ハイオクとレギュラーの違いは、規格で見るとオクタン価だけです。自動車ガソリンの規格は1号と2号に分かれ、オクタン価(リサーチ法)の下限が1号は96.0以上、2号は89.0以上と決まっています。この1号が給油機でいうハイオク、2号がレギュラーです。蒸気圧、硫黄分、ベンゼン、エタノール、酸素分といったほかの規格値は、1号と2号で同じ数字が並びます。
そして、どちらを入れるかは好みで決めるものではありません。車ごとに指定燃料があり、メーカーはそれをカタログと取扱説明書で示しています。同じ車種でもグレードで分かれます。マツダはMAZDA2の使用燃料として、SKYACTIV-G(高圧縮)は無鉛レギュラーガソリン、SKYACTIV-G(15MBのみ)は無鉛プレミアムガソリンと公開しています。給油所で迷う前に、自分の車がどちらなのかを確かめるのが先です。
このページでは、規格上の違い、オクタン価という言葉が指しているもの、自分の車の指定燃料の確かめ方、指定と違うものを入れたときに各メーカーが公式に書いていること、価格差が年間でいくらになるかの出し方を順に見ます。全国平均の価格差は載せません。単価は毎週動き、給油所ごとにも違うため、自分が使う店の表示を見るほうが正確です。
規格表で違うのはオクタン価だけ
自動車ガソリンの規格は、オクタン価の高い1号と、それより低い2号に分かれています。ENEOSの石油便覧は、この1号をハイオクガソリン(オクタン価96以上)、2号をレギュラーガソリン(オクタン価89以上)と説明しています。石油連盟も、オクタン価96以上がハイオク、89以上がレギュラーと一般に称されていると書いています。
| 項目 | 1号(ハイオク) | 2号(レギュラー) |
|---|---|---|
| オクタン価(リサーチ法) | 96.0以上 | 89.0以上 |
| 蒸気圧(37.8℃) | 44〜78kPa | 44〜78kPa |
| 硫黄分 | 0.0010質量%以下 | 0.0010質量%以下 |
| ベンゼン | 1容量%以下 | 1容量%以下 |
| エタノール | 3容量%以下 | 3容量%以下 |
| 酸素分 | 1.3質量%以下 | 1.3質量%以下 |
出典:ENEOS 石油便覧 第2編第1章第1節「自動車ガソリン」(JIS K 2202 の1号・2号)。確認日2026-10-15。硫黄分の0.0010質量%は、石油連盟が書いている10ppm以下と同じ水準を指します。
規格表を並べて分かるのは、差がオクタン価の1点に集まっていることです。「ハイオクのほうがよく燃える」「エンジンの中がきれいになる」といった説明は、規格の話ではありません。清浄剤などの添加剤は規格表の外にあり、銘柄ごとに各社が決めています。当サイトは各社の配合内容を一次情報で確認できていないため、ここでは触れません。入れるべき燃料を決める材料は、添加剤の宣伝文ではなく、次に見る自分の車の指定燃料です。
オクタン価は「自己着火しにくさ」の尺度
オクタン価という言葉は、燃えやすさの指標のように読めますが、中身は逆です。JOGMECの用語辞典は、オクタン価をガソリンのアンチノック性(耐爆性)を示す尺度で、0〜100で表すものと定義しています。n-ヘプタンのオクタン価を0、イソオクタン(2,2,4-トリメチルペンタン)を100とし、試料と同一のアンチノック性を示すような混合物中のイソオクタンの容量%だ、という説明です。測り方は、自動車ガソリンならリサーチ法(RON)またはモーター法(MON)です。
つまりオクタン価は、狙っていないタイミングで自分から燃えてしまいにくいかどうかを表す数字です。ハイオクが元気な燃料だからエンジンが速くなる、という話ではありません。どのオクタン価を前提に設計されているかが車の側で先に決まっていて、その前提どおりの燃料を入れる、という関係になります。燃料を替えても車の前提は変わりません。
この関係は、メーカーの公開情報にも表れています。トヨタはヴェルファイアの燃料について、プラグインハイブリッド車・ハイブリッド車は無鉛レギュラーガソリン、ターボガソリン車は無鉛プレミアム(ハイオク)ガソリンと公開しています。同じ車名でも、積んでいるものによって指定が分かれているわけです。
入れるべきなのは、自分の車の指定燃料
指定燃料は、カタログと取扱説明書に書かれています。手元に無ければ、メーカーの公式サイトが車種別のQ&Aで公開していることがあります。順番にすると3段階です。
まず車種とグレードを特定します。車検証には車名と型式が載っていますが、グレード名はありません。購入時の見積書や注文書、販売店の記録で確かめます。ここを飛ばすと、MAZDA2のように同じ車種で指定が分かれている車では答えが出ません。
次に取扱説明書やカタログの使用燃料の欄を読みます。このとき表記の違いでつまずくことがあります。メーカー側の言葉は「無鉛プレミアムガソリン」で、給油機に出ている「ハイオク」とは別の語だからです。マツダは公式FAQで「無鉛プレミアムガソリン(ハイオク)」と併記しており、トヨタも「無鉛プレミアム(ハイオク)ガソリン」と書いています。説明書に無鉛プレミアムガソリンとあれば、給油機のハイオクがそれに当たります。
