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動かない車は売れる?故障車の引き渡し先と戻るお金の手続き

自走できない車を手放すときは、中古車として売るのか、使用済自動車として引取業者へ引き渡すのかで手続きが分かれます。抹消登録の種類、自動車税と自動車重量税の還付、自賠責の解約、リサイクル預託金の扱いを公的機関の資料で確認しました。

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エンジンがかからない、事故で自走できない。そういう車を手放すときに最初に決めるのは、どこへ電話するかではありません。その車を中古車として次の人へ渡すのか、使用済自動車として引き渡すのか、という区分です。

この区分で、あとに続く登録手続きが変わり、戻ってくるお金の種類も変わります。使用済自動車として手放すなら、都道府県知事の登録を受けた引取業者へ渡し、解体が終わってから運輸支局で抹消登録の申請をします。中古車として売るなら、名義を次の所有者へ移す移転登録で終わり、抹消登録は行いません。動くか動かないかではなく、この先その車が使われるかどうかで分かれます。

この記事では、公的機関と公益財団法人の公表資料で確認できた範囲だけを扱います。買取金額がいくらになるか、どの事業者が高く買うかは、当サイトで確認できる一次情報がないため書きません。レッカーの費用や引き取りの可否も、事業者ごとに異なり公表値を確認できていないため扱いません。扱うのは、区分の分かれ方、使用済自動車として引き渡すときの順序、そして自動車税・自動車重量税・自賠責保険・リサイクル預託金という4つのお金の行き先です。

「中古車」と「使用済自動車」は、法律上まったく別の扱い

自動車リサイクル法(使用済自動車の再資源化等に関する法律)は、自動車の所有者の役割として「使用済になった自動車を引取業者に引き渡す」ことと「リサイクル料金を負担する」ことを挙げています。東京都環境局は廃車の手続きについて、使用済自動車として引き渡すときは、自動車リサイクル法の登録を受けた引取業者に引き渡す必要があると案内しています。

つまり、動かない車を誰でもよいから引き取ってもらう、という手放し方は制度上の前提になっていません。引取業者・フロン類回収業者・解体業者は知事の登録を受けた事業者、破砕業者は知事の許可を受けた事業者と決まっています。

一方で、自走できない車がすべて使用済自動車になるわけでもありません。修理すれば乗れる車、部品として価値のある車を中古車として買う事業者もあります。このとき車は使用済自動車にはならず、名義が次の所有者へ移るだけです。どちらの道を通るかで、次の5項目の扱いが変わります。

中古車として売る場合と使用済自動車として引き渡す場合で、引き渡す相手・登録の手続き・リサイクル預託金・自動車税・自動車重量税の扱いがどう変わるかを並べた比較表
左右で違うのは金額ではなく、そのあとに必要な手続きと、お金の戻り方です。自動車重量税の廃車還付は、解体を事由とする申請と同時にしか申請できません(確認日 2026-09-29)。

引き渡す前に決めておく理由は、あとから切り替えにくいからです。いったん引取業者へ使用済自動車として渡し、解体まで進むと、中古車として売り直すことはできません。逆に、名義だけ移して手元から車が消えた場合、自動車税の月割の減額は生じません。抹消登録をしていないためです。

使用済自動車として引き渡すときの順序

引き渡してすぐに手続きが終わるわけではありません。順序が決まっていて、途中に「待つ」段階が入ります。東京都環境局は、永久抹消及び解体届は、使用済自動車が解体された後に、リサイクル番号を添えて手続きすることになっていると説明しています。

引取業者への引き渡しから引取証明書の受領、解体、解体報告記録、永久抹消登録または解体届出、自動車重量税の還付までの6つの工程を順に並べた図
4番目の申請は、3番目の解体報告記録がなされたあとでなければ行えません。申請書には移動報告番号と解体報告記録日を書きます(確認日 2026-09-29)。

最初の段階で受け取っておく書類が1つあります。東京都環境局は「最終所有者は、引取業者から引取証明書を受け取ってください」と案内しています。車を引き渡してしまうと手元には何も残りませんから、この紙が渡した証拠になります。引き渡すときはリサイクル券を添えます。

