運転免許証の持ち方は、2025年3月24日から3通りになりました。マイナンバーカードに免許情報を記録した「マイナ免許証」だけを持つ形、マイナ免許証と従来の運転免許証を2枚とも持つ形、これまでどおり運転免許証だけを持つ形です。どれを選んでも運転はできます。
先に結論を書きます。更新1回あたりの負担がいちばん軽いのは、マイナ免許証だけを持ち、更新時講習をオンラインで受ける形です。優良運転者の区分なら更新手数料2,100円と講習手数料200円で2,300円になります。従来の運転免許証だけを持って会場で講習を受けると2,850円と500円で3,350円ですから、1回あたり1,050円の差です(警視庁の公表額。2026-09-04確認)。
ただし、金額だけで決めると後で困ることがあります。マイナンバーカードの券面には免許の種別も有効期間も印字されないためです。この記事では、手数料の内訳、オンライン更新時講習を受けられる条件、券面に情報が出ないことで実際に何が起きるか、そしてカードを更新するときの引き継ぎ手続きを、警察庁と各都道府県警察の案内から順に整理します。どの持ち方が「得か」ではなく、自分の使い方でどれが成り立つかを決められる形にします。
3通りになったのは2025年3月24日から
根拠は、2022年4月27日に公布された道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)です。マイナンバーカードと運転免許証の一体化に関する規定が、2025年3月24日に施行されました。警察庁はこの日から全国で運用を開始しています。
マイナ免許証に記録されるのは、マイナ免許証番号、免許年月日、有効期間末日、免許種類、免許条件、顔写真です。運転免許証に載っている情報がICチップの中へ移る形で、カードが2枚から1枚に減るわけではなく、1枚に集約する選択肢が増えた、という位置づけになります。
実際にどれくらいの人が切り替えているかも、警察庁が毎月公表しています。2026年8月末時点で、全国のマイナ免許証保有者数は4,004,168人でした。内訳は、マイナ免許証のみが1,103,304人、運転免許証との2枚持ちが2,900,864人です。切り替えた人のうちおよそ7割が2枚持ちを選んでいることになります。1枚にまとめる制度でありながら2枚持ちが多いのは、あとで見る券面の問題と無関係ではありません。
手数料の差は、更新のたびに出る
更新のときに払うのは、更新手数料と講習手数料の合計です。この2つが、持ち方と講習の受け方で変わります。
| 区分 | 免許証のみ | マイナ免許証のみ | 2枚持ち |
|---|---|---|---|
| 更新手数料 | 2,850円 | 2,100円 | 2,950円 |
| 講習手数料(会場・優良) | 500円 | 500円 | 500円 |
| 講習手数料(会場・一般) | 800円 | 800円 | 800円 |
| 講習手数料(会場・違反、初回) | 1,400円 | 1,400円 | 1,400円 |
| 講習手数料(オンライン・優良、一般) | - | 200円 | 200円 |
「-」は制度が無いという意味ではなく、その組み合わせを選べないという意味です。オンライン更新時講習はマイナ免許証を持っている人だけが対象なので、免許証のみの人には行がありません。
更新手数料だけを見ると、マイナ免許証のみが2,100円で最も低く、2枚持ちが2,950円で最も高くなります。ところが講習手数料まで含めると順番が変わります。2枚持ちでもオンライン講習を選べるためです。
優良運転者の区分では、マイナ免許証のみが2,300円、2枚持ちが3,150円、免許証のみが3,350円です。一般運転者の区分になると会場の講習手数料が800円に上がるため、免許証のみは3,650円になり、マイナ免許証のみとの差は1,350円に広がります。2枚持ちは、更新手数料がいちばん高いにもかかわらず、オンライン講習を使えることで免許証のみを下回ります。
更新の間隔は講習区分や年齢で変わるため、この記事では1回あたりの額だけを比べています。何年で何円という積算はしていません。
