法人カーリース

法人カーリースの会計と税務|社用車のリース料は全額損金になるか

社用車をカーリースで導入したときの経理処理を、国税庁のタックスアンサーと企業会計基準委員会の資料で確認しました。税務上は原則として売買があったものとされること、賃貸借処理でも損金になる仕組み、2027年4月から適用される新しいリース会計基準の時期までを整理します。

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社用車をカーリースで入れることになり、経理でどの科目にどう乗せるのかを確かめに来た方へ書いています。

先に結論を書きます。「法人カーリース」という区分は、会計基準にも税法にもありません。法人が借りたかどうかで扱いが決まるのではなく、その契約が途中でやめられるか、車にかかる費用と利益を実質的に誰が負っているかで区分され、そこから帳簿の処理も税務の扱いも決まります。国税庁は、一定の要件に当てはまるリース取引について「その取引の目的となる資産のリース譲渡の時にそのリース資産の売買があったものとされます」としています。毎月リース料を払っているだけに見えても、法人税法の側では買ったものとして扱われている場合があります

とはいえ、リース料を費用として計上する処理が否定されるわけではありません。公益社団法人リース事業協会は、中小企業がリースについて賃貸借処理した場合について、税務上は売買があったものとして取り扱われ、賃借人がリース料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされる、と説明しています。帳簿の見た目と税法の見立てが違っていても、両者はつながるように作られています

この記事では、会計の側にある区分、税務上の判定の順番、所有権が移るかどうかで変わる償却方法、賃貸借処理をしたときの扱い、消費税を引く時期、そして2027年4月から始まる新しいリース会計基準までを順に確認します。金額の目安は書きません。リース料は契約ごとに決まるもので、公表された標準額が存在しないためです。借りるという契約そのものの性質はカーリースとはに分けて書きました。

会計の側にある区分は3つで、「法人向け」という区分ではない

まず、リース会社の商品名ではなく、会計の側がどう分けているかを見ます。公益社団法人リース事業協会は、リースを次のように整理しています。

区分 同協会の説明
ファイナンス・リース 中途解約不能でフルペイアウトのリースをいう。解約不能とはリース期間の中途で契約を解除できないこと、フルペイアウトとはユーザーがリース期間中にリース会社がリース契約に要した資金のほぼ全額をリース料として支払うこと
オペレーティング・リース ファイナンス・リース以外のリースをいう
メインテナンス・リース リース会社がリース物件の保守、管理、修繕などを行うリースをいい、会計上はファイナンス・リースとオペレーティング・リースのいずれかに分類される

この表で押さえたいのは3行目です。保守や車検の手配が付いているかどうかは、会計上の区分を決める要素になっていません。整備込みのプランを選んだから賃貸借だ、という読み方はできないということです。整備が付いていても、中途解約できずほぼ全額を払い切る契約なら、上の1行目に当たります。

ファイナンス・リースかどうかの判定について、同協会はリース会計基準の判定として、リース料総額の現在価値がリース物件購入金額の90%以上であるか、解約不能リース期間がリース物件の経済的耐用年数の75%以上であるかを挙げています。数字が出てきますが、これは会計基準の側の物差しで、次に見る法人税法の物差しとは別のものです。両者は近い場所を測っていますが、条文が違うため、同じ言葉で語ると判定を間違えます。

税務は、契約の名前ではなく2つの要件で判定する

法人税法上の「リース取引」は、資産の賃貸借のうち、次の2つの要件に当てはまるものだと国税庁が説明しています。ひとつ目は、リース期間中の中途解約が禁止されているものであること、または賃借人が中途解約する場合には未経過期間に対応するリース料の額の合計額のおおむね全部(原則として90パーセント以上)を支払うこととされているものなどであること。ふたつ目は、賃借人がリース資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、リース資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることです。

社用車のリース契約が法人税法上のリース取引に当たるかを判定する分岐図。中途解約に関する要件と、経済的な利益と費用の負担に関する要件の2つを両方満たすとリース資産の売買があったものとされ、そこからさらに所有権移転リース取引と所有権移転外リース取引に分かれて償却方法が変わることを示している
判定は上から下へ2段階です。まず売買として扱うかどうかが決まり、そのあとに償却方法が分かれます。出典:国税庁タックスアンサー No.5702・No.5704(令和7年4月1日現在法令等)。確認日2026-09-10。

この2つを満たすと、リース譲渡の時にリース資産の売買があったものとされます。売買として扱うかどうかを決めているのは、契約書に「リース」と書いてあるかどうかではありません。途中でやめられない設計になっていて、その車から得るものと、その車にかかるものを借り手が引き受けている。この2点が満たされているかどうかです。

社用車の契約で言えば、中途解約の条項と、車検・整備・保険・税金を誰が負担すると書かれているかが、そのまま判定材料になります。見積書の月額だけを見ても分かりません。買って持つ場合の総支払額と比べたいときは自動車ローンの金利と総支払額に計算の考え方をまとめてあります。