解体が終わったかどうかは、自分でも確かめられます。東京都環境局は、解体完了は自動車リサイクルシステムで確認することができるとしています。引取業者から連絡が来ないまま日数が過ぎているときに、状況を自分の側から見に行けるという意味です。

抹消登録には3つの入口がある

運輸支局で行う手続きは、車の状態と、それまでに何をしていたかで名前が変わります。国土交通省の自動車検査登録総合ポータルサイトは、抹消登録を次のように分けています。

手続きの名前 どんなときに行うか 移動報告番号についての案内
一時抹消登録 自動車の使用を一時的に中止した場合 ページに案内はありません
永久抹消登録 リサイクル事業者に引き渡し、適正に解体処分した場合 解体報告記録がなされた日と、解体に係る移動報告番号を記載します
輸出抹消仮登録 自動車を輸出する場合 記載は不要とされています(輸出予定日を記入します)
解体届出(一時抹消登録後) 一時抹消登録をしている自動車が適正に解体処理されたとき 移動報告番号と解体報告記録日を記載します

車検証を持ったまま解体まで進めたなら永久抹消登録、先に一時抹消登録をして車庫に置いていた車を解体したなら解体届出、という分かれ方です。必要な書類も変わります。同ポータルサイトは共通の必要書類として、申請書、3か月以内の印鑑証明書、代理申請の場合の委任状、車検証、登録番号標(ナンバープレート)を挙げています。一時抹消登録後の解体届出では、車検証の代わりに登録識別情報等通知書を出すことになっていて、手数料納付書は無料と案内されています。

国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイトの「抹消登録」ページの上部。一時抹消登録・輸出抹消仮登録・永久抹消登録が並んでいる
上の表を取った国土交通省のページです。手続きごとに必要書類と記載事項が分かれて示されています。出典:国土交通省 自動車検査登録総合ポータルサイト「抹消登録」(確認日 2026-09-29)

ここで気をつけたいのは、手続きを業者に任せる場合です。申請に所有者の委任状と印鑑証明書が要るということは、所有者本人の書類を渡すということでもあります。渡したあと、実際に抹消登録まで終わったかどうかは自分で確かめる必要があります。名義が残ったままだと、次の年度の課税も自分に来ます。

戻るお金は4つ。それぞれ条件が違う

「廃車にするとお金が戻る」と一括りにされがちですが、実際には根拠になる制度が別々で、戻る条件も窓口も違います。1つずつ見ます。

自動車税は、抹消登録した月の翌月から

東京都主税局は、自動車税の納税義務者を「4月1日現在、自動車の所有者として自動車検査証(車検証)に登録されている方」としています。そのうえで、年度の途中に自動車を抹消登録(廃車)された場合は、抹消登録した月の翌月から月割で減額します、と案内しています。すでに納めている場合は、抹消登録した月まで課税され、その翌月以降の分が還付されます。

基準になるのは抹消登録をした日であって、業者へ車を渡した日ではありません。引き渡してから解体、解体報告記録、申請と段階が続くため、渡した月と抹消登録の月がずれることがあります。月をまたげば、その1か月分は戻りません。

なお、この税は名前が変わっています。東京都主税局は、令和8年4月1日より、自動車税種別割は自動車税へ名称が変更されましたと記載しています。名称の変更で、課税の仕組みや税率が変わったわけではありません。年額の決まり方は自動車税は年いくらで扱っています。

軽自動車には月割がない

軽自動車は扱いが違います。横浜市は軽自動車税について、毎年4月1日現在に軽自動車等を所有する方にかかる税としたうえで、自動車税と異なり、税額の月割りはありません、と明記しています。年度の途中で手放しても、その年度分は減りません。

同じ「車を廃車にする」でも、普通車と軽自動車で結果が変わるということです。4月1日をまたぐかどうかで翌年度の課税が決まる点は共通しますが、年度の途中で急ぐ理由は普通車のほうが大きくなります。