手数料は都道府県ごとに定められています。ここに載せた額は警視庁と愛知県警察が公表しているもので、2026-09-04に確認した時点では両者は同額でした。ただし47都道府県すべてを確認したわけではないので、実際に払う額は住んでいる都道府県の警察のページで確かめてください。
オンライン更新時講習を受けられる条件
手数料の差を生んでいるのがオンライン更新時講習です。ただし、誰でも受けられるわけではありません。警視庁は対象を、マイナ免許証を持っていること、講習区分が「優良」または「一般」であること、70歳未満であること(高齢者講習の対象外であること)としています。違反運転者講習と初回更新者講習は対象外です。
受講できる期間は誕生日の前後1か月、講習時間は優良の区分が30分、一般の区分が60分です。必要なものは、マイナ免許証、内蔵カメラとマイナンバーカードの読み取り機能を備えたスマートフォンまたはパソコン(パソコンの場合はWebカメラとICカードリーダー)、日本国内のインターネット環境、そして「更新のお知らせ」はがきです。受講中はカメラが起動し、顔の検知や本人確認が行われます。更新するご本人が受講するもので、本人以外が受講した場合は法令により罰せられることもある、と案内されています。
ここで誤解しやすい点があります。オンラインで講習を受けても、免許の更新そのものは終わりません。警察庁も警視庁も、講習の受講後に運転免許センター等へ行き、申請書の提出や視力検査などの適性検査を受ける必要があると明記しています。窓口へ行く回数が減るのではなく、窓口で座って講習を聞く時間が家に移るという理解が正確です。
券面に免許情報は出ない
マイナ免許証を選ぶうえで、いちばん実務的に効いてくるのがここです。神奈川県警察は、マイナンバーカードの券面には免許情報(免許種別、有効期間など)が表記されません、と明記しています。カードを見ても、自分が何の免許を持っていて、いつまで有効なのかが分かりません。
確認するには、スマートフォンやパソコンのアプリストアから「マイナ免許証読み取りアプリ」を入れて読み取ります。警察庁は専用サイトを用意しています。有効期間の管理を券面の文字ではなく、アプリを開く習慣に置き換えることになります。
運転するときの携帯義務も確認しておきます。千葉県警察と神奈川県警察は、自動車等を運転するときは運転免許証またはマイナ免許証のいずれかを携帯する必要がある、としています。マイナ免許証を持っているなら、運転免許証を家に置いていても構いません。逆にいえば、マイナ免許証のみを選んだ人はマイナンバーカードを常に持ち歩くことになります。
海外については、神奈川県警察が2つの注意を挙げています。マイナ免許証のみを保有する方は渡航先の国によっては従来の運転免許証が必要になる場合があること、そして、マイナ免許証はカード券面に運転免許証の情報が表示されないことから、現地官憲で無免許であるとされる可能性があることです。海外で運転する予定がある人は、この一点だけで2枚持ちを選ぶ理由になります。
電子証明書の期限にも注意が要ります。神奈川県警察は、電子証明書の有効期限経過後は、マイナポータルを通じたオンライン講習の受講、免許情報の確認及び住所変更ワンストップサービス等の利用ができなくなる、としています。マイナ免許証にできるのは有効なマイナンバーカードだけで、有効期間が過ぎているものやICチップが壊れているマイナンバーカードには免許情報を記録できません。
カードの更新と免許の更新は、別々にやって来る
マイナ免許証を選ぶと、管理する期限が2つになります。運転免許の有効期間と、マイナンバーカードの有効期間です。この2つは連動しません。
2025年9月1日から、マイナ免許証を持つ人がマイナンバーカードの交付申請(更新等)をしたときに、新しく交付されるマイナンバーカードへ自動的に免許情報が引き継がれる運用が始まりました。ただし「自動的に」と書かれていても、申請の場面で継続利用の手続きを選ぶ必要があります。
マイナンバーカードは有効期間の3か月前から更新の申請ができます。区市町村の窓口または郵送で届く交付申請書のQRコードをスマートフォン等で読み取るか、個人番号カードオンライン申請サイトから申請し、そのときに「マイナ免許証等継続利用」の手続きを行います。
