この記事は、本田技研工業株式会社が 2026/10/29に公表した発表を一次情報にしています。 価格・発売日・仕様は発表の表記をそのまま記録しています。
出典:2026年9月度 四輪車 生産・販売・輸出実績(確認日 2026/11/05)
自動車メーカーは毎月、生産・販売・輸出の台数を自社のニュースリリースで公表しています。ところが同じ月の同じ「国内生産」の行を2社で見比べると、片方の比率の欄には「前年比」、もう片方には「前年同月比」と書かれています。どちらも前年との比較ですが、読み方は同じではありません。
先に結論を書きます。この種類の発表を読むときに最初に見るのは台数ではなく、その台数の隣にある欄の名前と、表の見出しに書かれた期間です。比率の欄の名前、区分の呼び方、累計の取り方、数字の基準の注記は、会社ごとに違います。そこを確かめないまま台数と%だけを抜き出すと、2社を比べたつもりで別の種類の数字を並べることになります。
この記事では、2026年10月29日に公表された本田技研工業、株式会社SUBARU、トヨタ自動車の3件の資料を材料に、発表を開いたときに確かめる順番を整理します。個別の月の中身は最新のニュース側で扱っているので、ここでは資料の形そのものに絞ります。増減の理由や今後の見通しは、どの資料にも書かれていないため当サイトでも書きません。読み終えたあとに、手元の記事やSNSで見た台数が何を数えた数字なのかを、自分で発表に戻って確かめられる状態を目標にします。
最初に見るのは台数ではなく、比率の欄の名前
本田技研工業が2026年10月29日に公表した資料では、2026年9月の国内生産が62,356台、比率の欄が「前年比」で95.1%、その隣に前年実績として65,587台が並んでいます。備考にあたる欄には「2ヵ月連続減」と書かれています。100を下回る値に「減」が付いていることと、台数と前年実績が同じ行に並んでいることから、この欄が前年同月を100としたときの水準を示していると読めます。気になる行は、台数を前年実績の数字で割って、欄の値と一致するかを自分で確かめられます。
株式会社SUBARUが同じ日に公表した資料では、同じ2026年9月の国内生産の行に、比率の欄として「前年同月比」が置かれています。値には符号が付き、備考には「2カ月連続前年超え」と書かれています。符号つきの値は、前年同月からの増減率を示す書き方です。2社の台数と比率の実際の値は、次の図に資料の表記のまま並べました。同じ「国内生産」という行名でも、隣の欄の名前が違えば、100という数字が持つ意味も変わります。
備考の欄も合わせて読みます。ホンダの資料には「2ヵ月連続減」「9ヵ月連続減」「2ヵ月ぶり減」といった文言が行ごとに付き、SUBARUの資料には「2カ月連続前年超え」「2カ月振り前年超え」「2カ月連続前年割れ」が並びます。単月の値だけでは、続いている状態なのか向きが変わったところなのか判断できません。備考の文言は、その行の数字がどちらなのかを資料自身が示している部分です。
区分名は会社ごとに違う。国内販売の内訳でとくに分かれる
生産の区分は、ホンダが「国内生産」「海外生産」「世界生産」、SUBARUが「国内生産」「海外生産」「世界生産合計」です。呼び方は近いものの、国内販売の内訳になると分かれます。ホンダの国内販売は「全合計」「登録車」「届出車」、SUBARUは「登録車」「軽自動車」「国内販売合計」という欄名です。2社の内訳をそのまま横に並べる前に、自分が見ている欄がどちらの呼び方なのかを確かめることになります。
輸出の扱いも資料ごとに違います。ホンダの資料は「日本からの輸出」として全合計のほかに「北米」「米国」「アジア」「欧州」「その他」の行を持ち、生産についても「北米」「米国」「アジア」「中国」の主要地域別の行があります。SUBARUの資料で確認できたのは「輸出合計」までで、行き先別の内訳は資料の構成が異なります。
