この記事は、日産自動車株式会社が 2026/10/14に公表した発表を一次情報にしています。 価格・発売日・仕様は発表の表記をそのまま記録しています。
出典:日産自動車、神戸市における2026年度自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表(確認日 2026/10/14)
日産自動車は2026年10月14日、神戸市で行う2026年度の自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表し、あわせて試乗モニターの募集を始めました。運行するのは神戸市の灘五郷エリアとその周辺で、使う車両は「セレナ」をベースとした自動運転開発車両です。運行の期間は2026年12月8日から18日までで、土曜・日曜・月曜を除く日に行われます。
今回の発表でいちばん目を引くのは、車両や運行日程ではありません。横浜にある遠隔管制室から、横浜と神戸の自動運転車両の運行を一元的に管制するという部分です。離れた2つの街で走る車を、1か所から見る体制そのものを検証の対象にしている点が、これまでの実証と違うところです。
この記事は、日産自動車のニュースリリースと、実証に協力するMoplus株式会社の発表資料で確認できた範囲だけを整理したものです。運行する車両の台数、乗降地の数、1日あたりの便数、将来の料金といった項目は、どちらの資料にも示されていません。当サイトでは、示されていない項目を他の実証の数字で埋めることはしません。記載のないものは、記事の後半にまとめて挙げます。
運行は12月8日から18日まで、土日月を除く日に行われる
運行の期間は2026年12月8日(火)から18日(金)までです。発表には、土曜・日曜・月曜を除くという条件が付いています。つまり実際に車が走るのは、この期間に含まれる火曜から金曜までの平日ということになります。
期間の短さは、読み方を左右します。これは日常の交通手段として街に置かれるサービスではなく、限られた日数のあいだだけ走らせて、結果を持ち帰るための運行です。乗ってみたい人にとっては、応募から運行までの間隔が1か月ほどしかないことも押さえておきたい点になります。応募の締め切りと運行の開始の関係は、記事の後半の図にまとめました。
| 項目 | 発表に書かれている内容 |
|---|---|
| 対象 | 神戸市における2026年度自動運転モビリティサービス実証実験 |
| 運行の期間 | 2026年12月8日(火)〜18日(金) |
| 運行しない日 | 土曜・日曜・月曜 |
| 運行エリア | 神戸市の灘五郷エリアとその周辺 |
| 車両 | 「セレナ」をベースとした自動運転開発車両 |
| 運転席 | セーフティドライバーが同乗する自動運転SAEレベル2相当 |
| 配車のしかた | スマートフォンで予約・配車するオンデマンド型 |
| 乗降する場所 | 駅や酒蔵などの指定場所 |
車両は「セレナ」ベースで、運転席には人が乗る
走るのは、販売されているセレナそのものではありません。発表は「セレナ」をベースとした自動運転開発車両と書いています。開発車両という言い方のとおり、実証のための機器を積んだ車です。市販のセレナに今回の機能が付くという話ではなく、この記事で扱っているのは車を買うときの選択肢ではありません。
運転席についても明記されています。発表はこの車両を、セーフティドライバーが同乗する自動運転SAEレベル2相当と説明しています。運転する人がいない車が街を走るわけではありません。自動運転という言葉から運転席の無い車を思い浮かべると、実際の運行とずれます。
「自動運転」の中身は、発表ごとに確かめる必要がある
自動運転という言葉は幅が広く、市販車に付いている運転支援の機能、決められたエリアで車を配車するサービスの検証、運転席から人を外す段階の検証が、同じ言葉で語られます。今回の発表はこのうち2つめで、しかも運転席には人が乗る段階です。どの段階の話なのかは発表の本文に書かれているので、記事や見出しの言葉ではなく、発表そのもので確かめるのが確実です。発表資料の読み方はプレスリリースの読み方でも整理しています。
今回の新しさは、横浜の管制室から2つの街を見ること
発表の中心にあるのは、管制のしかたです。横浜にある遠隔管制室から、横浜と神戸の自動運転車両の運行を一元的に管制する取り組みを行い、複数の自動運転車両の走行エリアを1か所から遠隔監視する仕組みを検証する、と書かれています。
