タイヤの側面に刻まれた「195/65R15 91H」は、6つの要素が決まった順番で並んだものです。日本自動車タイヤ協会(JATMA)は、このタイヤの呼び方を、断面幅の呼び、偏平比の呼び、タイヤ構造記号、リム径の呼び、ロードインデックス、速度記号に分けて示しています。並ぶ位置は入れ替わりません。だから、どこが何を指しているかを一度覚えれば、別の表示も同じ手順で読めます。
読み間違いが起きやすいのは、数字の物差しがそろっていないところです。195はミリメートル、65はパーセント、15はインチで、3つの数字が続いているのに単位が3つとも違います。後ろにある「91H」はそもそも寸法ではありません。1本で支えられる質量の指数と、速度の区分を表す記号です。幅の数字だけを合わせて買うと、寸法は合っているのに支えられる質量が足りない組み合わせになり得ます。
このページでは、6つの要素を1つずつ分解し、ロードインデックスと速度記号については協会が公表している対応値を表にして添えます。そのうえで、買い替えのときに何をそろえる必要があるのかを、協会の示している文言と国土交通省の公表資料から確認します。いつ替えるかという判断はここでは扱いません。残り溝と年数の見方はタイヤ交換の目安(スリップサインと年数の見方)にあります。
呼びは規格で決まっていて、車種の種類ごとに章が分かれている
この並び順を決めているのは、各社が独自に付けた表記ではなく規格です。協会はタイヤ規格委員会の目的を、タイヤ技術の進歩に即応したタイヤ規格を作成することにより、国内外の標準化に協力するとともに、日本のタイヤ技術の発展と品質の向上に寄与することだと説明しています。規格をまとめた「JATMA YEAR BOOK」については、主として国内で使用するタイヤの標準化・単純化・統一化を進めるための規格だとしています。
YEAR BOOK の構成は、車種の種類で章が分かれています。一般情報のG章に続いて、A章が乗用車用タイヤ、B章が小形トラック用タイヤ、C章がトラック及びバス用タイヤ、D章が建設車両用タイヤ、E章が農業機械用タイヤ、F章が産業車両用タイヤ、M章が二輪自動車用タイヤです。ほかに補足規格のS章、リムの輪郭のR章、タイヤバルブの種類のV章があります。
章が分かれているということは、同じ形の表示でも、対象が違えば参照する規格の章が違うということです。自家用乗用車に付いているタイヤの値を読むときは、乗用車用の章が対象になります。小形トラック用やトラック・バス用の資料で見た数値を、そのまま乗用車用タイヤの判断に持ち込まないほうがよい理由がここにあります。
国際規格との関係についても記載があります。協会は、ISOの加盟団体であるJISCから、ISO/TC31の国内審議団体として承認されたと説明しています。タイヤの呼び方が「ISO方式」と呼ばれるのは、この国際規格の系列にあるためです。
195は「断面幅の呼び」。ミリメートルで示す数字
いちばん前の数字が断面幅の呼びです。単位はミリメートルで、195とあれば断面幅が195ミリメートルであることを示します。センチメートルでもインチでもないため、ここだけは数字をそのまま寸法として読めます。
注意したいのは、断面幅はタイヤの接地面の幅ではないという点です。断面幅はタイヤの断面でいちばん広い部分の幅であり、路面に触れている部分の幅とは別の値です。この数字をそのまま接地面の幅として読むことはできません。接地している部分の幅は、断面幅と偏平比のほか、空気圧や荷重の組み合わせで変わります。
断面幅の呼びは、ホイールの幅とも対応関係があります。協会の規格にはリムの輪郭を扱うR章があり、タイヤとリムの組み合わせが規格として整理されています。幅の数字だけを大きくしても、組み合わせられるリムの範囲から外れれば使えません。この範囲の具体的な値は YEAR BOOK の側にあり、今回参照したページでは個別の組み合わせまで確認できていません。
65は「偏平比の呼び」。幅に対する高さの割合
2つめの数字は偏平比の呼びです。協会の資料では偏平比の呼びとして扱われ、一般には偏平率とも呼ばれます。意味は、タイヤの断面幅に対する断面高さの比率です。単位はパーセントで、65は断面幅の65パーセントの高さがあることを示します。
