初めて車を売るときにつまずくのは、価格の交渉ではありません。書類がそろわないことと、契約書の条件を確認しないまま署名することの2つです。この2つを先に押さえれば、あとは順番どおりに進みます。
このページは、車を売った経験がない人向けに、最初に確認することから完了までを並べたものです。
先に結論:最初にやるのは車検証を見ることです。所有者欄が自分でなければ、売る前に別の手続きが要ります。
3分で分かる要点
| 確認したいこと | このページの答え |
|---|---|
| 最初にやること | 車検証の所有者欄を確認する |
| 時間がかかること | 印鑑登録証明書など役所で取る書類 |
| 契約で見る場所 | 金額・引き渡し日・入金日・減額条件 |
| 最後にやること | 名義変更の完了確認と保険の手続き |
1. 車検証を見る
売却の話を始める前に、車検証の所有者欄を確認します。ここが自分の名前なら、そのまま進められます。ローン会社や販売店の名前になっている場合は、所有権留保といって、先に所有者の同意や手続きが必要です。ローン中の車売却で扱います。
軽自動車も同じです。軽自動車検査協会の案内では、車検証に記録された使用者と所有者が異なる場合、あらかじめ所有者の同意を得たうえで手続きを行う必要があると説明されています。
車検証の住所が現住所と違う場合も、追加の書類が必要になります。引っ越しの回数によって必要なものが変わるため、早めに確認してください。
2. 書類を先にそろえる
初めての人がいちばん待たされるのは、書類です。役所へ行く必要があるものは、査定より先に動き始めるほうが全体が短くなります。
軽自動車検査協会が名義変更の必要書類として挙げているのは、自動車検査証、使用者の住所を証する書面、ナンバープレート、自動車検査証変更記録申請書、申請依頼書などです。申請手数料は無料とされています。普通車の場合は必要書類が異なります。車売却に必要な書類で扱います。
3. 査定を受ける
査定では、実際に車を見て金額が提示されます。ここで確認するのは2つです。金額の根拠と有効期限です。
有効期限を聞かずに複数社を回ると、最初の提示が無効になっていることがあります。「いつまで有効か」は必ず聞いてください。
査定や契約では身分証の提示を求められます。古物商には、買い受ける際に相手方の住所・氏名・職業・年齢を確認するなどの措置が義務づけられているためです(古物営業法第15条)。個人情報を聞かれるのは通常の手続きです。
4. 契約書を読む
初めての人が最も損をしやすいのがここです。金額に合意しても、契約書に引き渡し後の再検査で減額できるという条項が入っていることがあります。
確認するのは4つです。売却金額、引き渡しの日、入金の日と方法、そして契約後に金額が変わる条件の有無。4つ目が書かれている場合は、減額の上限と、拒否できるかどうかまで聞いてください。
査定の時点で分かっている不具合は、隠さずに伝えるほうが安全です。後から見つかると減額の理由になり得ます。
5. 引き渡す
車、鍵(スペアを含む)、車検証、自賠責保険証明書、リサイクル券などを渡します。車内の私物を出し、ETCカードを抜き、駐車場などの登録を解除してから渡してください。
引き渡しの際に受け取れる書類は、その場で受け取ります。後から取り寄せると時間がかかります。
6. 終わったあとにやること
売って終わりではありません。残るのは3つです。
入金の確認。契約書の期日に振り込まれたかを見ます。名義変更の完了確認。登録自動車の所有者が変わったときは、新所有者が事由の日から15日以内に移転登録を申請しなければならないと道路運送車両法第13条が定めています。業者が代行する場合も、完了の連絡を受け取ってください。手続きが行われないと、リコールの通知や税金の書類が前の所有者に届く、盗難や事故のときに所有者の確認が遅れるといった支障が生じると公的機関が説明しています。
保険の手続き。任意保険は自動的には止まりません。保険会社へ連絡し、中断または解約の手続きをします。
初めてでも避けられる失敗
よくあるのは、その場で決めてしまうことです。査定額に期限があると聞くと急かされた気持ちになりますが、期限は数日単位で設けられることが一般的です。持ち帰って考える時間は取れます。
もうひとつは、書類を後回しにすることです。書類がそろわないと、金額に合意していても手続きが進みません。査定より先に準備を始めてください。
査定額に幅があるのは普通のこと
複数社に見てもらうと、金額が大きく割れることがあります。初めてだと「どこかが間違っているのでは」と感じますが、幅が出ること自体は仕組み上ふつうです。
買取店は、買い取った車を自社で小売りするか、業者間のオークションへ出します。その車を待っている客がいる業者は高く出せますし、在庫が余っている業者は低くなります。同じ車でも出口が違えば根拠になる相場が違う、というだけのことです。
したがって、低い提示を受けても交渉が下手だったわけではありません。幅が見えたこと自体が比較の材料になります。
急かされたときの対処
初めての売却でよくあるのが、その場で決めるよう促される場面です。査定額に有効期限があるのは事実ですが、期限は数日単位で設けられることが一般的で、持ち帰って考える時間は取れます。
その場で決めないと決めておけば、迷いません。「今日中でないと出せない金額」を提示された場合、その条件を書面に残してもらうと冷静に判断できます。書面にできない条件であれば、判断の材料にしないほうが安全です。
車の状態は正直に伝える
傷、修復歴、警告灯の点灯、エアコンの不調——気づいている不具合は、査定の時点で伝えるほうが結果的に安全です。
契約書に、引き渡し後の再検査で不具合が見つかった場合に減額できる条項が入っていることがあります。先に伝えて金額に反映してもらうほうが、後から減額されるより見通しが立ちます。
記録簿や過去の修理伝票が残っていれば、整備の履歴を示す材料になります。手元にあるものは査定の場に出してください。
初めての人が最初に読む順番
このサイトの中では、次の順で読むと迷いにくくなります。まず全体の流れ、次に必要書類、そのあとに査定の中身です。金額の話は最後で構いません。手続きが止まる原因は、金額ではなく書類だからです。
名義変更が終わったかを確かめる
売却が終わったあと、忘れられやすいのが名義変更の確認です。業者が代行する場合でも、完了したかどうかは自分で確かめます。
確認の方法は2つあります。ひとつは、業者から完了の連絡や書類を受け取ること。もうひとつは、車に関する書類が届かなくなったかを見ることです。税や保険の案内が自分に届き続ける場合、手続きが済んでいない可能性があります。
一定の期間を過ぎても連絡がない場合は、契約した業者へ問い合わせてください。放置すると、リコールの通知が届かない、盗難や事故のときに所有者の確認が遅れるといった支障につながります。
よくある質問
査定を受けたら売らないといけませんか?
査定は価格の提示であり、売却の義務は生じません。断り方は車査定で扱います。
名義変更は自分でやるのですか?
業者に売る場合は業者が代行するのが一般的です。完了の確認だけは自分で行ってください。
車検が切れている車でも売れますか?
売れる場合がありますが、公道を走れないため引き取り方法が変わります。契約前に確認してください。
印鑑登録をしていません
普通車の売却では印鑑登録証明書が必要になるため、市区町村の窓口で先に手続きが要ります。