自動車重量税は、解体を事由とする申請と同時にだけ

自動車重量税には、使用済自動車に係る廃車還付制度があります。国税庁は要件として、車検残存期間が1か月以上あることと、解体を事由とする永久抹消登録申請書または解体届出書を運輸支局等に提出することを挙げています。

申請の仕方も決まっています。引取業者から解体完了の連絡を受けたあと、永久抹消登録申請書または解体届出書と一体となった様式の還付申請書に必要事項を記載し、運輸支局の窓口へ提出します。別の日に単独で申請する制度ではありません。国税庁は、還付申請書が運輸支局等の窓口に提出されてから、所轄税務署長により還付金が支払われるまでにおおむね2か月半程度かかるとしています。

リサイクル料金を構成する5つの費用のカード。シュレッダーダスト料金・エアバッグ類料金・フロン類料金は目安の範囲、情報管理料金130円と資金管理料金290円・410円は確定額
自動車リサイクル促進センターが示す内訳です。3物品の費用は車種や装備で変わる目安で、情報管理料金と資金管理料金は額が決まっています(確認日 2026-09-29)。

リサイクル預託金は、売るときだけ請求できる

リサイクル料金を預託する時期は、車がいつのものかで決まっています。東京都環境局は、平成17年1月1日以降の新車は購入時、それ以前の既販車は引取業者へ引き渡す時、平成17年1月1日から平成20年1月31日までに継続車検を受けた既販車はその検査時としています。自動車リサイクル促進センターは、この料金がシュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類の適正処理に要する費用と、リサイクルシステムの運営に要する費用(情報管理料金、資金管理料金)から構成されると説明しています。

金額のうち、額が固定されているものは2つです。情報管理料金は130円/台で、2012年4月1日に改定されています。資金管理料金は新車購入時の預託が290円/台、引取時の預託が410円/台で、2017年4月1日の改定です。残る3物品の費用は車種や装備によって変わり、同センターは目安としてシュレッダーダスト料金6,000円〜12,000円程度、エアバッグ類料金2,000円〜4,000円程度、フロン類料金2,000円〜4,000円程度を示しています。自分の車の実際の額は、同センターが案内している預託状況の照会と、各メーカー・輸入事業者が公表している料金額で確認できます。

このお金が手元に戻るかどうかは、道の選び方で決まります。中古車取引では預託金が次の所有者に引き継がれるため、東京都環境局は前所有者について、リサイクル預託金に相当する金額を請求することができます(ただし、資金管理料金部分は請求できません)と説明しています。逆に使用済自動車として解体まで進めば、預託金はその処理の費用に充てられ、手元には戻りません。

自賠責保険は、解約の手続きをした日から

自賠責保険は、手放しただけでは止まりません。国土交通省は、契約されている損害保険会社(共済組合)の窓口(代理店ではできません)にて解約の手続きが可能だとしたうえで、保険(共済)契約については廃車した時点ではなく、損害保険会社(共済組合)にて手続きをして頂いた時点で初めて解約されると説明しています。

返戻金についても条件があります。同省は、保険料には損害保険会社(共済組合)の手数料が含まれており、返戻金額は手数料や保険期間を勘案した額になるとしています。そして、保険期間の残りが1か月未満の場合、解約返戻保険料はありませんと明記しています。残り期間が短い車では、手続きに行っても戻らないことがあるということです。強制保険と任意保険の役割の違いは自賠責保険と任意保険の違いで扱っています。

