハイブリッド電気自動車をプレビューする、近未来を想定した調査」と位置づけています。
ギークワイヤーでは「次のボンド・カー」と煽っていたのですが、どうやら、コンセプト・カーで終わるようですね。それはそれで、ちょっとさみしい感じもします。
まとめ:オランダのスタートアップも出展。やっと車っぽいのが
なお、航空ショーにはオランダのPAL-Vというスタートアップも、空飛ぶ車を出展させていました。こちらもコンセプト・カーですが、イタリアのデザインを反映させた外観としたと語っています。確かに、そんな感じですね。と言うか、やっと自動車っぽい外観の車に出会えた感じが。
PAL-V Flying Car, World's First Flying Car Production Model
via www.youtube.com
現在、認定要件を満たす作業中だそうですが、2020年までには出荷したいとのことです。位置づけとしてはコンバーチブル・カー・ジャイロプレーンだとのこと。どこまでもややこしいですね。
なお、お値段は35万ドルからです。さて、皆さんの好みの「空飛ぶ車」は、どれでしたでしょうか?
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