この記事は、日産自動車株式会社が 2026/11/02に公表した発表を一次情報にしています。 価格・発売日・仕様は発表の表記をそのまま記録しています。
出典:6社が「福島県及び浪江町での循環型社会の実現に向けた取組みに関する連携協定」を締結(確認日 2026/11/02)
日産自動車株式会社、福島日産自動車株式会社、株式会社ナプロアース、損害保険ジャパン株式会社、フォーアールエナジー株式会社、住友三井オートサービス株式会社の6社は2026年11月2日、福島県双葉郡浪江町の「EV GARDEN なみえ」において「福島県及び浪江町での循環型社会の実現に向けた取組みに関する連携協定」を締結したと発表しました。発表の副題は「中古EVと車載電池を福島県内で循環させ、浪江で再製品化・活用する仕組みづくりへ」です。
この記事は、その発表に書かれている範囲だけを整理したものです。会社名、役割の表記、段階の呼び方、テーマの項目は発表の表記のまま転記し、発表に出てこない数値や、当サイトで組み立てた見通しは書きません。リースの料金、保証の内容と期間、対象になる車種、取り扱う台数についての記載はないため、記事にも書いていません。
先に全体像を示すと、この発表で中身が示されているのは6社それぞれの役割、目指す循環の6つの段階、協定で取り組む7つのテーマ、協定の期間、協定に基づく最初の取組みの5点です。逆に、いくら払えばどの車に乗れるのか、電池の保証はどこまで効くのかという、読者がいちばん知りたい条件はまだ出ていません。どこまでが公表された枠組みで、どこから先が未公表なのかを分けながら読んでください。
締結したのはメーカー1社ではなく、立場の違う6社
この発表でまず押さえるべきなのは、協定を結んだのが自動車メーカー1社ではないという点です。名を連ねているのは、車をつくる会社、県内で車を売る会社、解体して資源に戻す会社、保険の会社、電池を検査して作り直す会社、法人向けにリースを手がける会社です。1台の車が買われてから使い終わるまでの各段階に、別々の会社が割り当てられているという並び方になっています。
締結の場所として書かれているのは、福島県双葉郡浪江町の「EV GARDEN なみえ」です。発表に添えられた経過の表によると、この拠点は協定の締結と同じ2026年11月2日に開所し、翌11月3日にグランドオープンとされています。協定の締結と拠点の開所が同じ日付に並んでいるため、発表は枠組みの合意と現場の立ち上がりを同時に知らせる形になっています。
発表は、ここに至るまでの経過も時期とともに並べています。表記のまま引くと次のとおりです。
| 時期 | 発表に書かれている出来事 |
|---|---|
| 2019年12月 | 浪江町役場で日産リーフの納車式(日産自動車) |
| 2021年2月 | 浪江町など3自治体と8企業による「新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」(浜通り連携協定)。福島日産も参加 |
| 2024年2月 | 第3回浜通り連携協定サミット in 浪江町で、浪江駅前のEV拠点構想を発表 |
| 2025年9月 | 自動車リサイクルのナプロアースが福島日産グループに加わる(浪江営業所を保有) |
| 2026年11月2日 | EV GARDEN なみえ 開所。本協定を締結 |
| 2026年11月3日 | EV GARDEN なみえ グランドオープン |
この並びを見ると、今回の協定は突然まとまったものではなく、拠点の構想と関係会社の再編を積み上げた先に置かれていることが分かります。なお、過去の取り組みの成果や利用実績を示す数値は発表に出ていないため、ここでも書きません。同じ浪江町では、日産が手がけたオンデマンド配車サービスが町の事業へ移っています。その経緯はなみえスマートモビリティの事業移行にまとめています。
発表が挙げた背景は「状態の良い中古EVが海外へ出ていく」こと
発表の背景には、近年、状態の良い高年式の中古EVが海外へ輸出され、国内に車載電池が戻りにくくなっている、と書かれています。高年式とは、年式が新しい、つまり登録からあまり経っていない車を指す言い方です。中古車として評価の高い車が国外へ出ていけば、その車に積まれた電池も一緒に国内から離れていきます。
続けて発表は、車載電池は車での役目を終えた後も蓄電池として再利用できるが、そのためには車両を県内で使い続け、適切な時期に回収する仕組みが必要だとしています。ここが今回の協定の出発点です。電池を再利用したいのであれば、電池だけを都合よく集めることはできず、車がどこで使われ、どこで手放されるかという流れそのものを設計しなければならない、という筋になっています。
拠点の条件についても記述があります。浪江町には、日産自動車と住友商事の合弁会社であるフォーアールエナジーの浪江事業所があり、EV由来の使用済み電池を検査・再製品化する拠点があるとされています。中古EVを県内にとどめて使い続ければ、電池は最後に浪江へ戻り、再び地域で活用できるという説明です。つまり協定の地理的な中心は、販売店ではなく電池を作り直す施設の側にあります。