ここが、3つの数字のなかでいちばん読み間違いやすいところです。65という数字は長さではありません。同じ65でも、断面幅が違えば断面高さは変わります。断面幅195で偏平比の呼びが65なら、断面高さは195の65パーセントにあたる値です。断面幅が225なら、同じ65でも断面高さはもっと大きくなります。割合であることを押さえておかないと、タイヤの外径を見積もり間違えます。
偏平比の呼びが小さいタイヤは、側面の高さが低くなります。図の計算例では、幅をそのままにして2つめの数字を65から45へ下げると、断面高さは約127ミリメートルから約88ミリメートルへ、39ミリメートルほど低くなりました。これは定義から導いた算術の結果であり、実物の寸法は測定条件によって変わります。乗り心地や運動性能がどう変わるかについては、公表された比較値を確認できなかったため、このページでは書きません。
Rは構造の記号、15は組み合わせるホイールの直径
数字の間に挟まっているアルファベットは、タイヤ構造記号です。Rはラジアル構造を表します。構造はタイヤの内部の作り方を指すもので、寸法ではありません。したがって、ここは数字の大小ではなく、記号が何を指しているかだけを読みます。
その直後の数字がリム径の呼びです。単位はインチで、組み合わせるホイールの直径を示します。前の2つがミリメートルとパーセントで、ここだけインチに変わります。195と65と15が並んでいるのに単位が3つとも違う、という状態がここで完成します。慣れないうちは、3つめの数字だけ別の物差しだと覚えておくと取り違えにくくなります。
リム径の呼びは、ホイールを替えないかぎり動かせない値です。タイヤだけを買い替える場合、ここが合っていなければ組み付けられません。幅や偏平比の数字には選択肢がありますが、この数字は手元のホイールが決めています。買い物の順番としては、まずこの数字を確定させることになります。
91は「ロードインデックス」。1本で支えられる質量の指数
空白のあとに続く数字がロードインデックスです。寸法ではなく、タイヤ1本が支えられる質量を示す指数です。協会は、205/60R15 91Hという表示を例に、「91」はタイヤが1本で615kgの質量を支える能力があることを示していると説明しています。指数と質量は、規格の表で1対1に対応しています。
協会の表は、ロードインデックスの0から279までを並べたもので、0が45kg、279が136,000kgにあたります。乗用車用タイヤで目にする範囲を抜き出すと次のようになります。指数が3違うと負荷能力が数十キログラム動くため、近い数字なら同じようなものだという読み方はできません。
| ロードインデックス | タイヤ1本の負荷能力 |
|---|---|
| 80 | 450kg |
| 85 | 515kg |
| 87 | 545kg |
| 88 | 560kg |
| 91 | 615kg |
| 94 | 670kg |
| 95 | 690kg |
| 100 | 800kg |
出典は日本自動車タイヤ協会「タイヤの規格」、確認日は2026-10-13です。上の8行は抜粋で、規格の表そのものは0から279まで続きます。ここに挙げていない指数の値は、協会のページで確認してください。
Hは「速度記号」。速度の区分を表すアルファベット
いちばん後ろのアルファベットが速度記号です。Hは210km/hの区分にあたります。協会の表は、A1の5km/hからYの300km/hまでを並べたもので、記号ごとに速度が割り当てられています。乗用車用タイヤで見かける範囲を抜き出すと次のようになります。
| 速度記号 | 速度 |
|---|---|
| Q | 160km/h |
| S | 180km/h |
| T | 190km/h |
| H | 210km/h |
| V | 240km/h |
| W | 270km/h |
| Y | 300km/h |
出典は日本自動車タイヤ協会「タイヤの規格」、確認日は2026-10-13です。この7行も抜粋です。なお、速度記号はアルファベット順に速度が上がるわけではありません。表を見ると、Hは210km/hで、SやTより上に位置します。記号の並び順から速度の高低を推測しないことが、この表の読み方です。
この記号は、その速度で走ってよいという意味ではありません。日本の公道の速度は道路交通法と標識で決まっており、タイヤの記号がそれを変えることはありません。記号は、タイヤの側の能力の区分として置かれているものです。