これは車の性能の話ではなく、運営体制の話です。自動運転のサービスを街で続けようとすると、車のほかに、走行状況を見守る人と場所が必要になります。その見守る場所を街ごとに作るのか、1か所にまとめて複数の街を担当するのかで、必要な人と設備は変わります。今回検証されるのは後者の形です。Moplus株式会社の発表資料は、これを広域運営体制という言葉で説明しています。
ただし、管制室に何人がいるのか、1人が何台を担当するのか、通信が途切れたときにどう対処するのかは、発表には書かれていません。検証するという事実までが公表されていて、その中身の設計は示されていない状態です。日産自動車は横浜市でも2026年度の実証実験を行っていて、その内容は日産の横浜・自動運転実証で扱いました。今回の管制は、その横浜の運行と神戸の運行を同じ部屋から見るという形になります。
配車はスマートフォンのオンデマンド型、駅と酒蔵を結ぶ
乗り方も示されています。スマートフォンで予約や配車ができるオンデマンド型のサービスとして実施し、駅や酒蔵などの指定場所の間を運行する形です。オンデマンド型とは、決まった時刻表で走るのではなく、呼ばれたときに配車する形を指します。
ここで注意したいのは、呼べば好きな場所へ行けるという意味ではないことです。乗り降りできるのは指定された場所に限られます。発表資料は駅や酒蔵などと書いていますが、具体的にどの場所が乗降地になるのか、その数がいくつなのかは示されていません。
検証の狙いについて、発表は自動運転モビリティサービスを活用した観光エリアの回遊性や、地域活性化の可能性、ならびに社会受容性の検証と説明しています。灘五郷は酒造りで知られる地域です。酒蔵を見て回る人は車を運転できない場面があるため、呼べば来る車を観光の移動に充てられるかどうかが、この土地では具体的な論点になります。地域の移動をどう組み立てるかという取り組みは、日産と浪江町のスマートモビリティでも扱いました。
前回の実証運行から、車両とサービスの形が変わっている
神戸市と日産自動車は、前回も灘五郷エリアで実証運行を行っています。日産自動車が2025年11月28日に公表したニュースリリースによれば、前回の運行は2026年1月19日(月)から23日(金)まで行われ、車両は日産「リーフ」をベースとした自動運転車両でした。走り方も今回とは違い、神戸酒心館、白鶴酒造資料館、菊正宗酒造記念館、浜福鶴吟醸工房をめぐる1周約20分の周回ルートという形でした。
今回はベースの車種がセレナに替わり、決まったルートを回る形から、スマートフォンで呼ぶオンデマンド型へ変わっています。Moplus株式会社の発表資料は、今回を運行エリアとサービス内容を拡大したものと位置づけています。同じ地域で続けている取り組みでも、前回の結果をそのまま今回に当てはめることはできません。車両も走り方も違うためです。
| 項目 | 前回の実証運行 | 今回の実証実験 |
|---|---|---|
| 運行した期間 | 2026年1月19日(月)〜23日(金) | 2026年12月8日(火)〜18日(金) |
| 車両のベース | 日産「リーフ」 | 日産「セレナ」 |
| 走り方 | 酒蔵をめぐる1周約20分の周回ルート | 駅や酒蔵などの指定場所間をオンデマンド配車 |
| 遠隔管制 | 記載がありません | 横浜の遠隔管制室から横浜と神戸を一元管制 |
試乗モニターは約100名、応募は11月13日まで
試乗モニターの募集は発表と同じ2026年10月14日に始まり、締め切りは11月13日です。募集人数は約100名、参加費は無料で、応募は「おでかけKOBE」のサイトから行います。
応募の条件として挙げられているのは、満18歳以上であること、自身で車両に乗降し着席してシートベルトを着用できること、そして実証実験中の撮影、インタビュー、アンケートに協力できることです。3つめは読み飛ばしやすい条件です。無料で乗れる代わりに、記録に残る形で参加することが前提になっています。顔や声が出る形での協力が難しい場合、この条件は実質的な制約になります。
| 項目 | 発表に書かれている内容 |
|---|---|
| 募集人数 | 約100名 |
| 応募の期間 | 2026年10月14日〜11月13日 |
| 参加費 | 無料 |
| 年齢 | 満18歳以上 |
| 乗降 | 自身で車両に乗降・着席し、シートベルトを着用できること |
| 協力事項 | 実証実験中の撮影、インタビュー、アンケート |
| 応募の方法 | 「おでかけKOBE」サイトから申し込み |
