新技術・安全技術

ホンダ、走行中のEVに非接触で給電する道路システムの基盤技術を開発

Hondaが2026年10月5日に公表した「磁界結合方式無線給電道路システム」の基盤技術開発を、3社の役割分担、検証した課題と技術の特長、今後の取り組みの時点に分けて、発表の記載だけで整理します。

ホンダ、走行中のEVに非接触で給電する道路システムの基盤技術を開発 - チビカのニュースカード

この記事は、本田技研工業株式会社が 2026/10/05に公表した発表を一次情報にしています。 価格・発売日・仕様は発表の表記をそのまま記録しています。

出典:EVへの走行中無線給電の実現に向け、大型商用車にも対応する基盤技術を開発(確認日 2026/10/05)

Hondaの研究開発子会社である株式会社本田技術研究所は2026年10月5日、大成建設株式会社と大成ロテック株式会社と共同で、走行中のEV(電気自動車)に非接触で給電できる「磁界結合方式無線給電道路システム」の基盤技術を開発したと公表しました。あわせて、2027年度以降に高速道路での実証実験を実施する予定だとしています。

この記事は、その発表に書かれていることだけを整理したものです。対応する車種、市販の時期、給電の料金、道路に設置する区間と延長は発表に記載がないため、当サイトでも書きません。公表されたのは「どこまでの技術が出来たか」と「次に何をするか」までで、車を買う側がいつ使えるようになるのかは示されていません。

これは商品の発表ではありません。発表自身が、基盤技術については「開発しました」、高速道路での実証については「実施する予定」と書き分けています。読み違えが起きやすいところなので、この記事でも出来たことと予定を混ぜずに並べます。

発表されたのは基盤技術の開発と、公道実証の予定

まず、発表の骨子を発表の表記のまま並べます。

項目 発表に書かれている内容
発表日 2026年10月5日
発表元 株式会社本田技術研究所、大成建設株式会社、大成ロテック株式会社
開発したもの 走行中のEVに非接触で給電が可能な「磁界結合方式無線給電道路システム」の基盤技術
組み合わせたもの Hondaが独自開発した高出力密度で直流配電に対応する受給電ユニット、大成建設による高応答な直流電源システム、大成ロテックの埋設施工技術
適用を見据える範囲 乗用車から大型商用車まで幅広いモビリティ
実験・検証を行った場所 大成建設グループ次世代技術研究所/幸手「T-FIELD/SATTE」の実験道路
高速道路での実証実験 2027年度以降に実施する予定

発表元はHondaの1社ではありません。Honda側の名義は研究開発子会社の本田技術研究所で、ここに大成建設と大成ロテックが加わった共同研究の成果という形で公表されています。道路に埋める設備の話なので、車を作る側だけでは完結しないということが、発表元の並びにそのまま表れています。

発表は、この基盤技術が「大電力の給電技術と優れた埋設施工性を実現しています」と説明し、適用を見据える対象として乗用車から大型商用車までを挙げています。一方で、どの車種に載せるのか、いつから選べるのかという商品の話には触れていません。ここで公表されたのは、研究の段階で成立を確認できた技術と、その先に置かれた実証実験の予定までです。

走行中無線給電(DWPT)について、発表が書いていること

走行中無線給電は、発表の注記でDWPT(Dynamic Wireless Power Transferの略)と示されている技術です。読み方としては、停めて充電するのではなく、走っている車へ道路の側から電力を渡すしくみを指します。

発表によると、Hondaは2050年のカーボンニュートラル実現と「自由な移動の喜び」の提供に向けてEVの普及を見据えた技術開発やサービス展開を進めており、EV向け充電ネットワークサービス「Honda Charge(ホンダチャージ)」を開始するなど、充電インフラの拡充やEVの使用環境の利便性向上に注力しているとしています。そのうえで、将来に向けた取り組みとして、走行中の車両に非接触で電力を供給するDWPT技術の開発に2021年より取り組んでいると書かれています。

期待される効果についても発表に記載があります。EVの走行中に電力を供給することで、自宅や充電スポットでの充電頻度を減らすなど、EVの利便性向上に貢献する技術として期待されており、Hondaはまず導入効果が高いと想定される物流・輸送分野での実用化を目指すとしています。

目指す先として先に挙げられているのは、個人の車ではなく物流・輸送です。走る距離が長く、走る経路が決まっている使い方のほうが、道路に設備を埋める投資と釣り合いやすいという順番が読み取れます。ただし発表は「まず」と書いているだけで、乗用車への展開時期には触れていません。

システムは地上・道路・車両の3つに分かれる

発表は、システムの構成を3つの部分で説明しています。地上の直流電源システムと、道路に埋設した複数のGA(Ground Assemblyの略)ユニット、つまり給電ユニットを直流方式で接続する直流配電型GAシステム、そして車両側のVA(Vehicle Assemblyの略)ユニット、つまり受電ユニットです。