国税庁タックスアンサー No.5702「リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)」のページ
この記事の判定部分の出典ページです。法人税法上のリース取引の2つの要件、リース譲渡の時に売買があったものとされること、賃貸人と賃借人それぞれの処理を、このページで確認しました。 確認日:2026-09-10。 出典:国税庁 タックスアンサー No.5702「リース取引についての取扱いの概要(平成20年4月1日以後契約分)」(令和7年4月1日現在法令等)

所有権が移るかどうかで、償却の方法が変わる

売買があったものとされた場合、賃借人はそのリース資産を自己の資産として償却します。このとき、所有権移転リース取引なら資産の種類に応じてその法人が選定している償却方法で、所有権移転外リース取引なら償却方法はリース期間定額法とされます。

社用車の契約で実務上よく問題になるのは、どちらに当たるかです。国税庁は、所有権移転外リース取引を「次のいずれにも該当しないリース取引」として定義しています。裏返すと、次のどれかに当たれば所有権移転外ではなくなる、という読み方になります。

該当すると所有権移転外ではなくなるもの 国税庁の記載
譲渡 リース期間の終了時または中途において、リース資産が無償または名目的な対価でそのリース取引に係る賃借人に譲渡されるもの
再リース リース期間の終了後、無償と変わらない名目的な再リース料によって再リースをすることがリース契約において定められているもの
買取権 リース期間の終了時または中途においてリース資産を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているもの
資産の特殊性 賃借人によってのみ使用されると見込まれるもの、または識別が困難であると認められるもの
資金の構造 賃貸人に対してリース資産の取得資金の全部または一部を貸し付けている金融機関等が、賃借人から資金を受け入れ、その資金をしてその賃借人のリース料等の債務のうちその賃貸人の借入金の元利に対応する部分の引受けをする構造になっているもの
期間の短さ リース期間がリース資産の法定耐用年数の70パーセント(法定耐用年数が10年以上のリース資産については60パーセント)に相当する年数を下回る期間であるもの

社用車で読むときに効くのは、上から3つ目までです。契約満了時に車をもらえる、名目的な再リース料で乗り続けられる、著しく有利な価額で買い取れる。営業の説明にこうした話が出ていたなら、その契約は所有権移転外に当たらない可能性があり、償却方法が変わります。口頭の説明ではなく、契約書の条項として書かれているかを確かめる必要があります。

もうひとつ、所有権移転外リース取引には制度上の制約があります。国税庁は、圧縮記帳、特別償却、少額減価償却資産の損金算入、一括償却資産の損金算入が適用されないとしています。金額が小さいから少額資産として一度に落とす、という処理は選べません。設備投資の優遇制度を前提に導入を検討している場合は、ここで前提が崩れます。

賃貸借処理をしていても、税務は売買として扱う

ここまでを読むと、リース料を賃借料として費用に計上している処理が否定されるように見えます。実際にはそうではありません。

公益社団法人リース事業協会は、中小会計指針について、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る借手は通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うが、ただし通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができる、と説明しています。中小会計要領については、リース取引に係る借手は賃貸借取引または売買取引に係る方法に準じて会計処理を行う、としています。

同じリース契約を帳簿の側と法人税法の側から見た比較表。処理の呼び名、支払ったリース料の扱い、選ぶ余地があるかの3つの軸で、賃貸借処理と税務上の取扱いを左右に並べている
同じ1件の契約を、帳簿と税法のどちらから見るかの違いです。帳簿でリース料を費用にしていても、税法の側は売買として見ています。出典:公益社団法人リース事業協会「中小企業のリース会計税制」、国税庁タックスアンサー No.5702・No.5704。確認日2026-09-10。

そのうえで税務の扱いについて、同協会は、中小企業がリースについて賃貸借処理した場合、税務上は売買があったものとして取り扱われ、賃借人がリース料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理をした金額に含まれるものとされる、と説明しています。費用として計上したリース料が、償却費として計上したものとみなされる仕組みです。だから帳簿で賃貸借処理を選んでも、税法の売買という見立てと衝突しません。

ここから、社用車のリース料を「全額損金にできるか」という問いへの答え方が決まります。損金になるかどうかではなく、いくらまでが償却費として認められるかという問いに置き換わります。所有権移転外リース取引なら償却方法はリース期間定額法とされているため、その方法で計算される金額が基準になります。契約期間と支払い方が素直な契約ほど、両者は近づきます。逆に、初回だけ大きく払う、途中で金額が変わるといった設計になっているときは、そこにずれが生まれます。

消費税は、リース料を払うたびではなく引渡しを受けた時期に

もうひとつ、社用車のリースで見落とされやすいのが消費税です。国税庁は、所得税法または法人税法の規定により売買があったものとされるリース取引について、原則として、賃貸人が賃借人にその取引の目的となる資産の引渡しを行った日に資産の譲渡があったことになる、としています。そして課税仕入れについては、そのリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間において仕入税額控除の規定の適用を受けることになる、としています。