書類が見つからないときは、メーカーの公式サイトを見ます。車種別のQ&Aで使用燃料を公開している例が、上で挙げたマツダとトヨタです。第三者のまとめ記事ではなく、メーカーが出している記載で確認してください。同じ車名で年式やグレードによって違う以上、自分の車に対応する記載を見ないと意味がありません。
指定と違うものを入れたとき、各社が書いていること
ここが検索でいちばん多く聞かれているところだと思いますが、答えはメーカーが公式に出しています。Hondaは、無鉛プレミアムガソリン仕様車で無鉛プレミアムガソリンが入手出来ない場合には無鉛レギュラーガソリンをお使いになることもできますが、この場合カタログなどに記載しております性能諸元通りの性能を発揮できないことがございます、と書いています。
マツダは、緊急時に無鉛プレミアムガソリン仕様車へ無鉛レギュラーガソリンを入れる場合について、無鉛プレミアムガソリンと無鉛レギュラーガソリンが混ざること自体は問題ないとしています。そのあとの対応は、次回の給油で無鉛プレミアムガソリンを入れることで、タンク内の高オクタン価ガソリンの比率が高まり本来の性能に戻る、という案内です。
読み方で注意したいのは、どちらの記載も入手できないときの話として書かれている点です。節約の手段として常に使ってよい、という内容ではありません。また、記載はメーカーと車種で違います。自分の車の取扱説明書に別の指示があれば、そちらが優先します。
レギュラー指定車にハイオクを入れると得をするか
逆方向についても、Hondaが公式に書いています。無鉛レギュラーガソリン仕様車に無鉛プレミアムガソリンを使用することもできますが、本来のエンジン性能が大きく変わることはありません、という記載です。
使えるが、性能は大きく変わらない。これが公式の言い方です。つまりレギュラー指定車にハイオクを入れると、単価の差だけが支出に乗り、返ってくるものは公式には示されていないことになります。燃費が良くなる、エンジンが長持ちする、といった効果を期待して入れるのであれば、その裏付けは少なくともこの記載からは出てきません。
価格差は年間でいくらになるか
差額は、距離と燃費が分かれば出せます。年間に入れるガソリンの量は、年間走行距離を燃費で割った値です。その量に1Lあたりの価格差を掛けると、年間の差額になります。計算の仕組みそのものはガソリン代の計算方法で詳しく扱いました。
| 年間の給油量 | 価格差5円/L | 価格差10円/L | 価格差15円/L |
|---|---|---|---|
| 500L(年6,000km・12km/L) | 2,500円 | 5,000円 | 7,500円 |
| 833L(年10,000km・12km/L) | 4,165円 | 8,330円 | 12,495円 |
| 1,000L(年15,000km・15km/L) | 5,000円 | 10,000円 | 15,000円 |
この表の距離・燃費・価格差はすべて計算の動き方を見るために置いた仮定で、実勢の値ではありません。自分の数字を入れて計算してください。年間差額は給油量と価格差の掛け算で決まるので、走る距離が短い人ほど小さく、長い人ほど大きくなります。
全国平均の価格差は、このページでは確認できていません。資源エネルギー庁は毎週、ガソリン・軽油・灯油・重油の価格を調査・公表していますが、今回はその公表ページを取得できませんでした。給油所の表示価格か、資源エネルギー庁の公表値で、自分が給油する時点の差額を確かめてください。レシートの単価を使うなら、会員価格や割引が反映された実額になります。
単価そのものの中身、たとえば法律で決まっている税がいくら含まれているかについても、計算方法の記事でまとめています。ハイオクとレギュラーのどちらを入れても、この税の部分は同じ額です。
自分の車で確かめる順番
ここまでを手順にすると、次のようになります。
- 車検証と購入時の書類で、車種とグレードを特定する
- 取扱説明書かカタログの使用燃料の欄を読む。無鉛プレミアムガソリンなら給油機のハイオク、無鉛レギュラーガソリンならレギュラーに当たる
- 書類が無ければ、メーカー公式サイトの車種別Q&Aで、同じグレードの記載を探す
- 指定と違うものを入れてしまったら、自分の車のメーカーの公式案内を読む。マツダのように、次回の給油で指定燃料を入れるよう案内している例がある
- 価格差が気になるなら、自分の年間走行距離と燃費から年間の給油量を出し、給油所の表示価格の差を掛ける
燃料のグレードは、入れ替えても車の前提が変わらない項目です。月々の燃料費を動かしたいなら、効くのは距離と燃費のほうです。燃費の違いで車を比べたいときはハイブリッドとガソリン車の比較、燃料そのものが電気に置き換わる場合の費用の内訳はEVの維持費は何にいくらかかるかで整理しています。
軽油は別の油種
最後に線を引いておきます。ハイオクとレギュラーは、どちらも自動車ガソリンの規格の中の1号と2号という区分です。軽油はガソリンではなく、ディーゼル車の燃料で、規格も別に定められています。
したがって、このページで引いた各社の案内はガソリン同士の話です。ガソリン車に軽油を入れた、ディーゼル車にガソリンを入れたという場合には当てはまりません。その場合はエンジンをかけずに、販売店かロードサービスへ連絡してください。