中古車の選び方

中古車の保証の見方|表示で確定する範囲と、保証なしの車に残る責任

中古車の「保証付き」は、保証費用が車両価格に含まれるという表示です。保証内容と保証期間又は保証走行距離数の読み方、新車保証が残る条件、現状販売でも店に対応を求められる場合を、公表資料から整理します。

中古車の保証の見方|表示で確定する範囲と、保証なしの車に残る責任 - チビカのニュースカード

中古車に保証が付くかどうかは、店頭の表示を見れば分かります。ただし分かるのは「付いているか」までです。何がいつまで、どの範囲で直してもらえるのかは、その先に表示される別の項目で決まります。保証という言葉の中身は、このふたつ目の段で確定します。

先に、誤解しやすい点をひとつ片づけます。「保証付き」と「保証なし」は、車の状態の良し悪しを表す言葉ではありません。自動車公正取引協議会(以下、公取協)が公表している必要表示事項に関するルールでは、保証に要する費用が「車両価格」に含まれる場合は「保証付き」、それ以外の場合は「保証なし」と表示するとされています。費用がどちらに入っているかという内訳の表示です。状態が良い車だから保証が付く、という仕組みではありません。

もうひとつ、知っておくと判断が変わる点があります。「保証なし」で買った車でも、店に対応を求められる場合があります。公取協の相談事例のページには、キズや塗装などの外装について、その状態が事前に知らされていた内容と大きく異なる場合には、現状販売(保証無し・定期点検整備無し)で購入していても、お店に修理等の対応を要求できますと書かれています。保証の有無と、聞いていた話と違ったときの筋道は、別のものとして置かれています。

この記事では、店頭の表示から保証の範囲を確定させるまでの手順、年式の新しい中古車で効いてくる新車保証の残り、そして保証と混ざりやすい整備の表示を、順に分けて整理します。修理費用の目安は扱いません。車種・箇所・程度で変わるもので、公表された一覧を確認できませんでした。

契約の前後に手元へ来る書面の全体像は中古車購入の注意点にあります。この記事は、そのうち保証の欄だけを深く見る側です。

「保証付き」「保証なし」は、費用がどちらに入っているかの表示

公取協の必要表示事項に関するルールは、中古車の店頭展示車に表示する項目を定めています。保証に関係するのは3つで、それぞれ表示される条件が違います。

表示項目 ルールに書かれている内容
保証の有無 保証に要する費用が「車両価格」に含まれる場合は「保証付き」、それ以外の場合は「保証なし」と表示
保証内容 「保証付き」の場合に表示
保証期間又は保証走行距離数 「保証付き」の場合に表示

この並び方には意味があります。「保証の有無」はすべての展示車に表示され、残りの2つは「保証付き」のときだけ表示されます。つまり、保証内容の説明が見つからない車は、見落としているのではなく「保証なし」である可能性があります。

中古車の店頭表示が「保証付き」と「保証なし」に分かれる条件、あわせて表示される項目、納車後に自分へ残ることを3段で対応させた分岐図
上段が表示の区分、以下3段がそれぞれ「この表示になる条件」「あわせて表示されること」「納車後に自分へ残ること」です。出典:自動車公正取引協議会「必要表示事項に関するルール」/同「中古車購入時こんなときどうする?」(確認日 2026-10-07)

見落としやすいのは、「保証なし」という表示が不備ではなく、無いことの表示だという点です。表示が欠けている状態と、「なし」と書かれている状態は違います。前者は質問して確かめる対象で、後者はすでに答えが出ています。

実際の表示ルールは、公取協のサイトで項目ごとに公開されています。

自動車公正取引協議会「必要表示事項に関するルール」のページ。中古車の店頭展示車に表示する項目が一覧で示されている
中古車の店頭展示車に表示する項目を定めたページです。保証の有無、保証内容、保証期間又は保証走行距離数の扱いもここに書かれています。出典:自動車公正取引協議会「必要表示事項に関するルール」(確認日 2026-10-07)

「又は」でつながっているので、先に来たほうで切れる

表示項目の名前をもう一度見てください。「保証期間又は保証走行距離数」です。期間と距離は、どちらかを満たせば続くものではなく、どちらかが先に来た時点で終わる形で並んでいます。この読み方を外すと、保証の長さを実際より長く見積もることになります。

