カーリースを選ぶとき、多くの人が最初に開くのは各社の料金ページです。しかし、そこに並んでいる月額は、契約年数も、走れる距離も、含まれている費目も違う金額です。並べても、どれが自分にとって少ない支出になるのかは決まりません。
先に答えを書きます。カーリースの選び方は、サービスを選ぶ作業ではなく、自分の使い方を先に数字と条件へ落とす作業です。決めるのは4つ。何年乗るか、月に何km走るか、契約が終わったとき車をどうしたいか、どの費目を自分で持つか。この4つが決まっていれば、各社のどのページを読めばよいかが決まり、読んだ結果で候補が絞れます。決まっていないまま見積もりを取ると、条件の違う金額が4つ届くだけで終わります。
この記事は、その4つを自分で決めるための手順です。国民生活センターが2025年9月17日に公表した注意喚起の相談事例、国土交通省が示している点検整備の決まり、各社が公式ページで公表している条件を一次情報にしました。各社の条件を横に並べた表そのものはカーリース比較にあります。この記事では、その表を読む前に手元で決めておくことを扱います。
選び方を間違えたときに何が起きているか
自分の条件を決めずに契約すると何が起きるのかは、実際に寄せられた相談を見るのが早いです。国民生活センターは2025年9月17日、カーリースに関する消費者トラブルへの注意を呼びかけ、相談件数が「ここ数年増加傾向にあります」としたうえで、4つの相談事例を挙げています。
同センターはカーリースを「リース会社が所有する車を一定の期間借りて利用できるサービス」と説明し、毎月定額料金で車を利用できる一方で、原則として中途解約ができず、解約できる場合でも解約料等が生じること、走行距離等、利用に関する制約があることを特徴として挙げています。借りる契約なので、途中でやめることと、たくさん走ることに制約が付くという構造です。仕組みそのものはカーリースとはで扱っています。
この4事例に共通しているのは、契約前に自分の使い方を決めていれば、読むべき記載が特定できたという点です。走行距離の制限が問題になるのは、自分が月に何km走るかを知らずに契約したときです。解約料が問題になるのは、何年乗るかを決めずに年数を選んだときです。残価や譲渡が問題になるのは、満了時にどうしたいかを決めずに契約したときです。だから選び方は、サービスの比較ではなく、自分の条件を決めるところから始めます。
手順1:何年乗るかを、降りられる条件とセットで決める
最初に決めるのは年数です。月額は同じ総額をより多い回数へ分けるほど小さくなるため、年数を決めないと金額は比べられません。
ここで大事なのは、年数を長くすると、その分だけ降りられない期間が長くなることです。国民生活センターが特徴として挙げているとおり、カーリースは原則として中途解約ができません。実際、おトクにマイカー 定額カルモくんはよくあるご質問で「契約後の解約はできません。」と明記しています。
一方で、途中で降りられる条件を公表しているサービスもあります。オリックスカーリースの「いまのりくん」は5年を基本契約期間として設定したうえで、契約開始後2年が経過したら、いつでも自由に乗り換えや返却ができ、その場合は解約金がないと記載しています(返却時の損耗状況により請求する場合があるとの断りが付いています)。KINTOは契約プランのページで、解約金フリープランについて中途解約金なしでいつでも解約が可能としており、初期費用フリープランでは中途解約に所定の手数料が必要としています。コスモMyカーリースは、2024年10月1日以降に契約書作成・契約締結した個人の契約者を対象に、家族構成の変更による乗り換え、契約者の運転免許の返納、契約者の海外赴任、契約者の病気や怪我、契約者が亡くなられた場合の5つの事由で、解約金なしの中途解約ができるとしています。ただし、このうち前の3つは2年以上の契約期間(免責期間)が必要で、リース料の未納がないこと、原状回復した車両を返却すること、リース開始時の年齢が79歳以下であることが前提と書かれています。
つまり年数の決め方は2通りです。その年数のあいだ同じ使い方を続けられると言い切れるなら、長い年数で月額を下げる。言い切れないなら、降りられる条件を公表しているサービスに候補を絞ってから年数を決める。転勤や免許返納の可能性が読めない段階で、月額が小さいという理由だけで長い契約を選ぶ根拠はありません。解約できる場合の金額がどう決まるのかはカーリースの中途解約に分けて書きました。
手順2:月に何km走るかを、自分の実績から出す