引き継げるのは、有効期間の満了や券面の追記欄に余白がなくなったことによる更新に限られます。紛失、破損、有効期間切れ(失効)により更新を行う場合は、更新後のマイナンバーカードに免許情報等が引き継がれません。この場合は警察の窓口であらためて記録する手続きが必要になります。
順序も決まっています。警視庁は、マイナンバーカードの更新後にマイナ免許証の更新をするようお願いしています。カードは3か月前から申請できるのに対し、免許の更新期間は誕生日の前後1か月です。免許の更新中にカードを更新すると、新しいカードへ古い免許情報が記録されてしまいます。
切り替えだけをするときの手数料
更新の時期を待たずに持ち方を変えることもできます。警視庁が公表している額は次のとおりです。
| 変更の内容 | 手数料 |
|---|---|
| 免許証のみ → マイナ免許証のみ | 1,500円 |
| 免許証のみ、またはマイナ免許証のみ → 2枚持ち | 1,500円〜2,550円 |
| マイナ免許証のみ → 免許証のみ | 2,550円 |
| 2枚持ち → どちらか1枚 | 無料 |
| 運転免許証の再交付 | 2,600円 |
| マイナ免許証への記録(再交付にあたるもの) | 1,500円 |
2枚持ちへ変えるときの額に幅があるのは、いま何を持っているかで作る枚数が変わるためです。逆に2枚持ちから1枚に減らすだけなら無料です。
手続きの場所は運転免許センターや警察署で、有効なマイナンバーカードを持って行きます。神奈川県警察は運転免許センターまたは警察署(横浜水上警察署を除く)としています。窓口では署名用電子証明書を提出するため、その暗証番号が必要になります。愛知県警察は、署名用電子証明書の提出そのものは無料と案内しています。都道府県によって取り扱う窓口と受付時間が違うので、行く前に確認してください。
4つの条件で絞り込む
ここまでの内容を、判断できる形に並べ替えます。
最初の質問が最も重いものです。海外で運転する予定があるか、券面を見せて免許を示す場面が多いかに「はい」なら、従来の運転免許証を手元に残す選択になります。マイナ免許証を作らないか、2枚持ちにするかの二択です。
次が講習区分です。違反運転者講習と初回更新者講習の人、更新のときに70歳以上になる人は、オンライン更新時講習を受けられません。この場合、マイナ免許証を持つ利点は更新手数料が750円低いことに絞られます。会場での講習は同じように受けることになります。
3つ目は準備の問題です。署名用電子証明書の暗証番号が分からない、あるいはカードを読み取れる端末がない状態では、一体化の手続きもオンライン講習も進みません。市区町村での暗証番号の再設定が先になります。
3つとも「いいえ」なら、マイナ免許証のみとオンライン更新時講習の組み合わせが最も低い負担になります。それでも券面に免許情報を出したい場合は2枚持ちで、優良運転者の区分では2,300円と3,150円の差を、券面表示と海外での安心にどう置き換えるかという判断になります。
今回、確認できなかったこと
手数料が全国で同じかどうかは確認できていません。手数料は都道府県ごとに定められており、今回照合できたのは警視庁と愛知県警察の2件です。この2件は同額でしたが、残る45道府県は確認していません。
保有者数については、同じ資料に都道府県別の内訳も載っていますが、この記事では全国計と2つの内訳だけを載せています。住んでいる都道府県の件数は、出典のPDFで確認してください。
住所・氏名の変更手続きがワンストップになる点は、警察庁と各都道府県警察が利点として挙げています。ただし、どの範囲の変更が対象で、どの手続きが省けるのかを条文まで確認できていないため、この記事では詳細を書いていません。
マイナ経歴証明書(運転経歴証明書の一体化)についても、手数料の一部を確認しただけで、対象者や手続きの流れは確認できていません。免許を返納した後の扱いは別のページで扱います。
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