発表に書かれている磁界結合方式無線給電道路システムの構成図。地上の設備は大成建設が開発する直流電源システム、道路に埋設する設備は本田技術研究所が開発する直流配電型GAシステムで施工方法は大成ロテックが開発、車両側は本田技術研究所が開発するVAユニットを搭載した車両システム
発表の説明を、設備の置かれる場所ごとに組み替えました。 地上と道路は直流で接続され、道路から車両への受け渡しが非接触の部分です。給電の出力や設置区間は発表に記載がありません。 出典:本田技研工業のニュース(確認日 2026-10-05)

3社の役割分担は、発表に表の形で示されています。

企業名 実施概要(発表の表記)
大成建設 直流電源システムの開発
本田技術研究所 道路に埋設して車両側に送電を行う直流配電型GAシステム、車両側で受電を行うVAユニットを搭載した車両システムの開発
大成ロテック 無線給電道路の施工方法の開発
3社共同 GAシステムを埋設した無線給電道路の舗装構造の開発および耐久性試験の実施、無線給電道路および関連設備の更新手法の開発、直流配電実験および無線給電実験の実施

この分担から分かるのは、車両に載せる受電側と道路に埋める送電側の両方をHondaが担い、電源と舗装・施工を建設側が担っているという組み方です。舗装構造の開発と耐久性試験、更新手法の開発は3社共同と書かれています。道路に埋めたものは後から直す必要があるため、作る方法と同時に、やり直す方法まで検討の対象に入っていることが表の文面から読み取れます。

共同研究の進め方についても記載があります。3社は、大成建設グループ次世代技術研究所/幸手「T-FIELD/SATTE」の実験道路で実験・検証を行ってきたとしており、そこでは大型商用車での公道実証実験を想定した無線給電システム、道路舗装構造、施工・更新手法などの技術検証を行い、それぞれの有効性を確認したと書かれています。

検証した課題と、開発した技術の特長

発表は、社会実装に向けて不可欠なものとして「大型商用車の荷重に耐えるGAユニットの強度と舗装構造」と「高速走行するEVへの大電力給電が可能で、道路への施工性にも優れた給電システム」の構築を挙げ、車両総重量20トンクラスの大型車の走行に耐えるユニット・舗装構造、直流配電型GAシステムへ高応答かつ安定的に高出力の電力を供給する直流電源システム、GAユニットの埋設施工性と将来的な更新性という3つの主要課題を検証したとしています。そのうえで示された特長が次の3点です。

発表に書かれた特長 内容の要点(発表の記載による)
大型商用車の荷重に耐えるGAユニット・舗装構造 GAユニット内部の構造最適化により、GAユニットを含めた舗装構造に十分な強度・耐久性を確保し、荷重が大きい大型商用車による長期間の走行にも対応可能とした
高効率・安定給電を実現する直流配電構造 ユニット内のインバータとコイルを走行中無線給電ユニットとして世界で初めて一体化し、直流配電による給電を実現。地上の直流電源システムと組み合わせ、高応答かつ安定的な大電力給電を可能にした
施工性・更新性を考慮した実用的な道路・機器構造 既存舗装への適用を想定し、切削・埋設施工に対応した構造を採用。直流配電構造の採用により埋設部の配線がシンプルになるなど、構成部品点数と施工作業量を低減した

「世界で初めて一体化」という表現には、発表に注記が付いています。注記には、2026年9月末時点、走行中無線給電ユニットにおいて、Honda調べと書かれています。つまり、範囲は走行中無線給電ユニットに限られ、調べた主体は発表元自身です。当サイトは他社の製品を横断して確かめていないため、この点を当サイトが確認した事実としては示しません。発表がそう書いている、という形で記録します。

技術の特長として並んでいる3点は、性格がそれぞれ違います。1つめは壊れないこと、2つめは電力を安定して渡せること、3つめは工事として成り立つことです。道路に埋める設備は、性能が出るだけでは使えません。重い車が長期間通っても持ち、既存の舗装に後から埋め込めて、後の更新工事まで見通せる形になっているかどうかが同じ重みで問われます。発表が課題を3つに分けて検証したと書いているのは、この3つが揃わないと先へ進めないという構造を示しています。

今後の取り組みとして示された時点

発表には、ここから先の予定も時点つきで書かれています。

発表に書かれている走行中無線給電の取り組みの時点を左から順に並べた図。2021年に開発着手、2025年から3社で研究開発、2026年末よりT-FIELD/TAMURAに試験走行路を構築、2027年度以降に館山自動車道での実証実験に参画
発表に出てくる時点だけを順に並べました。 右の2つは予定として書かれているもので、開始日の記載はありません。 出典:本田技研工業のニュース(確認日 2026-10-05)

まず、2026年末より大成建設グループ次世代技術実証センター/田村「T-FIELD/TAMURA」に試験走行路を構築するとしています。そこでは、実車を用いた100万輪(49kN換算輪数)の載荷走行試験による長期耐久性の評価、走行中給電性能の実験、漏えい電磁界対策などを進め、GAユニットの給電性能と道路への埋設構造物としての安全性の両立を実現することを目指すと書かれています。

