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高速道路の最高速度は何km/hか|車種別の法定速度と120km/h区間

標識が無いときの上限は車種で分かれます。道路交通法施行令第27条の100・90・80km/hの区分、大型貨物自動車等の引上げ、標識で120km/hが指定された区間、連結路や自動車専用道路の60km/hまでを条文と県警察の公表資料から整理します。

高速道路の最高速度は何km/hか|車種別の法定速度と120km/h区間 - チビカのニュースカード

高速道路で何キロまで出していいのかは、目の前に最高速度の標識があるかどうかで決まり方が変わります。道路交通法第22条第1項は、車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない、と定めています。標識があればその数字が上限、無ければ政令の数字が上限、という二段構えです。

そして政令の数字は1つではありません。道路交通法施行令第27条は、自動車が高速自動車国道の本線車道などを通行する場合の最高速度を、車種の区分に従って100km/h、90km/h、80km/hの3つに分けています。同じ区間を同じ時刻に走っていても、車種によって上限が違います。しかもこのうち90km/hという段は令和6年4月1日に80km/hから引き上げられたもので、それ以前の知識のままでいると数字がずれます。

この記事では、標識が無いときの車種別の数字、引上げで何が変わったか、標識で120km/hが指定されている区間、同じ高速道路でも60km/hになる場所、そして下限として定められている50km/hを、条文と警察の公表資料から順に確認します。取り締まりの運用や、どこで速度を測っているかという話は扱いません。公表されている決まりの中身だけを対象にします。

標識があればその数字、無ければ車種で決まる

判断の順番を先に決めておくと迷いません。標識があるときは、その標識の数字が上限です。標識が無いときに初めて、政令で定める最高速度(法定速度)が上限になります。法定速度は、標識が無い場所のための数字です。この順番を取り違えると、120km/hと表示されている区間で「法定は100km/hだから100km/hまで」と考えたり、逆に標識の数字を自分の車種に関係なく当てはめたりすることになります。

最高速度の標識があるかどうかで分かれる判断図。標識があれば指定された数字が上限になり、無ければ場所によって車種別の100・90・80km/hか、60km/hになる
標識の有無が最初の分かれ目で、標識が無いときだけ場所と車種の話になります。右下のとおり、同じ高速自動車国道でも本線車道以外は数字が変わります。出典:e-Gov法令検索「道路交通法」第22条、同「道路交通法施行令」第11条・第27条(確認日 2026-10-09)

高速自動車国道の本線車道と、そこに接する加速車線・減速車線での法定速度は、施行令第27条が車種の区分ごとに定めています。条文の区分を順に並べます。

区分(施行令第27条) 含まれる自動車 最高速度
第1号 大型自動車と中型自動車のうち専ら人を運搬する構造のもの(中型は一定の重量・積載量・乗車定員以下のものを含む)、準中型自動車、普通自動車、大型自動二輪車、普通自動二輪車 100km/h
第2号 大型自動車のうち第1号イに該当しないもの、中型自動車のうち第1号ロに該当しないもの 90km/h
第3号 前2号に掲げる自動車以外の自動車 80km/h
第2項 緊急自動車 100km/h

条文の言い方は「専ら人を運搬する構造のもの」のように形式的です。警察の公表資料は、これを大型乗用自動車、中型乗用自動車といった呼び方で示しています。要点は3つにまとまります。人を運ぶ構造の大型・中型と、準中型・普通・自動二輪は100km/h。それ以外の大型・中型、つまり荷物を運ぶ側の大型貨物自動車と特定中型貨物自動車は90km/h。トレーラや大型特殊自動車、三輪の自動車は80km/hです。緊急自動車については、同条第2項に100km/hと定められています。

見落としやすいのは、第1号の各項目から三輪のものと、他の車両を牽引するものが除かれているという点です。除かれた車は第2号にも当たらないため、第3号の「前2号に掲げる自動車以外の自動車」に入ります。つまり普通自動車でも、キャンピングトレーラーやボートトレーラーを引いて走っているときの上限は80km/hになります。車検証に書かれた車種ではなく、そのときの状態で区分が変わる構造です。

大型貨物自動車等が90km/hになったのは令和6年4月から

90km/hの段は、もとからあったものではありません。警察庁は、令和6年4月1日から、高速自動車国道における大型貨物自動車等の最高速度が90キロメートル毎時に引き上げられました、と公表しています。根拠は道路交通法施行令の一部を改正する政令(令和6年政令第43号)です。引上げの対象は大型貨物自動車と特定中型貨物自動車で、神奈川県警察と大阪府警察はいずれも、他の車両を牽引するものを除く、と添えています。