毎月のリース料に含まれる消費税を、支払うたびに引いていく形にはならないということです。車が納車された課税期間に、リース料総額に対応する分をまとめて扱う形になります。導入した期の納税額が想定と変わるため、期をまたぐ導入では確認しておく項目です。

同じページには、令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例が令和7年4月1日から廃止された旨と、経過措置が設けられている旨の注記もあります。この記事では、その経過措置が具体的にどの契約へどう適用されるかまでは確認していません。該当しそうな契約があるときは、原文と顧問税理士に当たってください。

2027年4月から、借手はすべてのリースを資産と負債に計上する

会計基準の側は、これから大きく動きます。企業会計基準委員会の企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」は、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する、ただし2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から本会計基準を適用することができる、としています。

企業会計基準第34号リースに関する会計基準の適用時期を示した時間軸の図。2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することができ、2027年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する。あわせて借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する使用権モデルと、この基準を適用しないことができる中小企業の範囲を示している
2つの日付は役割が違います。2025年は早く始めたい会社のための時期、2027年が適用する時期です。出典:企業会計基準委員会「企業会計基準第34号 リースに関する会計基準」、公益社団法人リース事業協会「中小企業のリース会計税制」。確認日2026-09-10。

この基準では、借手のすべてのリースについて資産及び負債を計上する使用権モデルが採用され、使用権資産に係る減価償却費及びリース負債に係る利息相当額を別個に認識する単一の会計処理モデルが採られています。これまで賃貸借として費用だけを計上していた契約も、貸借対照表に出てくることになります。社用車を何台も借りている会社ほど、影響する金額が大きくなります。

ただし、すべての会社が対象になるわけではありません。公益社団法人リース事業協会は、中小企業(金融商品取引法の適用対象会社または会社法上の会計監査人設置会社を除く会社)は、会計基準を適用しないで、「中小企業の会計に関する指針」または「中小企業の会計に関する基本要領」を適用することができる、と説明しています。自社がどちらに当たるかは、業種や規模の感覚ではなく、この括弧の中の条件で判定します

そして、この会計基準が変わっても、前の節までに見た法人税法の取扱いがそれに合わせて変わると書かれた資料は、この記事の確認範囲では見つかりませんでした。会計と税務は別々に判定するもので、片方の変更をもう片方へ持ち込まないでください

この記事で確認できなかったこと

法人カーリースを調べていると出てくる項目のうち、公的機関と業界団体の資料では確認できなかったものを、隠さずに並べておきます。

項目 この記事での扱い
法人契約の審査基準・必要書類 各リース会社が定めるもので、公表されたひな形を確認できませんでした
社用車1台あたりの月額の目安 契約ごとに決まるため、標準額を確認できませんでした
走行距離の上限と超過時の扱い 契約ごとに決まるため、一般的な水準を確認できませんでした
個人事業主が契約した場合の扱い 法人税法ではなく所得税法の側になるため、この記事では確認していません
消費税の経過措置の具体的な適用範囲 注記の存在は確認しましたが、内容までは確認していません

空欄で残しているのは、書けないからです。ここを推測で埋めると、読んだ人が自社の契約に当てはめる段階で判断を誤ります。法人向けの商品条件は各社の資料で確かめてください。なお、リース車の自動車税種別割は所有者であるリース会社が納める形になります。年額そのものの調べ方は自動車税は年いくらかに分けて書きました。

契約書のどこを見るか

最後に、経理の側から見る順番に並べ直します。見積書の月額ではなく、契約書の条項を見る順です。

  1. 中途解約の条項を読む。禁止されているか、解約時に未経過分のほぼ全額を払う定めか。ここが税務上の判定の入口です
  2. 車検・整備・保険・税金を誰が負担すると書かれているかを読む。費用と利益をどちらが負っているかの材料になります
  3. 満了時の条項を読む。譲渡、名目的な再リース料での再リース、著しく有利な価額での買取権のどれかがあれば、所有権移転外ではなくなる可能性があります
  4. 契約期間と、その車種の法定耐用年数を突き合わせる。期間が短すぎる契約は、上の表の最後の行に当たることがあります
  5. 自社が会計基準の適用対象かを確認する。金融商品取引法の適用対象会社か、会社法上の会計監査人設置会社かで分かれます
  6. 導入する期の消費税を確認する。引渡しを受けた課税期間に扱う点が、月々の支払いと感覚が違います

1から6のどれかについて契約書に記載が見つからないときは、営業担当ではなく契約書の条項番号で確認してください。説明された内容が契約書のどこにも対応していない場合、それは契約の内容ではありません

社用車をリースにするか買うかは、月額の大小ではなく、この6項目の答えが自社の運用と合うかで決まります。決算に出る形、損金にできる金額、消費税を引く時期。この3つが読めていれば、月額が同じ2つの見積書でも、どちらが自社に合うかを説明できます。