転勤の内示が出た、家族が増えて車が足りなくなった、逆に乗らなくなった。契約したあとで事情が変わり、カーリースを途中でやめられるのかを確かめに来た方へ書いています。
先に答えを書きます。カーリースは原則として中途解約ができず、解約できる場合でも解約料等が生じます。これは国民生活センターが2025年9月17日に公表した資料で、カーリースの特徴として挙げている点です。同じ資料には、契約期間内に解約を申し出たら突然解約料を請求された、という相談事例も載っています。
ここで大事なのは、「できない」の中身が事業者によって違うことです。契約後の解約を一切受け付けないと書くサービスもあれば、所定の年数を過ぎれば原則解約金なしで終われると書くサービスも、家族構成の変更などに限って解約金なしで受けると書くサービスもあります。自分の契約がどれなのかは、案内の言葉ではなく契約書の条項でしか決まりません。
この記事では、なぜ原則として解約できない形になっているのかという理屈を先に押さえ、そのうえで契約書のどこを読むか、請求されうる費目は何か、金額に法律上の歯止めがあるか、折り合わないときにどこへ相談するかの順で確かめます。解約金の相場は書きません。各社とも金額そのものを公表しておらず、公表されていない数字を目安として書くことができないためです。
「原則できない」は、リース会社の回収の仕組みから出ている
解約できない理由は、意地悪な条項が置かれているからではありません。お金の流れがそうなっているからです。
公益社団法人リース事業協会は、ファイナンス・リースについて、リース物件の代金はリース開始時にリース会社からサプライヤーへ全額支払われ、リース会社はリース期間中に物件代金と取引に要した諸費用のおおむね全部をユーザーが支払うリース料で回収することを予定している、と説明しています。そのうえで、このため基本的にリース期間中の解約は禁止され、中途解約をする場合には残期間のリース料またはそれに相当する違約金を一括で支払うよう契約で定められている、と続けています。
同協会は、ファイナンス・リースを「中途解約不能でフルペイアウトのリース」と定義し、解約不能を「リース期間の中途で契約を解除できない」こと、フルペイアウトを、ユーザーがリース期間中にリース会社がリース契約に要した資金のほぼ全額をリース料として支払うことと説明しています。ファイナンス・リース以外のリースはオペレーティング・リースと呼ばれます。
個人向けのカーリースは、契約満了時に想定される車の残存価値をあらかじめ差し引いて月額を組む形が広く使われており、ファイナンス・リースの定義にそのまま当てはまるとは限りません。それでも解約を渋る構造は共通です。リース会社は残りの期間ぶんのリース料を受け取ることを前提に車を用意しているので、期間を縮められると前提が崩れます。仕組みそのものはカーリースとはにまとめてあります。
事業者によって、「できない」の中身が分かれている
ここからは実際の商品を見ます。公式ページで中途解約についての記載を確認できたのは次の4サービスです。オリックスカーリースは新車プランと中古車プランで扱いが分かれているため、2行に分けています。
| サービス | 公式ページに書かれている中途解約の扱い | 出典(確認日2026-09-15) |
|---|---|---|
| おトクにマイカー 定額カルモくん | 「契約後の解約はできません。そのため、今後のカーライフに合わせてリース期間をご検討の上、お申込みください」。解約金についての記載は確認できませんでした | よくあるご質問 |
| オリックスカーリース(新車プラン) | 「いまのりくん」は2年経過後、「いまのりセブン」は5年経過後、「いまのりナイン」は7年経過後、「いまのりイレブン」は9年経過後から「原則解約金無しで契約を終了することができます」。その年数より前は「弊社所定の中途解約金が必要となります」 | マイカーリース よくあるご質問 |
| オリックスカーリース(中古車プラン) | 「リース期間中は、中途解約できません」。ただし「やむを得ない事情で契約期間中に車両が不要になった場合、もしくは事故・盗難等により車両を使用できなくなった場合は、中途解約をお受けいたします。その場合、所定の中途解約金をお支払いいただきます」 | マイカーリース よくあるご質問 |
| コスモMyカーリース | 2024年10月1日以降に契約書作成・契約締結し、対象の5つのパターンに該当する個人契約は「解約金なしで中途解約できる」。法人契約は対象外 | 中途解約サービスについて |
| KINTO | 「解約金フリープランは中途解約金なしでいつでも解約が可能、初期費用フリープランの場合も、所定の中途解約金をお支払いいただくことで解約可能です」 | 契約プラン |