載荷走行試験は、実際の車輪が通る荷重を繰り返し与えて、どれだけ持つかを見る試験です。発表が示している100万輪(49kN換算輪数)は、その回数の条件にあたります。漏えい電磁界対策が並んで挙げられている点も、道路に埋める設備としての性格を表しています。電力を非接触で渡すしくみなので、周囲へ漏れる電磁界をどう抑えるかが、給電の性能と同じ並びで検討の対象になります。

その後については、大型商用車向けを視野に入れた最大150kWの高出力での性能検証や、高速走行時の信頼性検証など、実社会での運用を見据えた技術開発を推進していくとしています。あわせて、3社は2027年度以降に東日本高速道路株式会社が実施する、館山自動車道(千葉県)における走行中無線給電技術の実証実験「館山プロジェクト」に参画すると書かれています。この館山プロジェクトについては、館山自動車道本線での走行中無線給電の実証実験に向けた参画企業が決定したという注記が付いています。

公道での実証は、道路を持っている側の事業として行われます。発表の書き方も、実施するのは東日本高速道路で、3社はそこへ参画するという形です。実証の区間や期間、何台の車で行うのかといった中身は、この発表には含まれていません。

この発表に書かれていないこと

推測で補うと、確認していない情報が当サイトの記録として残ってしまいます。分からないものは分からないまま挙げます。

  • この技術に対応する車種と、その市販の時期
  • 給電の料金、課金のしくみ、費用を誰が負担するのか
  • 道路に設置する区間、その延長、設置の費用
  • 車両側のVAユニットの価格、重量、搭載できる条件
  • 館山プロジェクトでの実証の区間、期間、使用する車両
  • 一般の乗用車が走りながら給電を受けられるようになる時期

いずれも、続報や東日本高速道路など実施者側の一次情報が出た時点で確かめる項目です。発表に無い数値を、他の技術や海外の事例から持ち込むことはしません。

展示で見られる機会として書かれているもの

発表は、Hondaによる走行中無線給電技術の研究開発に関する取り組みを紹介する予定のイベントも挙げています。1つは「Japan Mobility Show Bizweek 2026」で、会期は10月13日(火)から10月16日(金)まで、会場は幕張メッセです。もう1つは「ITS World Congress 2026」で、会期は10月19日(月)から10月23日(金)まで、会場は韓国江陵市のGangneung Olympic Parkとされています。

ただし、どちらも「紹介する予定」と書かれているだけで、何を展示するのか、実車や実物の設備が並ぶのかは発表に記載がありません。会場で見られる内容を当サイトが確認したわけではないため、ここでは会期と会場までを記録します。展示会やイベントの出展発表はモーターショー・イベントに、Hondaの公式発表はホンダにまとめています。

いま車を選んでいる人にとっての位置づけ

この発表は、いま検討している車の価格や装備を変えるものではありません。走りながら給電を受けられる車種は示されておらず、時期も書かれていないため、購入の判断材料としては使えません。EVを候補に入れている場合、充電にかかる手間と費用は、現時点で選べる設備と料金で考えることになります。EVを持つとお金が何にいくらかかるのかはEVの維持費は何にいくらかかるかに、制度で決まる額と使い方で決まる額を分けて整理しています。

いっぽうで、この発表が示しているのは、EVの充電が車側の進化だけで決まる話ではないという構図です。道路を持つ事業者、舗装を施工する会社、電源を用意する会社が同じ発表に並び、公道での実証は高速道路会社の事業として行われます。車を選ぶときに見る情報とは別の層で、充電の前提そのものが動いている段階だということが、発表元の並びと予定の書き方から読み取れます。Hondaが他社と組んで基盤を共通化する動きは、日産とHonda、次世代SDVの中核ECUとソフトウェアを共同開発でも記録しています。電動化そのものの発表はEV・電動化、技術の発表は新技術・安全技術に並べています。

本田技研工業のニュース「EVへの走行中無線給電の実現に向け、大型商用車にも対応する基盤技術を開発」のページ冒頭
この記事が役割分担・技術の特長・予定の一次情報にしている発表ページの引用キャプチャです。 ページの冒頭だけを引用しています。掲載内容は変更されることがあります。最新の内容はリンク先の原文を確認してください。 確認日:2026-10-05。 出典:本田技研工業「EVへの走行中無線給電の実現に向け、大型商用車にも対応する基盤技術を開発」

出典と、この記事を更新する条件

この記事は、本田技研工業が2026年10月5日に公表したニュース「EVへの走行中無線給電の実現に向け、大型商用車にも対応する基盤技術を開発」を一次情報にしています。会社名、システムの名称、役割分担の文面、技術の特長、試験の条件、予定の時点は、いずれも発表の表記のまま転記しました。発表ページを確認した日は2026年10月5日です。

試験走行路の構築や公道実証の開始が公表された場合、対応する車種や車両側の展開が発表された場合、または館山プロジェクトについて実施者側から新しい一次情報が出た場合に、この記事を更新して編集日を改めます。発表資料そのものの読み方はプレスリリースの読み方にまとめています。