米トラック業界苦悩。マリファナ合法化で、ドライバー採用試験で落とさねばならない事例が続出

先日、アメリカでマリファナ合法化によって自動車事故が増えているのではないかとの記事を紹介しましたが、これは関連になりましょうか。解禁に踏み切った州が増えるにつれて、トラック・ドライバーの採用試験でマリファナ検査に引っかかる事例が続出。人手不足の解消が全く出来なくなっているのだそうです。

レクリエーション目的での服用を認める州が9つ。首都でもOK

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トラッキング・インフォというサイトでは、次のように紹介しています(2018年10月28日付け)。 記事によると、マリファナについては、連邦政府と州との間にギャップがあるのだそうです。解禁に踏み切る州が増えつつある一方、連邦政府はもっとも危険なドラッグの1つだとの姿勢を変えようとしていないからです。 そんな中、テキサス州で行われたのが、全米トラック協会のマネジメント・カンファレンス・展覧会。27日に教育部会が開かれ、今や31州と首都のワシントンDCで解禁となったことなどが報告されました。 また、所持していてもお目こぼししてくれるのは13州。罰金や刑期を短くしつつあります。この他、9つの州とワシントンDCでは、レクリエーション目的での服用まで認める段階に来ています(ただし、一定の規制は行いつつ、関連の税収増を目論んでいるとのことです)。 そうした州の1つがコロラド。コロラド運送協会のグレッグ・フルトン会長にとって、頭の痛い問題となっています。医療目的までだろうと思っていたので、レクリエーションに使っても構わないとの通達が出た時には、協会として驚いたのだとか。実際、予想以上の影響が出ているそうです。特に、多くの若い人達が服用するのを見て「そんなに体が痛い人ばかりとは知らなかった」と、やや皮肉な口調で語っています。

全面解禁のカナダでは、トラック業界団体が危険視する姿勢を

一方、北隣のカナダでは、今月になって国を挙げてマリファナを解禁しました。しかも、レクリエーション目的でもOKとのことですから、アメリカの先を行く格好です。 カナダトラック連盟・オンタリオトラック協会の政策担当ディレクターを務めるジョナサン・ブラックハム氏は、高速道路での安全性で懸念が生じているとし、関連の規制を行って欲しいと、このような解禁に組織として反対の姿勢を示していました。 ただ、先日の記事でも触れましたが、マリファナを服用して運転したらどうなるかについては不明な点が多く、アメリカでもトラック・ドライバーの服用については、会社側の就業規則などで縛りをかけているというのが現状だそうです。 とは言うものの、世論が容認の方向に向かっている以上、何時まで反対出来るかという空気になりつつあるようで、部会の席上では様々なデータが提示されました。 例えば、高速道路安全喪失データ研究所の最新調査によると、解禁した州では自動車事故が5.2%増加したと指摘されながらも、アルコールのようなドライバーの判断能力の低下を測定する手法は確立していません。このため「安全に運送を行うと願っている我々にとって、欲しいのは基準なのに」との嘆きの声が。 一方、ブラックハム氏は、カナダでは取締当局がポータブル機器を使って唾液を測定するのを認めさせていると報告しています。ただ、実際の取締は未だに行われておらず、実態が不明のままになっているそうです。

まとめ:人手不足の解消が一向に進まず「三重苦」状態に悲鳴

ピュー・リサーチ・センターのHPより。上のグラフでは、...

ピュー・リサーチ・センターのHPより。上のグラフでは、時代が下るにつれてマリファナの容認論が高まっていることを示し、下のグラフでは、特に若い世代ほど容認する傾向が高いことが分かったとしている。

厄介なのは、マリファナが実は食べることも可能というところ。うっかり気づかずに食べたせいで、採用試験で引っかかって落ちるケースが結構な数で既に発生しているのだそうです。 コンプライアンス的には正しい対応と言えますが、業界全体で落とし続けたら、今ですら足りない人手不足が何時まで経っても解消されないことになります。 実際、コロラドでは、「採用試験で60%が引っかかっている」(フルトン会長)という現状であるばかりではなく、どうしたわけか運送会社と同じ地区にマリファナの栽培園や薬局が多く存在しています。 まるで「おいでおいで」と言わんばかりの環境ですね。更に、解禁による需要の増加でマリファナ産業が興隆し、土地取得に狂奔。お陰で、不動産価格が3倍になったケースすらあるのだとか。 こりゃあ、いよいよ頭の痛い話ですが、まだ続きがあります。アメリカには障害者法(Americans with Disabilities Act)というのがあります。 障害者への差別を禁じるという主旨の立派な理念なのですが、この法律を医療目的でマリファナを使う人達(一種の障害者と見なされます)場合に、雇用主にとって困った問題があります。対応する施設を用意せねばならないのだそうです。 つまり、採用しても落とさざるを得ないわ、人手は一向に充足できないわ、施設増設で金は出て行くわという、三重苦状態なのです。 ちなみに、アメリカの著名シンクタンクであるピュー・リサーチ・センターの調査によると、ミレニアル世代ほどマリファナ容認の姿勢が濃く、74%が賛同しています。また、11月には住民投票が行われる州もあるとのこと。 トラック輸送業界の苦悩は続きそうですね。
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