これは順位でも評価でもありません。各社の公式ページに書かれている文言を、そのまま同じ枠に並べたものです。カーリースを提供する事業者はこの4社のほかにもあり、ここに無い事業者の扱いは確認していません。また表に書いたのは中途解約の可否と条件だけで、金額は各社とも公表していないため書けません。契約年数や走行距離、月額に含まれる費目を横に並べたものはカーリース比較にあります。
この5行を見比べると、分かれ目が2つあることが読み取れます。ひとつは時間です。オリックスカーリースの新車プランのように、一定の年数を過ぎれば原則解約金なしで終われる形は、リース会社から見れば回収がある程度進んでいるということです。もうひとつは事由です。コスモMyカーリースは、家族構成の変更、契約者の運転免許の返納、契約者の海外赴任、契約者の病気や怪我、契約者が亡くなられた場合の5つを挙げています。個別の申込みは不要で自動付帯されると書かれている一方、家族構成の変更から海外赴任までの3つのパターンには2年以上の契約期間(免責期間)が必要で、リース料の未納がないこと、原状回復した車両を返却すること、リース開始時の年齢が79歳以下であることが前提とされています。
「解約金なし」と書かれていても、無条件ではありません。どの事由が対象で、いつから使えて、誰が対象外かまで読んで、はじめて自分に使えるかどうかが分かります。
解約を申し出たとき、何を請求されうるか
解約金という一語で考えていると、実際に届く請求書とずれます。契約書で確認しておく費目は複数あります。
走行距離は見落とされやすいところです。オリックスカーリースは、乗り換え・返却ができる年数よりも前に中途解約する場合は所定の中途解約金が必要になるとしたうえで、契約満了前に解約・返却する際の走行距離が「経過月数×2,000km」を超えた場合は8円/kmの追加請求が発生する、と書いています。途中で返すぶん走行距離の上限も途中までしか認められないという数え方です。年間の距離が上限内に収まっていても、経過月数で割り戻すと超えていることがあります。
引き取りにかかる実費もあります。コスモMyカーリースは、中途解約サービスの利用に伴う積載車や代車の提供等で発生する費用はお客様の負担と書いています。事故で動かせなくなった車を返す場面では、ここが効いてきます。
契約書のどの条項を読むか
リース事業協会は、リース契約書の主な条項を公開しています。個人向けカーリースの契約書そのものではありませんが、リース契約に共通して置かれる条項の型が分かります。
| 条項(協会の条項例) | 協会が示している内容 | 解約のときに効くところ |
|---|---|---|
| 中途解約の禁止 | 「リース契約は、契約に定める場合を除き解除できません」 | 解約できる場合が契約に書いてあるかどうかを見る起点 |
| 規定損害金 | 「ユーザーはリース会社に物件を返還するとともに規定損害金を支払います」 | 解約時に支払う金額の定め。算定方法が書かれているかを確認する |
| 物件の滅失・損傷 | 「物件が滅失・損傷等した場合、ユーザーは、その原因のいかんを問わず、リース料の支払いを拒んだり、リース会社に対して損害賠償等を請求することはできません」 | 事故で車が無くなっても契約が自動では終わらないこと |
| 保険 | 「リース会社は物件に保険をつけ、物件に係る保険事故が発生し、ユーザーが第4条にしたがって物件を修繕したときは、保険金をユーザーに支払います」 | 保険金が誰に支払われ、何に充てられるか |
| 契約終了時の物件の返還 | 「ユーザーは、ユーザーの責任と負担でリース期間中に生じた物件の損傷を原状回復したうえで、リース会社指定の場所に物件を返還します」 | 返すときの原状回復が誰の負担か |
この条項例は、事業者向けの設備リースを含むリース一般について協会が示しているものです。個人向けカーリースの契約書がこのとおりとは限らず、条項の名前や番号も事業者ごとに違います。読むときは、名前が一致するかではなく、同じ役割を持つ条項が自分の契約書にあるかどうかで探してください。
事故や盗難の場面は、とくに読み違えやすいところです。車が無くなれば契約も終わると考えがちですが、協会の条項例では、物件が滅失・損傷した場合にユーザーはその原因のいかんを問わずリース料の支払いを拒むことができないとされています。車が手元から消えても、支払う義務は自動では消えません。オリックスカーリースの中古車プランのように、事故・盗難等により車両を使用できなくなった場合は中途解約を受けると書き、その場合も所定の中途解約金を支払うとしている例もあります。どう処理されるかは契約書次第です。
解約金の額に、法律上の歯止めはあるのか
あります。ただし「高いと感じたら減る」という形のものではありません。
消費者契約法第9条第1項第1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるものについて、当該超える部分を無効としています。上限は「その事業者に生ずべき平均的な損害の額」であって、消費者が高いと感じるかどうかではありません。