| 体験の内容 | アプリによる配車予約と、指定場所間の試乗 |
選び方が先着なのか抽選なのかは、確認できた資料には書かれていません。募集人数に対して応募が多かった場合にどうなるのかも示されていないため、応募しても乗れるとは限らない前提で考えることになります。
目標として示されているのは2027年度と2030年度
発表は、この実証の先にある目標も書いています。2027年度には一部エリアでの有償運行、2030年度には商用運行の開始を目指すという内容です。
ここは言葉を正確に読む場所です。いずれも「目指す」と書かれた目標であり、決まった予定ではありません。有償運行の対象になる一部エリアがどこなのか、料金がいくらになるのかも示されていません。当サイトは、目標として示された年度を、確定した開始時期として扱うことはしません。
実施主体は神戸市と日産自動車、国の補助事業の枠組みで行われる
役割の分担も公表されています。神戸市が事業の統括管理、灘五郷酒造組合が乗降地の提供、日産自動車が実証の企画・運営主体です。Moplus株式会社は協力として示されています。乗降地を提供するのが酒造組合だという点は、この実証が観光の回遊を対象にしていることと結びついています。
この実証は、国の補助事業の枠組みのなかで行われます。発表に挙げられているのは、令和7年度の「デジタル庁 自動運転社会実装先行的事業化地域事業」と、令和8年度の「国土交通省 地域公共交通確保維持改善事業費補助金」です。1社が単独で行う実験ではなく、自治体と国の事業が関わる取り組みとして位置づけられています。日産自動車の発表は日産から辿れます。
この発表に記載がない項目
次の項目には記載がありません。当サイトでは、記載のない項目を他の実証や前回の数字で埋めることはしません。
| 項目 | 発表での扱い |
|---|---|
| 運行する車両の台数 | 記載がありません |
| 乗降地の場所と数 | 駅や酒蔵などという記述のみで、場所と数の記載がありません |
| 1日あたりの便数・運行時間 | 記載がありません |
| 1便に乗れる人数 | 記載がありません |
| モニターの選び方(先着か抽選か) | 記載がありません |
| 遠隔管制室の体制(人数・担当台数) | 検証する旨の記述のみで、体制の記載がありません |
| 有償運行の料金 | 記載がありません |
| 有償運行の対象になる一部エリア | 記載がありません |
| 市販のセレナとの改造内容の違い | 記載がありません |
便数や運行時間が出ていないのは、応募を考える人にとっては判断の材料が足りない状態です。平日の運行であることは分かっても、何時から何時まで走るのかは、応募の窓口である「おでかけKOBE」のサイトで確かめる必要があります。
いま車を持っている人にとっての読みどころ
今回の発表に、車を買うか、いま乗っている車をどうするかという判断に直接効く材料は含まれていません。価格の話も、市販車の装備の話も出てこないためです。それでも押さえておく価値があるのは、自動運転が「車に付く機能」としてではなく、「街に置かれるサービス」として進んでいる形が見えるところです。
サービスとして進む場合、効いてくるのは車両の性能だけではありません。誰が運営し、誰が見守り、どこで乗り降りできるのかという設計が、使えるかどうかを決めます。今回の発表で検証の対象になっているのは、まさにその部分です。こうした実証が各地で積み重なった先に、車を持たない選択がどこまで現実的になるのかが決まっていきます。自動運転に関する発表は自動運転・ADASにまとめています。
出典と、この記事を更新する条件
この記事は、日産自動車が2026年10月14日に公表したニュースリリース「日産自動車、神戸市における2026年度自動運転モビリティサービス実証実験の詳細を発表」を主な一次情報にしています。あわせて、実証に協力するMoplus株式会社の発表資料と、前回の実証運行について日産自動車が2025年11月28日に公表したニュースリリースを参照しました。期間、運行日、エリア、車両、サービスの形態、応募条件、役割分担、補助事業の名称は、いずれも発表の表記のまま記録しました。発表ページを確認した日は2026年10月15日です。
乗降地や便数が公表された場合、モニターの選び方が示された場合、運行の期間が変わった場合、または運行の結果が公表された場合に、この記事を更新して編集日を改めます。応募の受付と運行の日程は動きやすいため、30日ごとに発表ページと応募サイトを再確認します。