引上げの前後で法定最高速度の段を並べた図。引上げ前は100km/hと80km/hの2段で、引上げ後は大型貨物自動車と特定中型貨物自動車だけが90km/hの段へ移り、トレーラ・大型特殊自動車・三輪の自動車は80km/hに残った
段が1つ増えたのではなく、荷物を運ぶ側の一部だけが上の段へ移りました。100km/hの車種との差が20km/hから10km/hへ縮まった車種と、20km/hのままの車種に分かれます。出典:警察庁「高速道路」、神奈川県警察「道路交通法施行令の一部改正について」(確認日 2026-10-09)

据え置かれた車種もあります。警察庁は、トレーラ、大型特殊自動車及び三輪の自動車は80キロメートル毎時のまま変更がないとしています。大阪府警察の一覧でも、トレーラ・大型特殊自動車・三輪の自動車は80km/h、その他の自動車は100km/hで変更なしと示されています。「大型の車はすべて90km/hになった」という読み方はできません。牽引しているかどうかで、同じ区間でも上限が10km/h違います。

もう1つ押さえておきたいのが、特定中型貨物自動車という言葉です。神奈川県警察は、特定中型貨物自動車を、車両総重量8トン以上、最大積載量5トン以上、乗車定員11人以上のいずれかに該当する中型貨物自動車と説明しています。自家用の車で該当することはまずありませんが、引上げの対象が中型のうち大きいほうに限られていることが、この定義から読み取れます。

標識で120km/hが指定されている区間がある

120km/hは法定速度ではありません。標識で指定された区間にだけある数字です。今回、県警察のページで区間と対象車種を確認できたのは次の2区間でした。

路線 公表されている区間 確認した公表ページ
新東名高速道路 御殿場JCT付近から浜松いなさJCT付近 静岡県警察(最高速度120キロの本格運用開始として案内)
東北自動車道 佐野藤岡IC付近から岩槻IC付近 栃木県警察(最高速度規制が100キロから120キロに変更と記載)

静岡県警察は、新東名の御殿場JCT付近から浜松いなさJCT付近について、最高速度120キロの本格運用を案内しています。対象になるのは最高速度100キロの車両で、大型乗用自動車、中型乗用自動車、特定中型貨物自動車を除いた中型貨物自動車、準中型自動車、普通自動車、125ccを超える自動二輪車、緊急自動車の7種類が挙げられています。栃木県警察のページは、東北自動車道について同じ範囲を、自動二輪車を大型自動二輪車と総排気量125ccを超える普通自動二輪車に分けた8つの区分で示しています。

栃木県警察「東北自動車道における最高速度規制120キロについて」のページ
120キロ区間の対象車両と、同じ区間での90キロ・80キロの上限の転記元にした公表ページです。規制区間と走行する際の留意事項もこのページに載っています。出典:栃木県警察「東北自動車道における最高速度規制120キロについて」(確認日 2026-10-09)

両県警察が共通して書いているのは、速度そのものより走り方のほうです。最高速度は120キロになりますが、120キロで走行する必要はありませんと明記され、十分な車間距離を保ち、交通状況や天候に応じた安全な速度で走行することが求められています。静岡県警察は、進路変更の際に確実な安全確認を行うことも挙げています。120km/hは出していい上限であって、推奨された速度ではないという位置づけです。

120km/h区間でも、上限は3つに分かれる

指定の対象になっているのは、法定速度が100km/hの車種です。そのため120km/hの区間に入っても、大型貨物自動車と特定中型貨物自動車は90km/h、トレーラ・大型特殊自動車・三輪の自動車は80km/hのままです。栃木県警察のページは、この3つの数字を並べて示しています。同じ区間を走っている車の上限が、120km/h・90km/h・80km/hに分かれます。

120km/h区間の指定対象車両と第一通行帯の規制、そして同じ区間での上限が120km/h・90km/h・80km/hに分かれることを重ねて示した図
上段は栃木県警察が並べている8つの区分、中段は静岡県警察が案内している新東名の通行帯規制です。下段の3枚が、同じ区間を走る車の上限です。出典:栃木県警察「東北自動車道における最高速度規制120キロについて」、静岡県警察「新東名高速道路における最高速度規制120キロの本格運用開始」(確認日 2026-10-09)

通行帯の側にも手が入っています。静岡県警察は、速度差に応じた通行車線を確保するため、大型トラック等の通行を第一通行帯に指定する交通規制を継続していると説明しています。速度差のある車両が混在することを前提にした規制です。上限が40km/h違う車が同じ区間を走るので、追越しや車線変更の前に、後方から来る車の速度を確かめる必要があります。

同じ高速道路でも60km/hになる場所がある

ここまでの100km/h・90km/h・80km/hは、すべて「高速自動車国道の本線車道と、これに接する加速車線・減速車線」での数字です。施行令第27条は適用される場所をそう限定しています。では本線車道以外はどうなるのか。答えは施行令第11条のほうにあります。