同条第2項は、事業者は、消費者に対し、解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項に基づき損害賠償又は違約金の支払を請求する場合において、当該消費者から説明を求められたときは、損害賠償の額の予定又は違約金の算定の根拠の概要を説明するよう努めなければならない、と定めています。請求を受けた側から算定の根拠の概要を尋ねられる、という形が法律に書かれているわけです。ただし条文は「努めなければならない」であり、説明したうえで請求額が変わらないこともあります。
注意点が2つあります。ひとつは、この法律が適用されるのは消費者契約、つまり事業者と消費者の間の契約だということです。事業のために結んだ契約は対象外で、法人契約の扱いは法人カーリースの会計・税務とあわせて別に確認する必要があります。もうひとつは、ある請求額が平均的な損害の額を超えているかどうかを、この記事で判断できないことです。個別の契約と事業者の事情によって変わるもので、最終的には争いになれば裁判所が判断します。
クーリング・オフで戻せるのか
「8日以内なら無条件で解約できる」と考えている方がいます。ここは切り分けが要ります。
クーリング・オフは、特定商取引法が定める取引の類型に当てはまる場合の制度で、どんな契約にも付いてくるものではありません。消費者庁の特定商取引法ガイドが示している枠組みは次のとおりです。
| 契約の仕方 | 特定商取引法の取引類型 | 撤回・解除の期間 |
|---|---|---|
| 店舗(営業所等)に出向いて契約した | いずれの類型にも当たらない | 制度の定めなし |
| 自宅など営業所等以外の場所で契約した | 訪問販売 | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内 |
| 電話で勧誘され、そのあと申し込んだ | 電話勧誘販売 | 法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内 |
| 広告を見て、郵便・電話・インターネット等で申し込んだ | 通信販売 | クーリング・オフの定めはない。売買契約には商品の引渡しから8日以内の返品制度があるが、事業者が広告で返品特約を表示していれば特約による |
訪問販売と電話勧誘販売については、消費者庁が、書面または電磁的記録により申込みの撤回や契約の解除ができると案内しています。一方、通信販売にはクーリング・オフの定めはありません。
そして、この記事では、カーリース契約が特定商取引法のどの取引類型に当たるかを判断していません。契約の法的な性質と、どこで、どういう勧誘を受けて結んだかで変わるためです。国民生活センターの公表資料にも、カーリースについてクーリング・オフの記載はありませんでした。店舗で説明を受けて申し込んだのであれば、この制度を前提にした期待は持たないほうが安全です。判断が必要な場面では、契約書を持って消費生活センターへ確認してください。
途中でやめたくなったときに、確認する順番
ここまでを、手を動かす順に並べ直します。
国民生活センターは、契約書の内容をしっかり確認して不明な点があれば必ず契約前に事業者に確認するよう呼びかけています。すでに契約したあとであっても、読む場所は同じです。口頭で受けた説明が契約書のどの条項に対応するのかを示せないなら、それは契約の内容ではありません。
折り合わないときの相談先は、消費者ホットライン188です。国民生活センターは、誰もがアクセスしやすい相談窓口として全国統一番号188を案内し、商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せなど、消費者からの相談を専門の相談員が公正な立場で処理する、と説明しています。土日祝日は国民生活センターが対応し、平日10時から16時のバックアップ相談も案内されています。
契約する前に、やめる場面を先に決めておく
中途解約の条項は、契約したあとに読むと選択肢がありません。読む価値がいちばん高いのは、申し込む前です。
カーリースの月額が下がるのは、期間を長く取ることが効いている部分があります。月額の安いカーリースで整理したとおり、期間を延ばせば1か月あたりの負担は下がりますが、同時に途中でやめられない年数が伸びます。9年や11年の契約を結ぶということは、その年数のあいだ生活が変わらないほうに賭けるということです。転勤の可能性、家族構成、免許をいつまで使うか。この3つが読めないまま年数だけを伸ばすと、安さと引き換えに逃げ道を手放すことになります。
だから、申し込む前に自分の言葉で答えを出しておく価値があります。この期間の途中でやめる事情が起きるとしたら、それは何か。そのとき契約書はどう処理すると書いているか。書いていないなら、書いてある事業者を選ぶという判断もできます。買って所有する形と比べたときの違いはカーリースと購入の比較にまとめました。所有していれば、手放すときに売るという道が残ります。借りている車には、その道がありません。