2つめは走行距離です。ここは想像で決めてはいけない項目で、過去の実績から計算できます。
手順は4つです。走行距離計(オドメーター)の表示値を日付と一緒に控える。その距離がいつからのものかを、納車日や前回の車検の日で確かめる。走った距離を経過した月数で割る。最後に、これから増える予定(帰省、通勤経路の変更)を月あたりにならして足します。過去の記録が残っていないなら、今日の表示値を控えて1か月後にもう一度読めば、1か月分の実績が取れます。
なぜ月あたりに直すかというと、契約側の基準が月あたりで書かれているためです。定額カルモくんは6年以下で契約した場合、走行距離は月間平均1,500kmを上限としており、7年以上で契約した場合は走行距離に制限はないとしています。オリックスカーリースのいまのりくんは、返却時の走行距離が経過月数×2,000kmを超えた場合に8円/kmの追加請求が発生すると記載しています。自分の数字が月1,100kmなのか月2,300kmなのかで、選べる契約が変わります。
ここで出した数字は、後から効いてきます。上限を超えた分は1kmあたりの単価で精算されるため、月額が小さいという理由で上限の低い契約を選ぶと、返却時に差が戻ってくることがあります。月額の小ささは、上限の低さと交換されている場合があると考えて、必ず自分の実績と突き合わせてください。月額がどうやって決まるのかはカーリースの月額が安い理由にまとめています。
手順3:契約が終わったとき、車をどうしたいかを先に決める
3つめは満了時の扱いです。ここを決めないまま契約すると、国民生活センターの相談事例3と4のように、満了の直前になって初めて条件を知ることになります。
コスモMyカーリースは、契約満了時に車の取り扱いを4つの選択肢から選べるとしており、新しいリース車両に乗換えて引き続き契約する「乗換え」、新たに再リース契約を締結して同じ車に乗り続ける「再リース」、車を買取りいただくことで同じ車に乗り続ける「買取り」、使用した車を返却する「返却」を挙げています(契約内容により選択肢が異なる場合があるとの断りが付いています)。定額カルモくんは、「もらえるオプション」(リース期間満了後に車を所有することが可能なオプション)へ加入すると、リース期間満了時にそのまま自分の車として乗り続けられる無償譲渡の選択が可能になるとしています。車が自分のものになるかどうかは、契約そのものではなくオプションや条件で決まるということです。
| 満了時にしたいこと | 契約前に確かめる記載 | 公表されている例(確認日2026-09-17) |
|---|---|---|
| 返して終わりにしたい | 返却時に精算が発生する条件(走行距離・損耗) | オリックスカーリース いまのりくんは返却時の損耗状況により請求する場合があると記載 |
| 同じ車に乗り続けたい | 再リースや買取りを選べるか、金額の決まり方 | コスモMyカーリースは満了時の選択肢として再リース・買取りを記載 |
| 自分のものにしたい | 譲渡の条件、追加のオプション加入が必要か | 定額カルモくんは「もらえるオプション」への加入で無償譲渡の選択が可能と記載 |
| まだ決められない | 満了時に選択肢が残る契約か、選択の期限 | コスモMyカーリースは4つの選択肢から選べると記載(契約内容により異なる場合あり) |
表に書いた内容は、いずれも各社の公式ページに書かれている記載です。金額や順位ではなく、選択肢の有無だけを並べています。当サイトは各社の料金データを独自に収集・検証していないため、月額や残価の水準による順位は作りません。
満了時の希望が決まると、逆に年数も決まりやすくなります。自分のものにしたいなら、譲渡の条件に必要な年数が年数の下限になります。数年で乗り換えたいなら、満了時に返却しやすい契約を選びます。購入との違いから考え直したい場合はカーリースと購入の比較を先に読んでください。
手順4:どの費目を自分で持つかを決める
4つめは費目です。月額に何が含まれるかはサービスとプランで違いますが、含まれていない費目は消えるのではなく、自分の支出として残ります。ここを決めずに月額だけを比べると、安いほうを選んだのに支出が増えることがあります。
とくに見落とされやすいのが点検整備です。国土交通省は、点検整備の実施はユーザーの義務として法令でも規定されていると示しており、道路運送車両法第47条を挙げています。自動車検査登録総合ポータルサイトも、自動車の使用者は、点検・整備をすることにより、自動車を保安基準に適合するよう維持しなければならないとしたうえで、検査と点検・整備は直接リンクするものではありませんと説明しています。車検を通したから点検整備をしなくてよい、という関係にはなっていません。
