洋の東西を問わない、あおり運転や飲酒運転。こうした運転には、国によって違いがあるものの、季節が関係している事が、専門家による研究から明らかになっています。例えば、インドでは夏にあおり運転が、冬に飲酒運転が多いそう。逆にアメリカでは夏と冬の2回が飲酒運転の多い要注意シーズンなのだとか。海外旅行や出張に行く際の要注意ポイントと言えましょうか。
■最高気温45度のデリーの夏、あおり運転一挙3倍に
まずは、インドのケースから。地元のヒンドゥスタン・タイムズの報道(2018年12月17日付け)を紹介しましょう。約1900万人が住むデリーという巨大都市で、地元の警察が収集した10年間のデータによると、同国の夏(4〜7月と定義されています)と、そうでない季節とを比較したところ、夏には平均で30件のあおり運転が発生していたのに対し、それ以外だと10件前後に留まっていたのだそうです。つまり、暑さでカッカして、ついついあおり運転をやらかしてしまうというわけです。
ちなみに、最高気温は何と45度! それだけ暑いと、理性を失ってしまいそうですね。実際、全インド医科大学のラジェス・サーガル博士(精神医学が専門)は、「運転には高い集中力が求められるが、その集中力を削ぐのが暑さだ。極端に厳しい気象条件では、こうしたトレンドが明確になる。暑さと湿気の多さがドライバーをいらいらさせ、ちょっとあおられただけで冷静さを失いがちだ」と指摘しています。生まれてからずっと暮らしていると慣れるというものではないらしい。
「じゃあ、夏はパスだね」と思われた方も多いでしょうけど、それ以外の季節にも危険が待ち構えています。車の衝突事故が多いからです。特に要注意なのは12月から2月にかけてで、これ以外の月の衝突事故が30件から50件なのに、12月〜2月は平均128件の発生となっています。
寒くなることでも集中力が落ちるのと、冬場はスモッグなどで視界が低下するのも原因となっているとしています。記事には書かれていませんけど、はねられるケースとか多そうですね。となると、冬場もパスとなりましょうか。
■アメリカでは、独立記念日が飲酒運転事故の多発日
一方、アメリカはと言うと、独立記念日の7月4日は要注意な1日なのだそうです。国を挙げての祝賀ムードは良いのですが、ついつい飲んでしまい、ハンドルを握る輩が少なくないからのようです。
ネットニュース・レッダー(2019年1月16日付け)というサイトによると、飲酒運転のピーク時期は2度あります。まず気を付けるべきなのは、クリスマス。国立アルコール暴飲・依存症研究所(NIAAA)の集計では、クリスマスから大晦日にかけての交通死亡事故の、実に40パーセントが飲酒が原因だとのことです。それ以外の月だと、死因の12パーセントでしかないことを思えば、浮かれ気分で飲んでしまっていると言えましょうか。寒いせいか、冬場はドライブの平均マイル数が下がるそうですから(1月〜3月は1日約25.7マイルなのに対し、7月〜9月は約30.6マイル)、そもそも勘が鈍るのかもしれませんね。そこにアルコールが入ったら・・・。
そんな12月以上に危険なのが、独立記念日。全米道路安全保険協会という、同国の保険会社が作った非営利団体が「最も危険な日」として注意喚起しています。何しろ、この日だけで毎年平均144人が飲酒運転で命を落としているからです。こうしたことから、アメリカではアルコール依存症が死に至る病として第3位となっているほどです。
両方とも観光シーズンですが、ヨタヨタ走っていたり、超高速で走っている車を見たら気を付けておくべきなのかもしれませんね。
■まとめ:家族がいるんだったら馬鹿な真似はやめろ
ちなみに、オーストラリアでは、夏に当たる1〜2月に、スピード違反と信号無視が多発することが、西オーストラリア大学の研究調査で明らかになっています。対象となった西部のパースでは、平均して35度という季節だそうですから、どうやら体温を超すとドライバーの理性が吹き飛んでしまうのかも。本当に困ったことですね。
なお、こうした傾向を憂えたインドでは、ドライバーに対し、自分達の家族の写真をダッシュボードに置く啓発キャンペーンをやっているそうです。「家族がいるんだろ。だったら、あおり運転や飲酒運転はやめろ」と、クール・ダウンさせるのが目的だそうです。
効果がありそうなキャンペーンですね。日本でもやってみたらどうでしょう。
出典:
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