「EXTRA LOAD」「REINFORCED」は空気圧の前提が違う
呼びの前後に「EXTRA LOAD」または「REINFORCED」と書かれているタイヤがあります。協会はこれを、通常のタイヤが通常の空気圧で負荷することを許された質量よりも、高い空気圧でより大きい質量を負荷できるように設計されたタイヤだと説明しています。
この説明から分かるのは、この表示があるタイヤは、高い空気圧を前提にして負荷能力が決まっているということです。表示の有無は呼びの6要素とは別の情報で、同じサイズ・同じロードインデックスに見えても前提が違う場合があります。具体的にどれだけの空気圧を入れるべきかは車両とタイヤの組み合わせで決まるため、今回参照したページでは個別の値を確認できていません。
買い替えでそろえるのは、幅と偏平比だけではない
呼びを読めたら、次は何をそろえるかです。協会は、全車輪とも、同じサイズ(ロードインデックス及び速度記号を含む)、種類、構造、カテゴリーのタイヤを選定するよう示しています。括弧の中が大事なところです。サイズをそろえるという話の中に、ロードインデックスと速度記号が明示的に含められています。
混ぜて使うことについても、はっきり書かれています。協会は、サイズ、種類、構造、カテゴリーの異なるタイヤを同一車軸に使用すると、タイヤ性能が異なるため事故や車両故障のおそれがあるので、混用しないよう求めています。前輪だけ違う銘柄にする、1本だけ違うサイズを入れる、といった組み合わせは、この求めから外れます。
取り付けた状態についても、公的な線引きがあります。国土交通省は令和元年5月29日の報道発表で、違法マフラーの装着や車体外にはみ出すタイヤの装着などの不正改造車を公道から排除するため、街頭検査を集中的に実施し、違反車両に対して整備命令を発令すると示しています。呼びの数字だけを合わせても、取り付けた結果として車体の外へはみ出せば、この対象になります。幅やリム径を変える場合は、ここまで含めて判断することになります。
空気圧は、呼びからは決まらない
呼びを読めても、入れる空気圧の値は出てきません。空気圧は車両の側で指定されている値です。協会は、空気圧の点検と充てんの手順の最初に、車両指定空気圧を確認することを置いています。タイヤに書かれた数字から逆算するものではありません。
この順番は、ロードインデックスの意味を考えると理解しやすくなります。指数が示すのは負荷能力で、その能力は空気圧と組み合わせて成り立ちます。だから、指数が足りているかどうかの判断と、指定された空気圧で使うことはつながっています。空気圧が足りないまま走れば、表示どおりの能力で使っていない状態になります。
点検の間隔と、空気圧が足りないまま走ったときに何が起きるかは、タイヤ交換の目安(スリップサインと年数の見方)で扱っています。点検そのものの位置づけは日常点検と定期点検の違い|自分で見る7箇所と工場に頼む29項目にあります。型番や記号を分解して読むという作業は、車のバッテリー型番の読み方|4つの規格と適合の確かめ方でも同じ形で整理しています。
今回、確認できなかったこと
呼びの各要素を定める規格の条文そのものは、今回の範囲では確認できていません。協会は規格を YEAR BOOK としてまとめており、ページ上では章立てと一部の値だけが公開されています。このページの値は、協会の公開ページに掲載されている表と説明から引いています。
タイヤとリムの組み合わせの具体的な範囲も確認できませんでした。協会の規格にリムの輪郭を扱うR章があることは分かりましたが、どのタイヤサイズにどの幅のリムが使えるかという対応は、今回参照したページには載っていません。
EXTRA LOAD のタイヤに入れる具体的な空気圧の値も書いていません。定義は確認できましたが、どの値にすればよいかは車両の指定とタイヤの組み合わせで決まるもので、公表値としてそろえて確認できる形になっていないためです。
偏平比の呼びを変えたときに乗り心地や運動性能がどう変わるかも、このページでは扱っていません。方向性としてよく語られる内容ですが、比較の条件がそろった公表値を確認できなかったため、推測では書きません。価格や銘柄ごとの違いも、条件が事業者ごとに異なるため扱っていません。
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