自家用乗用自動車の場合、国土交通省は1年ごとに29項目、2年ごとに1年ごとの29項目を含む計60項目の点検整備を行う必要があるとしています。点検整備記録簿は点検の結果と整備の概要を記録、保存して自動車の維持管理に役立てるためのもので、自動車に備えつけることになっており、1年点検対象車は2年保存が求められています。リースで借りている車でも、使用するのは自分です。この費目を月額に含めるか、自分で手配するかを決めておく必要があります。実際にいくらかかるのかは車の維持費の内訳と車検費用の内訳で扱っています。
| 決める項目 | 自分の数字の出し方 | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 何年乗るか | 転勤・家族構成・免許返納の見通しから、確実な年数を下限にする | 契約書の契約期間と中途解約の条項 |
| 月に何km走るか | 走行距離計の表示値と日付から、月あたりに直す | 契約書・公式ページの走行距離の上限と超過時の単価 |
| 満了時にどうするか | 返す/乗り続ける/自分のものにする、のどれかを先に選ぶ | 契約満了時の選択肢と、譲渡・買取りの条件 |
| どの費目を持つか | 任意保険の保険料と、点検整備の費用を自分の支出に数える | 月額に含まれる費目と、含まれない費目の一覧 |
任意保険も同じ考え方です。月額に含まれるサービスと、自分で契約するサービスがあります。自賠責保険と任意保険の役割の違いが曖昧なら、先に整理しておくと判断が速くなります。
判断の根拠にしてよいものと、してはいけないもの
4つを決めたら、最後は確かめ方です。国民生活センターは消費者へのアドバイスとして、カーリースの仕組みを理解して自分の利用方法に合致するかを検討すること、契約書の内容を確認し、不明な点は必ず契約前に事業者へ確認することを挙げています。
相談事例1の「ローンと同じと言われ契約した」は、説明の言葉を根拠にしてしまった例です。カーリースは車を借りる契約で、所有者はリース会社です。ローンで買う場合とは、途中でやめる条件も、満了時の扱いも違います。事例4の「9年後、車が自分のものになると勧誘された」も同じで、譲渡の条件が契約書に書かれているかどうかが判断の分かれ目になります。
申し込みの前に審査があるため、条件を決めてから申し込む順番にすると手戻りが減ります。審査で何が照会されるのかは個人カーリースの審査にまとめました。
確認できなかったこと
この記事で埋められなかった項目を残します。
国民生活センターの注意喚起では相談件数が「ここ数年増加傾向にあります」と説明されていますが、今回確認したページには年度別の件数の記載がありませんでした。件数の推移は書いていません。
各サービスの月額と残価の水準についても書いていません。公表された標準額がなく、当サイトは料金データを独自に収集・検証していないためです。このため、どのサービスが安いか、どれがおすすめかという順位は作りません。
中途解約の扱いは、今回確認できた4サービスの公式ページの記載に限っています。ここに載せていないサービスが中途解約できないという意味ではありません。また、走行距離の上限や超過時の単価は改定されることがあるため、契約前には必ず見積書と契約書で同じ項目を確かめてください。
この記事のまとめ
カーリースの選び方は、サービスを比べる前に自分の条件を決める作業です。決めるのは、何年乗るか、月に何km走るか、満了時に車をどうしたいか、どの費目を自分で持つかの4つです。
年数は、その期間ずっと同じ使い方を続けられるかで決め、言い切れないなら降りられる条件を公表しているサービスへ候補を絞ります。走行距離は、走行距離計の表示値と日付から月あたりに直して自分の数字を出します。満了時の扱いは、返す・乗り続ける・自分のものにするのどれかを先に選び、その条件が契約書にあるかを確かめます。費目は、点検整備のように自分に義務がある項目を、月額に入れるか自分で持つかを決めます。
4つが決まってから各社のページを開けば、読むべき箇所は限られ、届いた見積もりも同じ土俵に載ります。国民生活センターが呼びかけているとおり、契約書の内容を確認し、不明な点は必ず契約前に事業者へ確認してください。この記事の記載は2026-09-17に各一次情報で確認したものです。