どちらが先に来るかは、車ではなく乗る人の側で決まります。仮に保証期間が1年、保証走行距離数が1万kmと表示されている車を考えます。年に5,000kmしか走らない人なら、距離に届く前に1年が過ぎます。年に1万5,000km走る人なら、1年経つ前に距離の側へ届きます。同じ表示でも、保証が切れる時点は人によって変わります。

ここで挙げた数字は、仕組みを理解するための仮定です。実際に表示される期間と距離は車ごとに違い、相場や標準的な値といえるものを公表資料で確認できませんでした。確認できるのは、自分が検討している1台の表示だけです。自分の年間走行距離が分からない場合は、いま乗っている車の記録簿に残る点検時の総走行距離を見比べると見当が付きます。年式と走行距離そのものの読み方は中古車の年式と走行距離の見方で扱っています。

期間が残っていても、範囲の外は対象にならない

期間と距離を押さえたあとに残るのが、範囲です。公取協の相談事例のページは、故障箇所を保証で直せるかどうかは保証内容に基づいて判断されるため、保証書に記載された保証の期間や範囲を確認してほしいとしています。期間が残っていることと、その故障が対象であることは別の条件です。

同じページは、保証付きの中古車を買う場合には、必ず保証内容が明記された保証書を発行してもらうようにしましょう、とも書いています。口頭で「保証が付いています」と言われた状態は、まだ範囲が決まっていません。範囲を決めるのは、保証内容が書かれた保証書のほうです。

保証書を受け取るのは納車のときです。したがって、契約の前に見られるのは店頭の表示と、そこで示される保証内容の説明までになります。この順番のずれが、保証をめぐる確認を難しくしています。だからこそ、表示の段で「期間」「距離」「範囲」の3つを質問の形にしておくほうが確実です。

年式の新しい中古車では、新車保証が残っていることがある

販売店が付ける保証とは別に、メーカーが新車に付けている保証があります。年式の新しい中古車では、こちらの期間が残っていることがあります。トヨタ自動車は、新車保証を2つに分けて公表しています。

トヨタの新車保証の数値カード。一般保証は3年または6万km、特別保証は5年または10万kmで、いずれも早い方まで。共通の条件として点検・整備の実施と正しい使用が示されている
左が一般保証、右が特別保証の公表値です。どちらも期間と走行距離の「いずれか早い方まで」という形で示されています。出典:トヨタ自動車「トヨタ アフターサービス 一般保証」/同「特別保証」(確認日 2026-10-07)

公表されている条件を表にすると、次のようになります。

区分 期間 走行距離 公表されている主な対象
一般保証 新車登録日から3年間 6万km走行時点 電装部品を含め、ほとんどの部品が保証対象。消耗部品やオイル、特別保証部品は対象外
特別保証 新車登録日から5年間 10万km走行時点 エンジン機構、動力伝達機構、ステアリング機構、ブレーキ機構、乗員保護装置などの指定部品

どちらも「いずれか早い方まで」です。ここでも先に来たほうで終わるという読み方は同じです。

この表に載せたのは、公式ページで条件を確認できた1社ぶんだけです。他のメーカーの新車保証の期間と走行距離は、今回は確認していないため載せていません。確認できていない値を、同じ水準だろうと推測して並べることはしません。中古車を検討するときは、その車のメーカーが公表している保証のページで、自分で条件を確かめることになります。

もうひとつ重要な条件があります。トヨタの特別保証のページには、保証の条件として、メンテナンスノートに記載された点検・整備を実施していること、取扱説明書に従って正しく使用していることが挙げられています。保証は、整備を受けてきたことを前提に置いています。中古車では、前の使用者がその前提を満たしてきたかどうかを、自分で確かめる必要があります。手がかりになるのは点検整備記録簿です。

なお、中古車を買ったときに新車保証をどう引き継ぐのか、その手続きの要否と費用については、今回参照した公式ページで記載を確認できませんでした。残り期間があることと、自分がその保証を使えることは、別に確認する項目です。検討している車の販売店と、そのメーカーの販売店に確かめてください。