走っている場所 標識が無いときの最高速度 根拠
高速自動車国道の本線車道、これに接する加速車線・減速車線 車種別に100/90/80km/h 施行令第27条
高速自動車国道のうち上記以外の部分(連結路など) 60km/h 施行令第11条第1号イ
自動車専用道路 60km/h 施行令第11条第1号ロ
道路標識等による中央線または車両通行帯が設けられている一般道路 60km/h 施行令第11条第1号ハ
構造上または柵などにより往復の方向別に分離されている一般道路 60km/h 施行令第11条第1号ニ
上記以外の一般道路 30km/h 施行令第11条第2号

施行令第11条は、高速自動車国道のうち本線車道と加速車線・減速車線以外のものを、自動車専用道路や一般道路と同じ枠に入れています。インターチェンジやジャンクションの連結路は、標識が無ければ60km/hです。本線を100km/hで走ってきてそのまま降りると、場所の区分が切り替わっていることになります。実際には連結路に速度の標識が立っていることが多く、その場合は標識の数字が上限です。

もう1つ大きいのが自動車専用道路の扱いです。自動車専用道路は施行令第11条第1号ロに並んでおり、標識が無いときの上限は60km/hです。高速自動車国道と自動車専用道路は、法令上の枠が違います。都市高速などを走るときに、高速道路だから100km/hという当てはめはできません。実際の区間には標識による指定があるため、表示されている数字を見るのが確実です。

下限もある。本線車道の最低速度は50km/h

上限だけでなく下限も定められています。道路交通法第75条の4は、自動車は、法令の規定によりその速度を減ずる場合及び危険を防止するためやむを得ない場合を除き、高速自動車国道の本線車道においては、道路標識等により自動車の最低速度が指定されている区間にあってはその最低速度に、その他の区間にあっては政令で定める最低速度に達しない速度で進行してはならない、と定めています。その政令の数字が、施行令第27条の3の50キロメートル毎時です。

構造は上限と同じで、標識で最低速度が指定されていればその数字、無ければ50km/hという並びになっています。なお第75条の4の本線車道には「政令で定めるものを除く」という括弧書きが付いており、除かれる本線車道の範囲は政令の側で定められています。今回はその中身を確認していないため、ここでは触れません。走れなくなって停まってしまった場合の手順は高速道路で故障して止まったときの手順で整理しています。

一般道側の法定速度は令和8年9月に変わった

速度の決まりを確かめるときに、いま注意が必要なのが一般道の側です。警察庁は、令和8年9月1日から、生活道路における自動車の法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられたと公表しています。対象は、主に地域住民の日常生活に利用されるような、中央線等がない道路です。中央線や車両通行帯が設けられている一般道路は、引き続き60km/hのままとされています。

高速道路側の数字は、この改正では変わっていません。変わったのは施行令第11条の一般道路の区分です。ただし上の表のとおり、高速自動車国道の連結路や自動車専用道路の60km/hも同じ第11条が根拠になっています。古い解説で一般道は60km/hとだけ書かれているものは、いまの条文と合いません。制度そのものの改正は交通ルール・制度で扱っていきます。

今回、確認できなかったこと

全国の120km/h区間を網羅した一覧は、今回確認した公的機関のページにありませんでした。上の表に挙げた2区間は、静岡県警察と栃木県警察が公表しているものです。これ以外に120km/hの区間が無いという意味ではありません。走る路線の現在の規制は、通行する区間を管轄する県警察のページか、現地の標識で確認してください。

規制がいつ始まったのかは、今回確認した県警察のページには記載がありませんでした。また、施行令第27条の適用から除かれる本線車道の範囲、120km/h区間の延長(km)、今後の区間拡大の予定も、今回参照した資料の範囲では分かりませんでした。推測で埋めず、空欄のまま残します。

走る前に確かめる順番

  1. 走る区間に最高速度の標識があるかを見る。あればその数字が上限で、法定速度より先に効く
  2. 標識の指定に対象車種が決められていることを前提に置く。120km/h区間の指定は、法定速度が100km/hの車種に対して行われている
  3. 自分の車がどの区分かを確かめる。荷物を運ぶ側の大型・中型は90km/h、トレーラや大型特殊、三輪は80km/h
  4. 他の車両を牽引していないかを確かめる。牽引していると第1号から外れ、上限は80km/hになる
  5. 本線車道から出たら場所の区分が変わることを思い出す。連結路や自動車専用道路は、標識が無ければ60km/h
  6. 下限も確かめる。本線車道では、標識が無ければ50km/hに達しない速度で進行してはならない

数字を覚える作業というより、自分の車種と、いま走っている場所の2つを確かめる作業です。この2つが決まれば、上限は条文の表から一意に決まります。長距離を走る日の休憩の取り方と、停まれる場所の間隔については高速道路の休憩は何時間おきが目安かで整理しています。