環境面の根拠として、発表は、新品の車載電池の製造時には1kWhあたり約100kgのCO2が排出されるとされており、電池の再利用はその削減にもつながると書いています。この数値には注記が付けられ、出典として国際エネルギー機関(IEA)の資料が挙げられています。発表自身が外部の資料を引いた値であり、協定の当事者が測った値ではない点は、読むときに区別しておく必要があります。
各社の役割は、車がたどる順番に沿って分かれている
発表には「各社の主な役割(想定)」として、6社の担当が示されています。表記のまま並べると次のとおりです。
| 会社 | 発表に書かれている主な役割(想定) |
|---|---|
| 日産自動車株式会社 | 車載電池の状態(SOH)の診断・データの提供 |
| 福島日産自動車株式会社 | 中古EVの供給・個人向け販売・個人向けリースの窓口(EV GARDEN なみえ) |
| 株式会社ナプロアース | 車両の解体・資源化、車両と電池の引渡し・物流 |
| 損害保険ジャパン株式会社 | 中古EV向け車載電池の性能保証の提供支援 |
| フォーアールエナジー株式会社 | 浪江事業所におけるEV由来使用済み電池の検査・再製品化 |
| 住友三井オートサービス株式会社 | 法人・自治体向けのメンテナンスリース |
役割の見出しに「(想定)」と添えられている点は見落とさないほうがよい部分です。確定した契約上の責任分担としてではなく、こう担う見込みだという形で示されています。どの会社がどこまでの義務を負うのか、守れなかった場合にどうなるのかという取り決めは、発表に書かれていません。
読者の立場から意味が大きいのは、電池の状態を診断する役と、その状態に保証を付ける役が別の会社になっていることです。発表は、日産自動車がSOHの診断とデータの提供を担い、損害保険ジャパンが中古EV向け車載電池の性能保証の提供支援を担うとしています。SOHは電池の健康状態を表す指標の呼び方で、新品に対して今どれくらいの容量を保っているかを示すものとして使われます。測る側と保証する側が分かれていること自体は発表に明記されていますが、どの数値ならどの保証が付くのかという対応関係は示されていません。
目指す循環の流れは6つの段階に分けて書かれている
発表は「目指す循環の流れ」として、仕入れから地域での活用までを6つの段階に分けています。
仕入れの段階として書かれているのは、4年落ち前後のEVを仕入れ、日産の診断で電池の状態(SOH)を確認するという内容です。使う段階では、個人には保証付きの中古EVリース、法人・自治体にはメンテナンスリースで提供するとされています。戻す段階は、9年目前後にリース満了・下取りで返却し、電池と車体に仕分けると書かれています。
その先は、使用可能な部品は取り外して再利用し、その他の車体・部品は解体して資源化する段階、浪江町内の拠点でEV由来の使用済み電池を検査・再製品化する段階、そして再製品化した電池を蓄電池・交換用電池として地域で活用する段階と並びます。最後の活用先として、蓄電池と交換用電池の2つが挙げられているのがこの流れの特徴です。交換用電池という用途が書かれているということは、走っている車へ戻す道筋も想定に含まれていることになります。
年数の記述については、言葉のまま受け取るのが正確です。発表にあるのは「4年落ち前後」「9年目前後」という表現で、いずれも前後という幅を伴っています。契約年数の下限や上限として示された数字ではなく、循環の流れを説明するための目安として書かれたものです。実際の契約期間がどうなるのかは、発表からは読み取れません。
協定で取り組むテーマは7項目
協定で取り組むテーマとして、発表は次の項目を挙げています。
| テーマ(発表の表記) |
|---|
| 中古EVの供給、販売及びリーススキーム |
| 車両及び車載電池の価値評価 |
| 充電電力の供給及び再生可能エネルギーの活用 |
| リース満了EVの再活用及び使用済み車載電池のリパーパス |
| 車両及び電池の引渡方法並びに物流体制 |
| リパーパス蓄電池の販売、購入及び利用 |
| その他、本協定の目的を達成するために必要な事項 |
リパーパスは、使い終わった電池を別の用途へ作り直して使うことを指す呼び方です。ここで注目しておきたいのは「車両及び車載電池の価値評価」が独立した項目として置かれていることです。中古EVの値段がどう決まるかという話は、売る側にも買う側にも直結します。ただし評価の方法や基準については、この発表に記載がありません。
テーマの最後に「その他、本協定の目的を達成するために必要な事項」という包括的な項目が置かれているのは、協定文書によくある書き方です。今後の取り組みが6つの具体項目だけに限られるわけではない、という含みを持ちます。何が追加されるのかは、この時点では分かりません。
最初の取組みは、保証付き中古EVの個人向けリース
発表によると、福島日産自動車は本協定の取組みの第1弾として、子会社の福島オート商事株式会社を通じて、保証付きの中古EVの個人向けリースを2026年11月3日から開始します。協定を結んだ翌日から、読者が実際に申し込める形のサービスが始まるという日付の並びです。