引き渡す前に確認しておく項目

動かない車は、積載車が来た時点で手元から消えます。積み込んだあとに確認しようとしても、車検証もナンバーも一緒に運ばれています。渡す前に見ておく項目を並べます。

確認する項目 どこで確認できるか
車を中古車として扱うのか、使用済自動車として扱うのか 引き取りに来る事業者に、どちらで引き取るかを確認する
使用済自動車なら、その事業者が登録を受けた引取業者か 登録先である都道府県の自動車リサイクル担当部署に確認する
引取証明書を受け取る段取り 引き渡し当日に受け取れるかを事前に確認する
抹消登録を誰が申請するか 委任する場合は、委任状と印鑑証明書を渡す相手と申請の時期
抹消登録が終わったかどうか 登録事項等証明書、または運輸支局での確認
車検の残り期間 車検証の有効期間の満了する日(重量税還付は残存1か月以上が要件)
自賠責証明書の原本 車内に置いたままにせず、解約手続きのために手元へ戻す
車内の私物と、ETCカード・駐車場の契約 引き渡し前に自分で確認する

このうち、自分で動かないと進まないのは自賠責保険の解約です。抹消登録が終わっても保険は自動では切れません。窓口で手続きをした時点からの扱いになるため、抹消登録の完了が分かった段階で動くことになります。

売却先の選び方そのものを比べる段階なら、車を売るならどこがいいで売り先の種類を整理しています。複数の事業者へ同時に情報が渡る申し込み方の仕組みは車の一括査定の仕組みで扱っています。

よくある質問

自走できない車でも中古車として売れますか

車の状態と、買う側がその車を使うかどうかによります。修理して使う、部品として使うという前提であれば、使用済自動車ではなく中古車として名義が移ります。当サイトは、どの事業者がどの状態の車を買うかを示せる公表値を確認できていないため、売れる・売れないの基準は書きません。引き取りに来る事業者に、どちらの扱いで引き取るのかを確認してください。

業者に引き渡したら、その日から自動車税は止まりますか

止まりません。東京都主税局は、抹消登録した月の翌月から月割で減額すると案内しています。基準は抹消登録の日です。引き渡してから解体、解体報告記録、申請と段階が続くため、渡した月と抹消登録の月がずれることがあります。

軽自動車でも税金は戻りますか

横浜市は軽自動車税について、自動車税と異なり、税額の月割りはありませんと記載しています。年度の途中で手放しても、その年度分の税額は減りません。

自動車重量税はどうすれば戻りますか

国税庁は、解体を事由とする永久抹消登録申請書または解体届出書を運輸支局等に提出すること、車検残存期間が1か月以上あることを要件として挙げています。申請書は永久抹消登録申請書または解体届出書と一体となった様式で、同時に提出します。支払までにはおおむね2か月半程度かかるとされています。

リサイクル料金は廃車のときに戻ってきますか

使用済自動車として解体まで進む場合、預託しているリサイクル料金はその処理の費用に充てられます。戻るのは中古車として売ったときで、東京都環境局は前所有者がリサイクル預託金に相当する金額を請求できるとしたうえで、資金管理料金部分は請求できないとしています。

自賠責保険は廃車手続きをすれば自動で解約されますか

されません。国土交通省は、廃車した時点ではなく、損害保険会社(共済組合)にて手続きをした時点で初めて解約されると説明しています。窓口は契約している損害保険会社で、代理店ではできないとされています。保険期間の残りが1か月未満の場合、解約返戻保険料はありません。

まとめ

  • 自走できない車の手放し方は、中古車として売る道と、使用済自動車として引き渡す道に分かれる
  • 使用済自動車は、自動車リサイクル法の登録を受けた引取業者へ引き渡す。引取証明書を受け取る
  • 永久抹消登録と解体届出は、解体されたあとに、移動報告番号と解体報告記録日を書いて申請する
  • 自動車税は、抹消登録した月の翌月から月割で減額される。基準は引き渡した日ではなく抹消登録の日
  • 軽自動車税には月割りがなく、年度の途中で手放しても税額は減らない
  • 自動車重量税の廃車還付は、車検残存期間が1か月以上あり、解体を事由とする申請と同時に出した場合に限られる
  • リサイクル預託金は、中古車として売るときだけ相当額を請求できる(資金管理料金部分を除く)
  • 自賠責保険は、損害保険会社の窓口で手続きをした時点で解約になる。残り1か月未満なら返戻はない

掲載している数値と引用は上記の一次情報の表記にもとづくもので、確認日は2026年9月29日です。

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