保証の欄と、整備の欄は別に読む

保証の話をしていると整備の話が混ざってきます。店頭の表示では、この2つは別の項目として並んでいます。

表示項目 公表されているルールの内容
定期点検整備の有無 納車時までに定期点検整備を実施して販売する場合は「定期点検整備付き」、実施しない場合は「定期点検整備なし」と表示
点検整備記録簿の有無 「有」の場合、定期点検整備の内容を付記
要整備箇所 定期点検整備なしで、要整備箇所のある車両の場合に表示(品質表示に関するルール)

「定期点検整備なし」と「保証なし」は、別々に表示される別々の事実です。片方だけを見て両方を判断できません。前に引いた現状販売という言葉は、公取協の相談事例では「保証無し・定期点検整備無し」と説明されています。2つが重なった状態を指す言葉です。

要整備箇所の表示は、この中でもとくに費用に直結します。定期点検整備なしで要整備箇所のある車両の場合に表示されるもので、納車後に自分が整備費用を負う可能性のある箇所が書かれています。保証の範囲とは別の欄に出ます。

整備と車検の関係についても、ひとつ押さえておきます。国土交通省は、自動車の検査(車検)と点検整備はよく混同されるが、それぞれ違うものだとしています。そのうえで、検査に合格したことをもって点検・整備を省略できるものではないと書いています。車検が残っている中古車であっても、点検整備が済んでいることにはなりません。点検の区分そのものは日常点検と定期点検の違い、次の車検で出る費用の内訳は車検費用の内訳で扱っています。

店頭で確かめる順番

ここまでの内容を、見る順番に並べ直します。表示を読む順と、質問する順をそろえておくと、聞き漏らしが減ります。

中古車の保証を店頭で確かめる5つの工程。保証の欄を読む、保証内容と期限を読む、期間と距離のどちらが先に来るかを考える、保証書の発行を確かめる、整備の欄を別に読む
1から4が保証の欄で確定させることで、5は保証とは別の欄として読む項目です。出典:自動車公正取引協議会「必要表示事項に関するルール」/同「品質表示に関するルール」/同「中古車購入時こんなときどうする?」(確認日 2026-10-07)

4つ目の保証書については、交付された書面の扱いも決まっています。品質表示に関するルールには、購入者に交付した書面の写しを、作成の日から2年間保存することとあります。手元の控えを失くしても、店の側に写しが残る前提で組まれています。

この記事で確認できなかったこと

書けなかった項目を、そのまま残しておきます。

  • 中古車の修理費用の目安。車種・箇所・程度で変わり、公表された一覧を確認できませんでした
  • 販売店が付ける保証の一般的な期間と走行距離。車ごとの表示で確かめる項目で、標準的な値といえるものを公表資料で確認できませんでした
  • 新車保証の残り期間を中古車で引き継ぐための手続きと費用。今回参照した公式ページに記載を確認できませんでした
  • トヨタ以外のメーカーの新車保証の条件。今回は確認していません

価格が動きやすい条件のほうから中古車を絞り込みたい場合は、狙い目の中古車の見分け方が別の切り口になります。

よくある質問

「保証なし」の中古車は、状態が悪いということですか

いいえ。公取協のルールでは、保証に要する費用が「車両価格」に含まれるかどうかで「保証付き」「保証なし」を表示することになっています。費用の内訳の表示であって、車の状態の評価ではありません。状態については、走行距離や修復歴、定期点検整備の有無、要整備箇所といった別の項目が表示されます。

保証期間が残っていれば、どんな故障でも直してもらえますか

いいえ。公取協の相談事例のページは、故障箇所を保証で直せるかどうかは保証内容に基づいて判断されるため、保証書に記載された保証の期間や範囲を確認するよう案内しています。期間の内側であっても、保証内容に書かれた範囲の外なら対象になりません。期間と範囲は別の条件です。

現状販売で買った車は、何かあっても自分で直すしかないのですか

公取協の相談事例のページには、キズや塗装などの外装について、その状態が事前に知らされていた内容と大きく異なる場合には、現状販売(保証無し・定期点検整備無し)で購入していても、お店に修理等の対応を要求できると書かれています。保証が付いていないことと、説明と違う車が引き渡されたことは別の問題として扱われます。