ここで取り違えやすいのが「国内」という言葉です。国内生産は日本の工場で作られた数、国内販売は日本で売れた数で、別の行の別の数字です。ある月に国内生産が前年を下回っていても、国内販売が同じ向きに動くとは資料から読み取れません。実際にホンダの2026年9月の資料では、国内生産の備考と国内販売の備考がどちらも「2ヵ月連続減」ですが、日本からの輸出は「2ヵ月ぶり減」で、向きが変わったことを示す書き方になっています。行ごとに確かめる必要があるということです。
3社の資料を並べると、形がそろっていない
同じ月の実績でも、資料の作りは会社ごとに違います。2026年10月29日に公表された3件を、こちらで確認できた項目だけ並べます。確認できなかった項目は埋めずに残しています。
| 確認した項目 | 本田技研工業 | 株式会社SUBARU | トヨタ自動車 |
|---|---|---|---|
| 比率の欄の名前 | 前年比 | 前年同月比 | ページ上で確認できませんでした |
| 国内販売の内訳の欄名 | 全合計/登録車/届出車 | 登録車/軽自動車/国内販売合計 | ページ上で確認できませんでした |
| 単月の期間の表記 | 2026年9月度 | 2026年9月度 | 2026年9月及び4-9月 |
| 累計の期間の表記 | 2026年4-9月累計 | 2026年累計(1月~9月)/2026年度累計(4月~9月) | 2026年度上半期(4月-9月) |
| 数字の基準の注記 | 国内生産:自工会報告ベース(CBU)/海外生産:ラインオフベース速報値/輸出:自工会報告ベース(CBU) | 国内生産:自工会報告ベース(完成車)/海外生産:ラインオフベース/輸出:自工会報告ベース/記載の数値は発表日時点の速報値 | ページ上で確認できませんでした |
| 詳細の提供 | ページ上の表 | ページ上の表 | 販売・生産・輸出実績 詳細データ(Excel) |
トヨタ自動車のページは「2026年度上半期(4月-9月)販売・生産・輸出実績」という見出しで、本文に「トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)」「ダイハツ工業株式会社」「LEXUS」という表記があり、数値の詳細はExcelの詳細データとして案内されています。どの会社とブランドが対象に含まれるのかは、表の数字より先に本文で確かめる項目です。グループ全体の数と1社の数を同じものとして扱うと、同じ「販売」でも規模が合いません。
表で「確認できませんでした」としたのは、ページ上でその項目を見つけられなかったという意味です。そこに記載が存在しないという意味ではありません。Excelの詳細データの中身まで当サイトで開いて確認していないため、推測で埋めずに空欄として残しています。
累計には「暦年」と「年度」の2通りがある
累計の期間も会社ごとに違います。SUBARUの資料は「2026年累計(1月~9月)」と「2026年度累計(4月~9月)」の両方を持ち、ホンダは「2026年4-9月累計」、トヨタは「2026年度上半期(4月-9月)」という表記です。1月起算の暦年と、4月起算の年度が混ざるため、同じ「累計」という言葉でも対象の月数が変わります。
備考の欄にも期間の単位が混ざります。ホンダの資料には「2期ぶり増」、SUBARUの資料には「3期連続前年割れ」という文言があり、月単位の連続ではなく期間単位の増減を示す書き方になっています。「連続」という言葉を見たときは、それが月の話なのか期の話なのかを文言のまま読みます。ある単月の数字を「上半期も同じ向き」と言い換えてしまうと、資料に書かれていない内容になります。
数字の基準は、表の下の注記に書かれている
台数そのものの作り方は、表の下の注記に書かれています。ホンダの資料には「国内生産:自工会報告ベース(CBU)」「海外生産:ラインオフベース速報値」「輸出:自工会報告ベース(CBU)」とあります。SUBARUの資料には「国内生産:自工会報告ベース(完成車)海外生産:ラインオフベース輸出:自工会報告ベース記載の数値は発表日時点の速報値です」と書かれています。