ただし、ここでも条件は公表されていません。月々いくら払うのか、契約は何年なのか、どの車種が対象になるのか、保証はどの範囲をどれだけの期間カバーするのか、走行距離の制限があるのかは、いずれも発表に書かれていません。窓口として示されているのは浪江町のEV GARDEN なみえで、県外からの申し込みを受け付けるかどうかについても記述はありません。条件を確かめたい場合は、発表元の窓口に直接問い合わせることになります。カーリースの契約がそもそもどういう仕組みで、何が含まれ何が含まれないのかはカーリースとはで整理しています。
協定そのものの枠は、締結日から5年間で、以後1年ごとの自動更新とされています。協定名は「福島県及び浪江町での循環型社会の実現に向けた取組みに関する連携協定」、締結日は2026年11月2日です。期間が区切られている一方で自動更新が付いているため、期限が来たら終わる取り組みとして発表されたものではありません。
この発表に記載がない項目
次の項目には記載がありません。当サイトでは、記載のない項目を他社の事例や過去の取り組みの値で埋めることはしません。
| 項目 | 発表での扱い |
|---|---|
| 中古EVリースの料金 | 記載がありません |
| 契約期間・走行距離の条件 | 記載がありません |
| 性能保証の内容・期間・免責 | 記載がありません(保証付きという表記のみ) |
| 対象になる車種・年式の範囲 | 記載がありません |
| 取り扱う台数の目標 | 記載がありません |
| 電池の再製品化の処理能力 | 記載がありません |
| リパーパス蓄電池の販売価格・販売先 | 記載がありません |
| SOHの判定基準と保証の対応関係 | 記載がありません |
| 各社の費用分担・投資額 | 記載がありません |
| 福島県外への展開の予定 | 記載がありません |
とくに料金と保証の中身が出ていないことは、いま中古EVを検討している人にとっては大きな空白です。発表の文面で分かるのは、保証を付けたリースという形が用意されたところまでで、それが自分の条件に合うかどうかを判断する材料はまだ公表されていません。発表資料のどこまでが確定した内容で、どこから先が書かれていないのかを切り分ける読み方はプレスリリースの読み方にまとめています。
中古EVを買う人、EVを手放す人から見た読みどころ
この協定が扱っているのは、中古EVの買い手と売り手が実際にぶつかる問題です。買う側は、電池がどれだけ弱っているか分からないまま値段を見ることになり、売る側は、その不安のぶんだけ評価が下がった額を示されます。福島日産自動車の代表取締役社長である金子與志幸氏のコメントには「中古EVの『電池寿命に対する不安』が価値低下を招き、普及の大きな壁となっていると痛感しておりました」という一文が置かれており、発表はこの点を正面から課題として挙げています。
今回示された枠組みでは、電池の状態を数値として診断し、そこへ保証を重ね、リースという形で渡すという順番が取られています。ここから読み取れるのは、中古EVの値段は電池の状態をどう示せるかに左右されるという見方です。ただし、これはこの協定の設計から読み取れる考え方であって、相場がこう動くという予測ではありません。当サイトは買取価格の見通しを数値で示すことはしません。中古車の価格をどこで確かめられるかは中古車価格の調べ方、買取相場をどう扱うかは車の買取相場の見方に分けて書いています。
もう1つの読みどころは、電池が車から降りた後の行き先がはじめから組み込まれている点です。発表の流れでは、返却された車は電池と車体に仕分けられ、電池は浪江で検査・再製品化され、蓄電池または交換用電池として地域で使われることになっています。交換用電池という言葉が出てくるということは、これから先、電池の交換が選択肢として示される場面が増える可能性があります。EVを持つ費用をどう見積もるかはEVの維持費の内訳で整理しています。日産の発表は日産自動車から、業界の提携や協業に関する発表は自動車業界・企業から辿れます。
出典と、この記事を更新する条件
この記事は、日産自動車株式会社が2026年11月2日に公表したニュースリリース「6社が「福島県及び浪江町での循環型社会の実現に向けた取組みに関する連携協定」を締結」を一次情報にしています。6社の社名、各社の主な役割(想定)の文言、目指す循環の流れの段階と内容、協定で取り組むテーマの項目、協定名と締結日と期間、最初の取組みの開始日、背景の記述、経過の表、社長コメントの引用は、いずれも発表に書かれている範囲です。要約や言い換えで内容を変えることはしていません。発表ページを確認した日は2026年11月3日です。
リースの料金や契約条件が公表された場合、性能保証の内容と期間が示された場合、対象になる車種の範囲が公表された場合、または協定の取り組みの第2弾が発表された場合に、この記事を更新して編集日を改めます。枠組みの発表は続報が出るまでの間隔が開きやすいため、90日ごとに発表ページと発表元の続報を再確認します。