ここから分かるのは2つです。第一に、同じ「生産」でも国内と海外で数え方の記載が違うことです。第二に、公表されている数字が速報値だと資料自身が書いていることです。速報値である以上、あとから出る資料で数字が変わることがあり得る前提で読みます。なお「自工会報告ベース」や「ラインオフベース」という語の定義そのものは、当サイトが確認した資料に説明として書かれていません。定義を推測して補わず、注記の文言のまま記録しています。
発表の探し方そのものはプレスリリースの探し方と読み方にまとめています。各社のニュースルームの所在と、発表日と発売日の読み分けはそちらを参照してください。
メーカーの発表と、登録・販売の統計は別の数字
車名ごとに何台売れたのかを知りたい場合、メーカーの月次実績では届きません。日本自動車販売協会連合会の「ブランド別登録台数(確報)」のページには「車検証上の車名欄の名称を原則とした分類」という記載があり、数えているのは登録台数です。軽自動車については全国軽自動車協会連合会が「軽四輪車 新車販売台数」や「軽四輪車 通称名別新車販売台数」を速報と確報の形で公表しています。
つまり、メーカーの発表は自社の生産・国内販売・輸出を自社の集計基準で示したもの、団体の統計は登録や販売を集計したもので、作っている主体も単位も別です。どちらが正しいという関係ではありません。知りたいことが「ある会社が何台作って何台売ったか」ならメーカーの発表、「どの車名が何台売れたか」なら団体の統計を見ます。団体側の集計の仕組みは新車販売台数ランキングの見方で扱っています。
発表を開いたときに確かめる順番
ここまでを、確かめる順に並べ直します。上から順に見ると、資料に書かれている内容と、資料に書かれていない内容が混ざりません。
| 確かめること | どこを見るか | 取り違えやすい点 |
|---|---|---|
| 対象の期間 | 表やページの見出し(2026年9月度、4-9月累計など) | 単月と累計で前年に対する向きが分かれる |
| 比率の欄の名前 | 台数の隣の欄の見出し(前年比、前年同月比) | 水準と増減率のどちらかで読み方が変わる |
| 区分名 | 行の見出し(国内生産、国内販売、輸出) | 国内で作った数と日本で売れた数は別の行 |
| 内訳の欄名 | 国内販売の内訳(登録車、届出車、軽自動車) | 会社によって呼び方が違う |
| 対象の会社とブランド | 本文の冒頭の表記 | グループ全体か1社かで規模が変わる |
| 数字の基準 | 表の下の注記(自工会報告ベース、ラインオフベースなど) | 速報値と書かれていればあとで変わり得る |
| 備考の文言 | 行ごとの連続増減の記載 | 「連続」が月の話か期の話か |
この順番は、期間と欄名という枠組みを先に押さえ、台数は最後に拾う形にしています。先に台数を見ると、印象に残った数字に合う説明をあとから探すことになり、資料に書かれていない理由づけが混ざりやすくなります。実際の読み取り例としては、同じ資料を記事にしたホンダの2026年9月度の実績とSUBARUの2026年9月度の実績が、台数と比率と備考をそれぞれ資料の表記のまま並べています。
まとめ
- 最初に見るのは台数ではなく、比率の欄の名前と表の見出しの期間
- 「前年比」は前年同月を100としたときの水準、「前年同月比」は符号つきの増減率として書かれている
- 国内販売の内訳の欄名は会社ごとに違う(登録車・届出車/登録車・軽自動車)
- 累計には暦年(1月~9月)と年度(4月~9月)の2通りがあり、備考には期単位の文言も混ざる
- 数字の基準と速報値である旨は、表の下の注記に書かれている
- 車名ごとの台数はメーカーの発表には出てこない。団体の統計を見る